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2026年3月22日まで「横浜美術館」で、5月には韓国で同展開催

テキスト:岸本麻衣
いつも隣にいるから、お互いに刺激し合う。いつも隣にいるから、ときには苦しくもなる――地理的にすぐ隣に位置し、文化的にも近しいところの多い日本と韓国は、「おとなりさん」として長い歴史をともに歩んできた。
1965年の日韓国交正常化から60年の節目に合わせ、日本の「横浜美術館」と韓国の「国立現代美術館」が共同企画した「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」展が始まった。
2026年3月22日(日)まで開催される本展は、両国の美術館がおよそ3年間のリサーチと準備期間を経て、1945年以降、日本と韓国で生まれた美術とアーティストたちの軌跡をたどる大規模な展覧会。横浜美術館では通常コレクション展のスペースとして使われている展示室まで空間を広げ、50組を超える作家の約160点もの作品が参集した。
展覧会の構成は第1章から第5章まで、1945年から現在を章ごとに年代で区切りながらも、それぞれの章に年代を超えた作品、また前後の章とのつながりを感じさせる作品を並べる。
第1章は、戦後に日本の植民地支配から解放された朝鮮半島が、やがて大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国に分断され、大韓民国が日本との間に国交を結ぶ少し前までの時代を描く。同章に並ぶ、当時を知らない若い世代の作品がひときわ筆者の心を揺さぶった。
林典子は、結婚を機に朝鮮半島出身の夫と連れ立って北朝鮮へ渡った9人の日本人女性を、12回にわたる訪朝で7年間取材し写真と映像に収めた。いつ祖国へ帰れるとも知れない複雑な時代に幸せを信じて海を渡った女性たち。三十数年ぶりに「北朝鮮在住の日本人配偶者故郷訪問事業」で日本を訪れた女性が亡き母の墓前でつぶやく言葉に、時の長さを感じて苦しくなった。北朝鮮と日本は、いまだ正式な国交を結んでいない。
第3章では、日本と韓国の国交正常化が樹立し、韓国の美術表現を日本で紹介する展覧会が盛んに開催された様子を展示。第4章は、韓国で美術を学ぼうと留学した日本の新しい世代が、海を越えた先で出合った表現とそこで生まれたアート界の動きを描く。
抗いがたい時代のうねりに遭っても、それぞれの国のアーティストたちは、いつも作品を通して豊かな交流を重ねていた。作品と作品の間にちりばめられた手紙や資料の数々から、その歴史が垣間見える。
アーティストたちが、互いを知ろうと寄り添い、歩みをともにする。より大きな社会問題への提起も絡めながら、その表現はさらに多様となって第5章で花開く。これから先もずっと「おとなりさん」として、我々の関係が続く感慨を覚える終章だった。
本展は2026年5月に、韓国の国立現代美術館で「ロードムービー:1945年以後の韓日美術」展として開催が予定されている。大きな構成は変わらないが、焦点を当てるポイントによって展示作品に違いがあるようだ。日本と韓国での展覧会を見比べて、この80年の物語を深く味わいたい気持ちになった。
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