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名建築の内部へ、「東京建築祭」の見どころを紹介

5月16〜24日、普段は入れない建築を無料公開

Kaoru Hoshino
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Kaoru Hoshino
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東京建築祭
Photo: Kisa Toyoshima | 「カナダ大使館」
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普段は立ち入ることのできない学校や大使館などの建築を無料で見学できる「東京建築祭」が、ついにスタートした。会場となるのは、上野、丸の内、銀座、品川、六本木、渋谷など東京各地で、2026年5月16日から5月24日まで開催されている。

同イベントの3回目となる今年は、参加する建築は過去最多の151件。そのうち約70件は無料かつ原則申込不要で参加できる「特別公開・特別展示」とあって、開催初日から多くの人が各所の建物へ足を運んでいる。

東京建築祭
Photo: Kisa Toyoshima

本記事では、初日に参加したガイドツアーのレポートに加え、イベント後半の楽しみ方、関連イベント情報などを伝えたい。ぜひ、これから参加する人は参考にしてほしい。

明治生命館

皇居外苑の開けた景色にどんと鎮座する「明治生命館」。古代ギリシャ建築の柱の一様式・コリント式の列柱が重厚な風格を漂わせ、古典主義様式の最高傑作と名高いこの建物は、1997年に昭和期の建築として初めて国の重要文化財に指定された。

東京建築祭
Photo: Kisa Toyoshima「明治生命館」

東京建築祭期間中のみ、明治生命館が建設される前にこの場所に建っていた「三菱二号館」の巨大3D写真・フォトモを展示し、土地の歴史を伝える。さらに、23・24日には、普段は一般公開していない7階の講堂に入れる。

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Photo: Kisa Toyoshima「明治生命館」1階にある「明治安田CAFE 丸の内」
東京建築祭
Photo: Kisa Toyoshima明治生命館の建物模型

日比谷OKUROJI

1910年に誕生した日本初の鉄道高架橋が、商業空間として生まれ変わった複合商業施設「日比谷OKUROJI」。レンガアーチの美しい300メートルの空間には、長さだけではなく時間の奥行きも感じられる。

東京建築祭
Photo: Kisa Toyoshima「日比谷OKUROJI」

線路から滴る水が生やしたシダ植物からも、この場所で積み重なる歴史に触れられるだろう。イベント期間中、有楽町駅から新橋駅間の高架下空間では、この地にまつわる記録が各所に掲示されている。

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Photo: Kisa Toyoshima所々に野草が生えている

旧東京中央郵便局

1931年に完成した「旧東京中央郵便局」は、日本のモダニズム建築を代表する建築家・吉田鉄郎が設計した建築で、現在も「KITTE丸の内」の一部として保存・活用されている。同時代のヨーロッパ建築を思わせる洗練された意匠でも知られ、日本近代建築を代表する名作の一つとして数えられている。

東京建築祭
Photo: Kisa Toyoshima「KITTE丸の内」

期間中には、4階の「旧郵便局長室」と地下広場で、創建当時の図面や保存工事の概要などの建築資料を展示。建築の経緯のほか外装タイルの保存と復元など、専門的な情報まで記載されており、興味深い。

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Photo: Kisa Toyoshima旧東京中央郵便局長室

東京駅丸の内駅舎に面した白い横長窓の外観や「インターメディアテク」など、旧東京中央郵便局時代の意匠や空間が現在も各所に残されている。館内を巡りながら、吉田らしいデザインを探してみるのもいいだろう。

まだ間に合う、イベント後半の注目プログラム

18〜21日には、日系カナダ人建築家のレイモンド・モリヤマ(Raymond Moriyama)が設計した「カナダ大使館」で、「カナダ・ガーデン」「高円宮記念ギャラリー」「E・H・ノーマン図書館」を公開。コンサートなどのイベント時以外は見ることのできない、星空のような天井が特徴の「オスカー・ピーターソン シアター」や、普段は一般公開されていない「エグゼクティブ・ダイニングルーム」は特に注目だろう。

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Photo: Kisa Toyoshima「カナダ大使館」

また、23・24日に公開される、日本の近代建築の礎を築いたイギリス人建築家、ジョサイア・コンドル(Josiah Conder)による「旧岩崎邸庭園」や、20〜22日に公開される、戦後日本を代表する建築家・白井晟一の異色作「ノアビル」の内部も特別公開されるとあって、見逃せない。

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画像提供:東京建築祭実行委員会「ノアビル」

さらに、23・24日公開の1880年建築の東京最古級の煉瓦建築「東京藝術大学 赤レンガ1号館」では、通常非公開の2階内部を特別公開。震災の痕跡が残る壁やアーチ窓、屋根架構などを間近で体感できる。加えて「SHIBAURA HOUSE」では、23日17〜20時に新たな宿泊空間も披露される予定だ。

Shibaura House
Photo: Supplied

ガイドツアーやトークで建築を深く知る

建築に関する識者の丁寧な話が聞ける有料のガイドツアーに参加するのも強く勧めたい。建築家や所有者、技術者の解説を通じて、建物の歴史や設計背景まで深く知ることができる貴重な体験だ。

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Photo: Kisa Toyoshima「教文館・聖書館」

初日の16日に開催された「教文館・聖書館ビル」のガイドツアーでは、日本近代建築の父と称されるアントニン・レーモンド(Antonin Raymond)が手がけた戦前モダニズム建築の非公開エリアに潜入。建物が辿ってきた歴史や、所々に残る建築当時の面影について、解説を交えながら巡った。

東京建築祭
Photo: Kisa Toyoshimaガイドツアーの様子

館内の各所には、現在は新たに採掘することが困難な岐阜県産の更紗大理石や、上階から下階へ郵便物を落とすためのメールシュートなど、竣工当時の意匠や設備が大切に残されている。歴史的建造物を受け継ぎながら使い続けることの意義を改めて実感できた。

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Photo: Kisa Toyoshimaガイドツアーの様子

まだ予約可能なガイドツアーやトークセッションなどもあるので、公式ウェブサイトからチェックしてほしい。

建築巡りの合間に立ち寄りたい関連イベント

関連イベントも充実。リノベーション業界を牽引してきた「リノベる」のオフィスでは、建築祭に合わせた多彩なイベント「リノベるのオフィスでサステナビリティに触れる3日間」が開催。22〜24日の3日間、ビルの特別公開をはじめ、アップサイクルアートのワークショップやエキシビション、蚤の市を実施する。 

RENOVERU TOKYO OFFICE
画像提供:リノベる株式会社

特に注目したいのが、オフィス前の骨董通りで行われる蚤の市だ。ビンテージ雑貨やデザイナーズ家具を扱う「SANDS furniture」のほか、ラグ専門店「kaya select」からは、中東のトライバルラグやミッドセンチュリーのシャギーラグ、アメリカのアンティークキルトなどが並ぶ。 

そのほか、ヨーロッパと日本の古物を中心に、独自の視点で選び抜いたアイテムを販売する「ärt studio önra」や、ビンテージ生地を用いて服や小物へ再生させる「-SOKO-」といった人気店が集結する。建築巡りの合間に立ち寄ってみては。

リノベるのオフィスでサステナビリティに触れる3日間
画像提供:リノベる株式会社蚤の市

建築を通して、東京の街を新たな視点で見つめ直せる東京建築祭。イベントはまだ続くので、気軽に足を運んでみてほしい。

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