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文化勲章受章の木彫家、平櫛田中の暮らしを追体験できる旧宅

文化勲章受章の木彫家、平櫛田中の旧宅「九十八叟院」が、2026年4月25日、改修工事を経て、6年ぶりに一般公開された。小平市の玉川上水沿いにある「平櫛田中彫刻美術館」の敷地内にあり、田中が98歳で移り住み、107歳で亡くなるまで暮らした邸宅だ。
設計を手がけたのは、「国立能楽堂」や「乃木会館」でも知られる建築家、大江宏。1968(昭和43)年に完成した建物は、母屋、書庫兼アトリエ、茶室など5つの棟が廊下でつながっている。母屋にはどっしりと構える大屋根と、ロの字型に渡り廊下が巡り、その中心に4つの方形の部屋が配される。どこからでも庭を望める、巧みな設計が特徴的である。
記念館として公開されていたが、耐震工事のため閉鎖し、改修工事を行っていた。二カ年の改修では、耐震補強、電気配線、上下水道の整備が中心となった。3回のクラウドファンディングと小平市の財源を合わせて工事を進めた。工事は当時の雰囲気を損ねないことに徹しており、壁の補強が必要な箇所も、隣接する古い壁の色に近付け、時間とともに馴染むよう配慮されている。
寝室には墨のあとが残る壁、ベッド、袖机、時計まで田中が使っていたものがそのまま残る。田中が最も長く過ごしたという居間では、三方の窓から庭を望み、自身が彫った薬師如来像が仏壇に鎮座する。客間はバーナード・リーチ(Bernard Leach)や濱田庄司ら、多くの作家が訪れた空間だ。
アトリエは母屋の後から増築されたもの。元々は上野桜木町にあるアトリエにこの自宅から通うつもりだったが、通ってみると時間がかかり過ぎるため断念し、こちらに作ったそう。補聴器付き眼鏡や手帳類など田中の愛用品も多数資料として並んでいる。
展示館で田中の作品に出合った後、この記念館で生活の場とアトリエを訪れれば、より深く田中の世界観を追体験できるだろう。この機会にぜひ訪れてみてほしい。
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