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三軒茶屋の閑静な住宅街に、2025年5月24日、ロースタリーカフェ「プルート(pluto)」がオープンした。運営会社は渋谷にある「喫茶サテラ」やチーズケーキブランド「ミスターチーズケーキ(Mr. CHEESECAKE)」などを手がけるニューン(newn)。建築家・上林剛典が営む建築事務所兼クロワッサン店「プラット(PLAT)」が駒沢へと拡張移転し、その跡地を引き継いだ。店内では風味豊かな自家焙煎(ばいせん)コーヒーのほか、プラットのクロワッサンや「喫茶サテラ」で人気のプリンなども味わえる。


空間設計は上林剛典が担当。コンセプトは「引き継ぐ」で、チャーチチェアを思わせる椅子や、一枚ずつ丁寧に手で貼られた床のグリーンタイル、事務所だった時代にも存在していた壁一面の本棚など、随所にその思いが表れる。かつて米屋だったという歴史の面影も残された、温かみある空間だ。
人とモノや空間が交差し、つながる「crossing studio」
同店のコンセプトは「crossing studio」。「人と人、人とモノ(本や音楽、家具など)、人と空間などが交差し、つながりが生まれる場所を目指す」という。店内で流れるBGMや並んでいる書籍類から、地元の店とのつながりも感じられる。

店内にゆったりと流れるBGMは、同じ三軒茶屋にあるレコードショップ「カンキョーレコーズ(Kankyō Records)」のオーナーH.Takahashiが選曲を担当している。アンビエントミュージックを主体とする店で、H.Takahashi自らが実際に店舗に足を運び、カフェらしい心地よさがありながら焙煎の音とも馴染む音楽をセレクトしたという。

本棚に並ぶ書籍は、渋谷の「SPBS」出身の鈴木美波が選書を担当。「インスピレーションが生まれる場所にしたい」という同店の思いを受け、アートやカルチャー関連の本、デザイン系の本を中心に選んだという。そのほかにも懐かしい気分が蘇るような絵本や、雑誌のバックナンバー、スタッフが選んだ本などが並んでいる。

名店から受け継いだ焙煎機で焼くコーヒー
店内奥にはオランダ製の焙煎機ギーセンが鎮座する。蔵前にあるスペシャルティコーヒー専門店「リーブスコーヒーロースターズ(Leaves Coffee Roasters)」から譲り受けた焙煎機だ。同店ではフルーティーで甘く、産地の個性が感じられる味わいを追求しており、焙煎度は浅いりから中いりにしている。

ハンドドリップコーヒーは常時4〜5種類の豆から選ぶことができる。焙煎士でバリスタの中村彰宏は「ゆったりと過ごしてもらいたいので、冷めてもおいしさが持続する味わいを大事にしています」と語る。
取材時に味わったホンジュラスの豆でいれた一杯は、さっぱりとしていながらも果実感のある甘みがしっかり感じられ、目を見張るおいしさだった。そのほか、カフェラテなどのエスプレッソドリンクや紅茶、ソフトドリンクなども用意されている。

コーヒーとの親和性を重視したフードメニュー
同店では、プラットの看板商品である「クロワッサン」が味わえる。国産石臼挽粉を使い、蜂蜜ときび砂糖で甘さを調えた「クロワッサン」は、提供前にリベイク。一口頬張ると外側はサクッと内側はしっとりしており、バターの芳醇(ほうじゅん)な香りが鼻に抜ける。

クリームチーズと練乳を加えたコクのある「プリン」(700円)は、人気店「喫茶サテラ」で評判の一品と同じレシピで作られている。
喫茶サテラは四角、同店は扇型と、異なる焼き型を採用しているためプリンの形状が違う。焼き型が違うと火の入り方が変わるため、食感に違いが出るそうだ。同店のプリンの方が少し滑らかで、とろりとした食感となっている。コーヒーとの相性も抜群だ。

三軒茶屋から徒歩10分という立地にありながら穏やかな路地にたたずむ同店は、日常から離れて安らげる特別な場所になるだろう。夜22時まで営業しているため、1日の終わりをここで静かに過ごすのもいい。三軒茶屋を訪れるならぜひ覚えておきたい店である。
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