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2025年7月24日、廃校をリノベーションした新拠点「ホームワークヴィレッジ(HOME/WORK VILLAGE)」がグランドオープン。1階の商業フロアに、個性豊かな14店舗が新たに仲間入りした。ミュージックバーやクラフトビール醸造所、フラワーショップなど、新しい感性と遊び心に満ちた専門店やサービスがゲストを迎える。
4月に先行オープンした同施設は、「IID 世田谷ものづくり学校」をリニューアルし、商業施設や教育・文化施設、オフィスなど、「働く」「遊ぶ」「学ぶ」の機能を集めた複合施設。運営は、オールドファッションの間中伸也、下北線路街内の商業空間「ボーナストラック」を運営する散歩社の内沼晋太郎、働き方の未来を思考・模索するシェアオフィス「MIDORI.so」を運営するMIRAI INSTITUTEの小柴美保と気鋭のディレクター陣が手がけている。
この記事では、グランドオープンに合わせて、同施設ならではの見逃せないポイントを紹介する。
1.レトロで開放的な学校に新たなランドスケープを見る。

同施設では、学校全体を活用した「校舎棟」「体育館棟」「広場」の3つのエリアを設置。昔の学校のような閉塞感を取り除き、施設内を自由に移動できる開放感をテーマにリノベーションした。「下北線路街 空き地」を手がけたフォルクがランドスケープを担当し、この場所に集う多様な人々の活動を後押しする。
思わず駆け出したくなる廊下や、教室をそのまま残した撮影スタジオは懐かしい学校そのものだ。

屋上には、養蜂場や会員制のシェアファーム「アートファーム池尻」がある。屋上から校庭を見下ろすと、施設全体のオープンかつアットホームなランドスケープが一層楽しめる。

また、校舎棟には新たに外階段やテラスを設置し、風通しの良い空間にリニューアル。玄関からだけでなく、2階からでも校舎に出入りできる。

2.玄関で本が発する小さな声に耳をすます。

玄関に入ると、Takram Japanとバリューブックスが共同でプロデュースしたブックラウンジ・コーヒースタンドの「とつとつと」が出迎えてくれる。「小さな声とあわいの本」をコンセプトにし、定期的に設定されたテーマに沿って選書された300〜400冊が並ぶ。取材時のテーマは「はかないものを愛でる」。失われそうな言葉や記憶にフォーカスし、永井玲の「世界の適切な保存」や吉岡乾の「なくなりそうな世界のことば」などがセレクトされた。
コーヒースタンドでは三元茶屋の「オブスキュラコーヒー」のコーヒー豆を使用。取材時は浅煎(い)りの「ルワンダ」 と深煎りの「チョコレートブレンド」を提供していた。コーヒー以外にも「バリューブックスオリジナルビール」(800円、以下全て税込み)、「フルーツジュース」(550〜590円)も用意しているので、思い思いのチョイスでリラックスしてほしい。

3. トロピカルなミュージックバーで体を揺らす

技術室だった大きな空間は、音楽と植物と酒を愛する人のための空間「マークト(Marked)池尻/グッドテンポ ムージック、バー&プランツ(GOOD TEMPO -MUSIC, BAR & PLANTS)」に変身。運営はカルチャーと食のプロ集団グッドテンポと、人気カフェ「マークト」、ライブハウスのグレープフルーツムーン(GrapefruitMoon)がコラボした新店舗だ。
昼の顔はマークトが担当。「さまざまな目的で同施設に集まる誰かの居場所になってほしい」という願いを込め、気ままに過ごせる「まちの食堂」テーマにしたという。

農家から直接仕入れた野菜や果物を使った定食のほか、ミントやローズマリーを使用したハーブティーやカクテルを用意。他店舗で人気メニューのブレットやスコーン、季節のアイスはもちろん、池尻店限定でドーナツに似た焼き菓子である「ベニエ」やタルトが味わえる。

