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実際の「IR汚職事件」をモチーフに、冤罪を作る側の視点から描いた社会派サスペンス映画『冤罪のつくりかた』の制作発表会が麹町で開催された。同作は、「冤罪はどのように生まれるのか」という根源的な問いに挑み、司法の闇に光を当て、観る人に「正義とは何か」を問いかける。
キャストは東京地検特捜部の冷徹な検事を加藤夏希、彼の元で働きながら「これは本当に正義なのか?」と葛藤する新人事務官を小川史記が演じ、IR汚職事件の中心人物となった前衆議院議員「あきもと司」をモデルとした政治家を原田龍二、破天荒なジャーナリストをやべきょうすけが演じる。メガホンを取るのは、映画「バリコワ」シリーズなどのホラー作品を中心に手がけている泊誠也だ。

制作発表会では公開本読みが行われ、キャストらが台本を片手に複数シーンで熱演を繰り広げた。声と手振りだけだが、緊迫感があり、聞いているこちらが思わず体が震えてしまうシーンもあった。

検察庁の特別捜査部だった人や「無罪請負人」と呼ばれるような著名な弁護士にも協力を仰ぎ、リアルさを追求。逮捕シーンでは、実際の事件であったことを再現したという。また、長期の勾留を続けることで、自白を強要する日本の刑事司法の問題点である「人質司法」を描くなど、現実へのフィードバックも存分に組み込んでいる。
が、中国マフィアが登場し、人が死ぬといったようなフィクション要素も多いので、エンタテイメントとしても楽しめるだろう。
小川は、自身の役である早乙女直樹について「自分の信じるものに向かって突き進む信念のようなものは似ているところがあります」とコメント。加藤は「主人公なのに自分の役が悪い人だということにとても驚きました」と、初めて台本を読んだ時の率直な感想を語る。本作はこの「暴走する正義」という「罪」にどう向き合うのか。腕の見せどころである。公開を心して待ちたい。

なお、クラウドファンディングも実施中だ。特別鑑賞券をはじめ、監督によるTikTokバズり方マスター講座や編集スタジオ体験プランといったユニークな技能研修付きリターンを用意している。ぜひチェックしてみてほしい。
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