2025年も終わりに近づく11月22日、東京・丸の内の国指定重要文化財「明治生命館」がリニューアルオープンを迎えた。その1階に「明治安田CAFE 丸の内」が開業。国内最大級の重要文化財カフェの登場に、多くのカフェ好きがざわめいた。
同館は昭和初期の建造物として初めて国の重要文化財に指定された。そんな歴史を持つ重厚で品格ある空間に身を置きながら、上質なドリンクやスイーツ、特別なアフタヌーンティーが堪能できる。
従来は2階のみで行われていた展示エリアも大幅に拡充(見学無料)。これまでも多くの建築愛好家や観光客が訪れていたが、今後はさらに丸の内エリアの新たな文化発信拠点として注目を集めることになるだろう。
激動の時代を超えた古典主義様式の最高傑作
1934年3月に完成した明治生命館は、古典主義様式の傑作として高く評価され、日本の近代洋風建築の発展に寄与した代表的建造物である。設計を手がけたのは「歌舞伎座」や「ニコライ堂」修復など、大正から昭和初期にかけて数々の名作を残した建築家・岡田信一郎。構造設計は内藤多仲、施工は竹中工務店が担当した。約3年半の歳月をかけて完成したこの建物は、岡田の遺作にして最高傑作とされている。
外観は、ギリシャ神殿をほうふつとさせる5階分に及ぶコリント式列柱が壮麗に連なり、白御影石の外壁が重厚かつ格調高い印象を放つ。柱頭には古代ギリシャ・ローマから続くアカンサス模様の装飾が細やかに施されている。また皇居に隣接する立地のため、外観を全体的にゆったりと眺められるのも大きな魅力だ。
かつて「明治生命館」は、太平洋戦争期の金属供出、東京大空襲の激動を乗り越えた後、1945年から1956年までは連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)によって接収されていた。展示エリアの一つである2階の会議室で行われた対日理事会には、マッカーサー元帥も出席したとされる記録も残っている。
その後、施設や装飾を竣工時の姿へと修復し、1997年に昭和期の建築物として国内初の国指定重要文化財に認定。全館保存を実現し、現役のオフィスビルとして活用され続けてきた。
クラシカルな高級ホテルを思わせる空間で味わう上質なカフェメニュー
今回のリニューアルに伴い、1階フロアに客席60席を有する広々とした「明治安田CAFE 丸の内」を新設。運営母体である明治安田生命保険相互会社は、文化財を守り続けることとともに、文化財の活用を通じ多くの人に喜んでもらうことを使命と考え、カフェのオープンを決断したという。
カフェが設けられた空間は、天井から陽光の射す吹き抜けに、大理石の柱や床、真鍮(しんちゅう)細工、シャンデリアが飾られ、風合いの良いじゅうたんが敷かれている。ソファがゆったりと配置されており、まるでクラシカルな高級ホテルを思わせるたたずまいだ。
フードやドリンクは、「歴史ある空間に相応しいもの」をテーマに品質にこだわった。深煎りの「ブルーマウンテンブレンドコーヒー」(1,000円、以下全て税込み)は、コクとうま味はしっかりと感じられるが苦味は少なく、飲み心地が良い。季節限定のコーヒーやカフェラテのメニューも用意する。
そのほかに、「ファーストフラッシュダージリンティー」(1,200円)や、1850年創業の老舗「つぼ市製茶本舗」の茶葉を使用した「抹茶ラテ」(1,200円)や「ほうじ茶ラテ」(1,200円)なども提供される。
スイーツは、都内にある老舗洋菓子店が手がけるオリジナル商品が味わえる。その時期ごとのベストな栗を使った「モンブラン」(1,200円)などのケーキのほか、旬の果物を使用したパフェを用意している。
2026年春ごろまで提供予定の「季節のパフェ(いちご)」(2,500円)は、新鮮なイチゴや、果汁たっぷりの自家製シャーベット、クランブルなど、グラスの中にさまざまなパーツを詰め込んだ贅沢な一品だ。
軽食としては、A5ランクの和牛を使用した「照り焼きサンドイッチ」(1,500円)や、「アトランティックサーモンサンドイッチ」(1,500円)、「和牛のハヤシライス」(2,200円)などを用意する。
ゆったり過ごしたい時は、上質なスイーツを盛り込んだアフタヌーンティーセット「お堀端の玉手箱(数量限定)」(1人分5,800円・ドリンク付※ノンアルコールシャンパンを除く)がおすすめだ。優雅な時間を演出するこのセットは、歴史ある建築空間と相まって、特別なひとときを約束してくれる。
初公開となる貴重資料を大幅拡充されたエリアで展示
今回のリニューアルでは、カフェの新設に加えて、従来は2階のみだった展示エリアを1・2階に拡充した。1階に新設された展示エリアには、建設当時の模型や手書きの設計図など、これまで公開されていなかった貴重資料を展示しており、来館者が同建物の歴史的価値により深く触れられるようになっている。
また2階フロアでは、GHQに接収されていた際に対日理事会の会場として使用されていた第一会議室や、スパニッシュ様式の華やかなデザインを採用した応接室、館内の各所に置かれたインテリアデザイナーの梶田恵がデザインした家具など、貴重な建築様式やインテリアの数々も見学できる。保存状態も良く、建築愛好家ならずとも心を奪われる美しさだ。
ちなみに1階から2階へと続く大理石階段は、今回初めて一般公開されるエリアの一つで、ウエディングフォトの人気スポットにもなっている。
85年以上にわたり、丸の内のランドマークとして現役で活躍し続けてきた「明治生命館」。歴史を積み重ねてきたこの贅沢な空間で、丁寧に淹れられたコーヒーやスイーツを味わえば、きっと記憶に残る特別なひとときが過ごせるだろう。丸の内散策の途中に、あるいは建築巡りの目的地として、ぜひ足を運んでほしい。
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