カフェの裏には小さなファームを設営中。循環に着目し、コンポストで作った堆肥をファームで利用し、ゆくゆくはファームで作った野菜を使用したメニューを作るのが目標だ。
夜はグッドテンポに運営がバトンタッチし、ミュージックバーに様変わり。「都市の中のリゾート」をイメージし、ジャズやヒップホップ、ボサノバやポップスからチョイスしたチルやメロウを主軸にした曲がビンテージスピーカーから流れる。座って聴いてもよし、立って体を揺らしながら聴いてもよし、自分のスタイルで楽しもう。
8月11日(月・祝)には野宮真貴のライブを行うほか、定期的にDJイベントやアコースティックライブも実施する予定だ。

また、店内では海外から直輸入した観葉植物を展示・販売する。注目はシカのツノのようなシダ植物「ビカクシダ」。音楽と酒に酔いしれながら、店内を彩る南国植物に癒やされよう。

4.校内ブルワリーとワイン角打ちで大人の放課後を満喫する。

ワインの角打ち「アペロ ヴィラージュ(APÉRO VILLAGE)」とクラフトビール醸造所「アフタースクールブロワリー(After School Brewery)」では学校で酒を飲む少し大人な体験も楽しめる。

アペロ ヴィラージュは、フレンチスタイルでワインを発信してきた「アペロ(APÉRO)」の新店舗。厳選された300種類以上のボトルワイン販売をメインに、カウンターでは10種類の角打ちを楽しめる。学校という背景を生かし、ワイン講座や試飲会、ワークショップなどワインを学ぶイベントも実施予定だ。
三宿ビール合同会社の1号店「アフタースクールブロワリー」は、大人の放課後活動をテーマにしたクラフトビール醸造所。出来立てビールが飲めるタップルームを併設し、オリジナルビールを6〜12種を提供予定。年内の発売を目指している。ゆくゆくは施設の近くの世田谷公園でのビアフェス開催や、屋上の養蜂場で作ったハチミツをたっぷり使用したオリジナルビール販売などを目指している。
参加型醸造所としてクラウドファンディングも8月末まで実施中だ。
5.クラフトマンシップと繋がって、暮らしを見つめ直す。

フラワーショップの「浪漫花店」では、「プレイフルでロマンティックな花を。」をコンセプトに、一般の生花店には並ばない珍しい花々や、中国の市場を中心に仕入れたオリエンタルなインポート花器をセレクトして販売する。ブーケオーダーもできるため、プレゼント選びにもってこいだ。

レザークラフトショップの「アンルーフ(UNROOF)」は、発達・精神・身体障がいなど多様な背景をもつ職人たちが作り上げる革製品ブランド。2017年から東村山市に工房を構え、ブックカバーやペンケースなどの革製品を販売している。池尻店では、購入だけでなく、職人がミシンを使用する制作風景も見学できる。

シューズショップ「ノート セタガヤ(NAOT SETAGAYA)」は、歩きやすさを徹底的に求めた靴を販売。奈良・愛知・東京(蔵前)に続く4つめの直営店となる。

ほかにも、屋内遊び場の「プレイ!セタガヤ(PLAY! SETAGAYA)」や、ブックラウンジ・とつとつとのオリジナル番組ポッドキャスト制作などを行う収録スタジオ「ホームワークスタジオ(HOME/WORK STUDIO)」、ギャラリーサロンなどが8月中旬に入居する。
6.ギャラリーサロンでクリエーティブな仲間と集まる。
アートに関わるディレクションや企画などを行うSUNDAY ISSUEがキュレーションするギャラリーサロンが、8月中旬にオープンする。さまざまなジャンルのクリエイターやネイリストなどの技術者と協業し、展覧会やワークショップ、サービス等を提供する。また、ネコへの偏愛を発信する「Cat’s ISSUE」のオリジナルグッズも販売する。
グランドオープンイベントでヴィレッジの仲間入り
7月24日から8月10日(日)の期間、グランドオープンを記念した「Grand Opening Weeks」を開催。マーケットやポップアップなどのイベント、トークショーや展示などを実施する。詳細は公式ウェブサイトを確認してほしい。
懐かしい学校の面影を残しながら、街にひらかれたクリエーティブな拠点へと生まれ変わった同施設。ふらりと訪れれば、きっと新しい出会いやお気に入りの時間が見つかるだろう。
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