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「編み物クラブ」や「自家製カレー」、店主の「やってみたい」が詰まった一軒

落ち着いた街並みのあちこちに、センスあふれる個人店が点在する世田谷の街並み。そこに、つい足が向いてしまう新たなスポットが生まれた。
駒沢と三軒茶屋の中間辺り、上馬の通り沿いに、古本屋と喫茶店を併設する「本と喫茶パラード」が移転オープンした。弦巻通りに面した大きなガラス窓からは店内に並ぶ本棚が見え、行き交う人々の目を引きつけている。
2025年4月に渋谷で営業を開始した同店は、建物の建て替えを機に移転を決意。2026年9月11日、上馬で新たなスタートを切った。コバルトブルーに塗られた床に木製の家具が配された店内は、どこか子どもの頃の部屋を思わせる、アットホームな雰囲気に包まれている。
入り口に置かれた机に並ぶのは新刊本。国内外の小説、
子どもの頃に夢中になった物語を読み直す楽しみはもちろん、当時は知らなかった物語に触れてみるのもいい。大人であっても新鮮な発見に出合えるはずだ。
さらに奥の棚を埋めるのは、さまざまな人の手を渡ってきた味わい深い古本の数々。科学や心理学などジャンルは多岐にわたり、特定の分野に偏らない自由なラインアップが魅力的だ。そこには、「これから先も残ってほしい」という川瀬の思いが込められている。
1980年代に発行されたレシピ本を手に、「YouTubeなどの手がかりがなかった時代だからこそ、昔の本は作り方がとても丁寧に書かれているんです」と彼女は語る。情報が簡単に手に入る時代だからこそ、一冊の古い本とじっくり向き合う時間は貴重である。本を探す時間も、この店で味わいたい贅沢の一つだ。
書店スペースから区切りなく広がる喫茶スペースでは、本に囲まれた心地よいひとときが過ごせる。
喫茶の看板メニューは、自家製のカレー。「きょうのカレー」「きのうのカレー」(各1,200円、以下全て税込み)と、その2種類を一度に味わえる「2種盛り」(1,400円)を用意する。豚肩ロースを日本酒で煮込んださっぱりとしたポークカレーと、スパイスが香るチキンカレーがあり、「きょう」「きのう」がそれぞれ日々入れ替わる。
渋谷に店舗を構えていた際には、ポークカレーを食べに、1カ月の滞在中毎日のように通い詰めた海外からの旅行客もいたというほど熱心なファンを持つ一皿。チキンカレーもスパイスが豊かに香り、さらりと食べられてしまう軽やかさがちょうどいい。それでいて「ここはあくまで喫茶店」という点にこだわり、どちらも誰もが親しみやすく楽しめる味わいに仕上げている。
さらに、季節の果物を使ったパウンドケーキやスコーン、コーヒーゼリーなども全て自家製で、価格は300〜500円と良心的。取材時に食べた「りんごのケーキ」は、リンゴの爽やかな酸味が優しく広がる逸品であった。
コーヒーは注文を受けてから手びきのミルで豆をひき、丁寧に淹れてくれる。「ゴリゴリ」と鳴る心地よい音に耳を傾けながら待つ時間も、気持ちを和ませてくれるだろう。
なお、喫茶スペースで読めるのは購入した本か、自分で持ち込んだ本のみ。古本を扱う場所として、一冊一冊の本との出合いを大切にしているからこその工夫だ。
また同店は、本と喫茶を楽しむだけでなく、紙芝居や演劇、展示などの多彩なイベントが企画される場でもある。毎月第3日曜日に開かれる「編み物クラブ」は、編み物初心者だった店主の「やってみたい」という一言から始まった。教室というよりも、放課後の教室で思い思いに過ごすような緩やかで心地よい集まりだ。
2026年11月7日(土)までは、『続おいしいおはなし』の刊行を記念した写真展やポップアップも開催されており、今後の活動からも目が離せない。
三軒茶屋エリアから少し足を延ばして本を探しにいくのも、おいしいカレーやスイーツを味わいにいくのもおすすめだ。平日の営業は21時まで。一日の終わりに、ふらりと寄り道してみては。
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