ニュース

本好きが集う新たな居場所「本と喫茶パラード」が上馬へ移転オープン

「編み物クラブ」や「自家製カレー」、店主の「やってみたい」が詰まった一軒

Kaoru Hoshino
テキスト
Kaoru Hoshino
Editor
本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima | 内観
広告

落ち着いた街並みのあちこちに、センスあふれる個人店が点在する世田谷の街並み。そこに、つい足が向いてしまう新たなスポットが生まれた。

駒沢と三軒茶屋の中間辺り、上馬の通り沿いに、古本屋と喫茶店を併設する「本と喫茶パラード」が移転オープンした。弦巻通りに面した大きなガラス窓からは店内に並ぶ本棚が見え、行き交う人々の目を引きつけている。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima外観

2025年4月に渋谷で営業を開始した同店は、建物の建て替えを機に移転を決意。2026年9月11日、上馬で新たなスタートを切った。コバルトブルーに塗られた床に木製の家具が配された店内は、どこか子どもの頃の部屋を思わせる、アットホームな雰囲気に包まれている。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima内観

入り口に置かれた机に並ぶのは新刊本。国内外の小説、料理本や漫画まで、数は少ないがジャンルは幅広い。本屋担当の川瀬佐千子は、雑誌や単行本、広告コピー制作などに携わる現役の編集ライターだ。

児童文学と料理をテーマにした連載コラムをまとめた著書『おいしいおはなし』『続おいしいおはなし』(ともにグラフィック社)も並ぶ。すぐ脇の棚には、子どもの頃から今も好きだという彼女のいち押し、児童文学が古本で揃う。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima『おいしいおはなし』のほか、新刊が並ぶ机の上

子どもの頃に夢中になった物語を読み直す楽しみはもちろん、当時は知らなかった物語に触れてみるのもいい。大人であっても新鮮な発見に出合えるはずだ。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima内観
本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima児童書が並ぶ棚

さらに奥の棚を埋めるのは、さまざまな人の手を渡ってきた味わい深い古本の数々。科学や心理学などジャンルは多岐にわたり、特定の分野に偏らない自由なラインアップが魅力的だ。そこには、「これから先も残ってほしい」という川瀬の思いが込められている。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima店内奥の棚

1980年代に発行されたレシピ本を手に、「YouTubeなどの手がかりがなかった時代だからこそ、昔の本は作り方がとても丁寧に書かれているんです」と彼女は語る。情報が簡単に手に入る時代だからこそ、一冊の古い本とじっくり向き合う時間は貴重である。本を探す時間も、この店で味わいたい贅沢の一つだ。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima内観

書店スペースから区切りなく広がる喫茶スペースでは、本に囲まれた心地よいひとときが過ごせる。

喫茶の看板メニューは、自家製のカレー。「きょうのカレー」「きのうのカレー」(各1,200円、以下全て税込み)と、その2種類を一度に味わえる「2種盛り」(1,400円)を用意する。豚肩ロースを日本酒で煮込んださっぱりとしたポークカレーと、スパイスが香るチキンカレーがあり、「きょう」「きのう」がそれぞれ日々入れ替わる。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima喫茶スペースの内観

渋谷に店舗を構えていた際には、ポークカレーを食べに、1カ月の滞在中毎日のように通い詰めた海外からの旅行客もいたというほど熱心なファンを持つ一皿。チキンカレーもスパイスが豊かに香り、さらりと食べられてしまう軽やかさがちょうどいい。それでいて「ここはあくまで喫茶店」という点にこだわり、どちらも誰もが親しみやすく楽しめる味わいに仕上げている。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima「きのうのカレー」。7月から10月初め頃までは、川瀬が祖母のレシピで漬けた自家製ラッキョウがカレーに添えられる

さらに、季節の果物を使ったパウンドケーキやスコーン、コーヒーゼリーなども全て自家製で、価格は300〜500円と良心的。取材時に食べた「りんごのケーキ」は、リンゴの爽やかな酸味が優しく広がる逸品であった。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima「りんごのケーキ」

コーヒーは注文を受けてから手びきのミルで豆をひき、丁寧に淹れてくれる。「ゴリゴリ」と鳴る心地よい音に耳を傾けながら待つ時間も、気持ちを和ませてくれるだろう。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima注文後、丁寧に淹れられるコーヒー

なお、喫茶スペースで読めるのは購入した本か、自分で持ち込んだ本のみ。古本を扱う場所として、一冊一冊の本との出合いを大切にしているからこその工夫だ。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima喫茶スペースのトレーに載っている本は自由に読める

また同店は、本と喫茶を楽しむだけでなく、紙芝居や演劇、展示などの多彩なイベントが企画される場でもある。毎月第3日曜日に開かれる「編み物クラブ」は、編み物初心者だった店主の「やってみたい」という一言から始まった。教室というよりも、放課後の教室で思い思いに過ごすような緩やかで心地よい集まりだ。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima内観

2026年11月7日(土)までは、『続おいしいおはなし』の刊行を記念した写真展やポップアップも開催されており、今後の活動からも目が離せない。

本と喫茶パラード
Photo: Kisa Toyoshima店頭にも本が並ぶ

三軒茶屋エリアから少し足を延ばして本を探しにいくのも、おいしいカレーやスイーツを味わいにいくのもおすすめだ。平日の営業は21時まで。一日の終わりに、ふらりと寄り道してみては。

関連記事

『浅草寺でプロジェクションマッピングと特別拝観を開催』

『東京のレストラン7軒がメキシコ政府から「本格的なメキシコ料理」として認定』

『新宿御苑の絶景を望む「ノーガ新宿御苑」が2027年7月に開業』

『立花・吟醸造り・京料理を重要無形文化財に指定へ、3人を保持者に認定』

『モネの名画と眠る、「サンシャインシティプリンスホテル」に泊まれる美術館が登場』

東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら

最新ニュース
    広告