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華道家元の池坊専永、酒造りの農口尚彦、瓢亭の髙橋英一

文化審議会は2026年10月16日、重要無形文化財に新たに3件を指定し、それぞれの保持者として3人を認定するよう、文部科学大臣に答申した。対象となるのは、華道の伝統様式「立花(りっか)」、日本酒の製造技法「吟醸造り」、京都の伝統的なもてなしの技法「京料理(会席)」だ。
保持者には、華道家元池坊四十五世家元の池坊専永、能登杜氏として知られる農口尚彦、京都の老舗料亭「瓢亭」の主人を務めた髙橋英一がそれぞれ認定される。3人はいずれも技を高度に体得し、長年にわたり伝統技術の継承と後進の育成に尽力してきた。
立花は、役枝を用いて山や野、水辺などの自然の姿を一つの花器に表現する華道の様式で、花材の選定や枝の処理、配置などに高度な技術が求められる。 室町時代の「たて花」から発展し、江戸時代前期に成立したとされる。
池坊は1933年、京都府生まれ。1945年に父の逝去を受けて四十五世家元を継承した。立花や生花などの様式に精通し、特に立花では古典様式を守りながら幅広い作風の作品を発表。後進の指導・育成にも長年取り組み、2024年には登録無形文化財「華道」の保持団体、日本いけばな伝統文化協会の会員となった。
吟醸造りは、原料や手間を惜しまず、味わいと香りを追求する酒造技法。精米技術の発達などを背景に近代以降に高度化し、日本酒の品質向上に貢献してきた。
農口は能登杜氏だった父のもとに生まれ、中学卒業後に酒造りの道へ進んだ。70年以上にわたり酒造りに携わり、全国新酒鑑評会で金賞を計26回受賞。吟醸酒の評価向上や杜氏の育成に尽力し、2006年に「現代の名工」、2008年に黄綬褒章を受けた。2026年には石川県指定無形文化財「日本酒杜氏」の保持者にも認定されている。
京料理(会席)は、京都の気候風土や伝統行事を料理に反映させ、器や室内のしつらいと一体となって客をもてなす技法。四季を踏まえた献立や器との調和に加え、京都ゆかりの美術工芸品を生かした空間づくりも重視される。
髙橋は1939年、瓢亭の十三代主人の子として生まれ、東京や大阪の日本料理店で修業した後、1964年に瓢亭に入店。1967年に家業を継ぎ、茶懐石の伝統を受け継ぎながら会席料理の発展や京野菜の保全、後進の育成に努めてきた。2013年に京都府指定無形文化財「会席料理」の保持者に認定され、2025年には文化功労者に選ばれた。
重要無形文化財は、芸術上または歴史上価値の高い伝統技術などを対象に指定される。今回の3件はいずれも生活文化に関するもので、保持者には技術の向上や伝承者の育成に必要な経費として、年額200万円の「重要無形文化財保存特別助成金」が交付される。
今回の答申により、華道、酒造り、京料理の3分野で、伝統技術の価値が改めて位置づけられることになる。
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