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解体間近の映画館を丸ごと探索、神保町で没入型ミステリーツアーが開催

10日間限定開催『あの夏のさよなら』

Chikaru Yoshioka
編集
Chikaru Yoshioka
Editor/Writer
あの夏のさよなら
Photo: Karin Minamishima | 物語の登場人物「ハルオミ」と「ミフユ」
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解体を控えた映画館を丸ごと歩きながら、物語と謎を追う――。神保町の歴史ある映画館を舞台にした、10日間限定のストーリー体験型ミステリーツアー「あの夏のさよなら」が2026年726日(日)まで開催されている。

ミニシアターの先駆けとして1968年に開館し、長年にわたり多くの名作を届けてきたこの場所。20227月に閉館し、20269月以降に取り壊しが予定されている実在の空間を使用するため、再演不可の今回限りの特別な企画となる。

あの夏のさよなら
Photo: Karin Minamishima館内

本作は、謎解きや脱出ゲームを目的としたものではなく、物語の中に入り込み、自ら歩きながら味わう「ストーリー体験型ミステリーツアー」。読書や観劇とは異なる没入感を、歴史ある空間とともに楽しめる。シナリオは館内の動線に合わせて書き下ろされ、緻密に構成されたストーリーが約90分にわたり展開される。

あの夏のさよなら
Photo: Karin Minamishimaロビー

参加者は、映画館の最終上映会のチケットを手に訪れた主人公「ナツ」の視点で、館内に残された記憶や謎を追体験する。ここは4年前、大学の映画サークル仲間の「ハルオミ」「ミフユ」とともにスクリーンの光を見つめた場所。上映作品『あの夏のさよなら』がナツの記憶を呼び起こし、映画館で起きた館長殺害事件と、閉ざされたままの真実へと導いていく。

あの夏のさよなら
Photo: Karin Minamishima館内の階段

スマートフォンの音声ガイドや小冊子を手に、映像や演劇、小説的な要素を組み合わせた演出を通して、参加者は作品世界へ入り込む。

あの夏のさよなら
Photo: Karin Minamishimaロビー

特別なのは、舞台となる映画館そのもの。ロッカー、金庫、黒電話など、かつて人々が映画を楽しんだ時代の面影が残る空間を、解体前の姿のまま味わえる。さらに、五感を刺激する没入演出も見どころの一つ。館内では数名の役者による生のシーンが展開され、登場人物との距離の近さを感じる演出も用意されている。

あの夏のさよなら
Photo: Karin Minamishimaフレグランス

フレグランス調香はAblxsが担当。登場人物3人をイメージした3種類の香りが会場各所で漂う。暗所演出も取り入れられ、視覚を制限されることで、「読む」「聴く」「歩く」「考える」「気づく」といった感覚を研ぎ澄ませながら、身体全体で体験する仕掛けとなっている。なお、3種類のフレグランスは販売も行われており、体験後も作品の世界観を香りとして持ち帰ることができる。

あの夏のさよなら
Photo: Karin Minamishima大ホール

取り壊し後には二度と味わえない、歴史ある映画館との最後の時間。この特別な機会を見逃さないでほしい。

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