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12月20日まで、「ミナ ペルホネン」のデザイナー・皆川明によるインスタレーションも

大胆なプリントと鮮やかな色使いで、日本にも多くのファンを持つフィンランド発のブランド「マリメッコ」。その創立75周年を記念した展覧会「マリメッコ展 模様のちから」が、2026年10月3日(土)から12月20日(日)まで、目黒の「東京都庭園美術館」で開催されている。
まずは、マリメッコとはどんなブランドなのか。デザインやファッションにさほど興味がなくても、大きな花柄のテキスタイルや、フィンランド発のブランドであることは知っているという人も多いだろう。
一方で、その75年にわたる歴史について知る機会は、意外と少ない。ここでは、展覧会を見る前に、その歩みを少し振り返ってみたい。
マリメッコが誕生したのは、第二次世界大戦終結から間もない1951年。人々が暗い時代を抜け、自由を求めていたフィンランドで、それまで印刷会社に勤めていたアルミ・ラティア(Armi Ratia)によって創設された。アルミは、友人のマイヤ・イソラ(Maija Isola)をはじめとするアーティストをファブリックデザイナーとして起用し、明るく大胆なプリントを世に送り出していった。
それまでの「窮屈で、他人の目を意識した服」に対してマリメッコが提案したのは、体を自由にする開放的なデザインだった。アルミの革新的な思想は当時の女性たちから支持を集め、やがてマリメッコのドレスをまとったモデルが「ELLE」誌の表紙を飾るまでになる。さらに、ジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)がマリメッコのドレスを愛用したことをきっかけに、その名は世界へと広がっていった。
そんなマリメッコの歩みを紹介する同展だが、単なる回顧展ではない。会場には60点以上の貴重なドレスやテキスタイルが並び、マリメッコが75年にわたって育んできた美学や哲学を、空間そのものを通して体感できる構成になっている。
かつて邸宅だった同美術館ならではの、一部屋、一部屋を巡るような展示も印象的だ。進むにつれて、カラフルで大胆なテキスタイルやドレスが次々と目に飛び込み、部屋ごとにマリメッコの多彩な表情が見られる。
同展で提示されるのは、プリントを単なる平面的な模様として見るのではなく、その中に入り込み、身体的に体験するという視点。その考え方を象徴するのが、ファッションブランド「ミナ ペルホネン」のデザイナー、皆川明によるインスタレーションだ。
マリメッコのホーム&プリンツ デザイン・ディレクターのミンナ・ケメル=クトゥヴォネン(Minna Kemell - Kutuvonen)と皆川が、観客がどのようにファブリックを体感できるかを対話しながら制作したという同作では、マリメッコの16種類のテキスタイルが、巨大な輪飾りのようにつながり、空間いっぱいにつり下げられており、祝祭感溢れる空間を作り出している。
時代や流行に左右されることなく、クリエーティブチームによって受け継がれてきたマリメッコのデザイン。その歴史と現在を、テキスタイルのつながりを通して体感できるのが、このインスタレーションの面白さだ。
新館では、マリメッコを象徴するファブリックデザインの制作プロセスから、プリントメイキングの裏側まで紹介している。普段何気なく目にしている柄が、どのように生まれているのかを知ることができるので、こちらも見逃せない。
2019年からマリメッコと協働をスタートさせたアンッティ・ケッキ(Antti Kekki)のユニークな制作プロセスも紹介されている。色紙を切り貼りするコラージュの手法をもちい、即興性と遊び心を備えたダイナミックな構成を生み出すデザイナーだ。伝統を受け継ぎながらも、常に新しい表現へと挑戦する。そんなマリメッコの現在地を感じさせてくれるだろう。
75年の歴史を振り返りながら、マリメッコの模様が持つ力を、見るだけでなく、空間や身体を通して体験できる同展。マリメッコをよく知る人はもちろん、これまでブランドにそれほど馴染みがなかった人にも、そのデザインがなぜ長く愛され続けているのかを知るきっかけになりそうだ。
なお、同展は日時指定予約制なので、来館前に公式ウェブサイトから確認しておこう。
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