新宿2丁目初心者向けガイド
LGBTQ+当事者やアライのための散歩スポット6選を紹介
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セクシャルマイノリティーの友人を増やしたい、よりリアルな知識を得たい。そう思っても、一体何から知ればいいか悩む人も少なくないだろう。ここでは、セクシャルマイノリティー自身も、アライ(ally=「仲間」や「同盟」を語源とし、セクシュアルマイノリティー当事者を支援する人々を指す)にも、ビギナー向けの新宿2丁目スポットを紹介する。一見さんや1人客、アルコールが飲めない人でも、安心して楽しめるはずだ。カラフルな魅力を持つ新宿2丁目エリアを堪能しよう。
※新型コロナウイルスの影響で営業時間に変動があるため、公式ウェブサイトから最新情報を確認してほしい
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1. オールジェンダーを学ぶ。
プライドハウス東京レガシー
多種多様な性的マイノリティーの世界を網羅的に学べる、日本初のセンター。入場は無料で、LGBTQ+について学びたい当事者やアライにとって、いわば「初心者の館」だ。
セクシャルマイノリティーのジェンダーに関する書籍や絵本が、幅広く保管されている。なかには、戦前の資料などの貴重なものもあるほか、都内のLGBTQ+フレンドリーな各種イベント情報も取りそろえる。タイミングによっては、トランスジェンダーやエイズ、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)などテーマごとに展示も行われている。
コーヒーの提供もあり、テイクアウトも可能だ。ここで情報を得て興味のある分野をより深掘りして、コーヒー片手に新宿散歩に繰り出すのもいいだろう。
2. 看板犬と触れ合う。
足湯カフェ&バー どん浴
性的指向、性自認、国籍、年齢も忘れてゆったりできる場所を新
もちろん、足湯につからず過ごすこともできる。毎週水曜は2匹の犬が迎える『ワンコデー』で、犬目当ての常連客も多い。人懐っこい性格の2匹は、初対面の人にも甘えてくれる。犬をなでているうちに、気がつけばほかの客とも打ち解けている。そんなほっこりスポットだ。
3. バーカルチャーを体験する。
フリーメゾン
初めて行く新宿2丁目カルチャーやバーの雰囲気を味わいたい! そんな思いを持つ人にぴったりなのがこの店だ。
全員私服のスタッフは他者に性的欲求が向かないアセクシャルな
ドリンクメニューは、ウイスキー10種類以上、リキュール類も豊富に取りそろえている。好みに合わせてオリジナルのカクテルが楽しもう。もちろん、酒が飲めない人もノンアルコールカクテルを遠慮なくオーダーしてもらいたい。
4. ミニ博物館に出かける。
霞関山 太宗寺
かつて、宿場町で花街としても栄えてきた新宿。そんな街の歴史に触れられるスポットがこの寺だ。なかでも、寺にまつられる『奪衣婆(だつえば)像』は、妓楼(ぎろう、遊女屋)の商売神として信仰されてきたという。
奪衣婆は、閻魔(えんま)大王に仕え、三途の川を渡る亡者から衣服を剥ぎ取り、罪の軽重を図る存在だ。その「服を剥ぎ取る」ところから、信仰の対象になったそう。本堂の中で閻魔大王像と並び鎮座する姿は、実に迫力満点だ。毎年1月15日、7月15、16日には、御開扉され、間近で見ることもできる。
ほかにも境内には、江戸六地蔵の一つである『銅造地蔵菩薩坐像』や、願いがかなうとされるパワースポット『塩かけ地蔵』など、さまざまな史跡が並ぶ。新宿の史跡が数多く保管されていることから「新宿ミニ博物館」とも呼ばれ、新宿2丁目散歩には、外せないスポットだ。
5. LGB「T」とSDGsに触れる。
新宿ダイアログ
店長やコックなど、スタッフがトランスジェンダーのLGBTQ+フレンドリーな店。食事が楽しめるだけでなく、持続可能な社会を実現するために定められた17の開発目標、SDGs(エス・ディー・ジーズ)について学べる仕掛けが用意されている。
例えば、ドリンクを注文するごとにコインが1枚渡され、それを「環境問題」や「貧困」と書かれた項目の箱に入れると、その社会問題に取り組んでいる団体に寄付される。どこに入れようかと悩むうち、SDGsを自然に学べるというあんばいだ。
昼と夜では出てくるメニューが全く違うのも、この店の魅力の一つ。ランチタイムはビーガンやオーガニック料理、バータイムはレインボーカラーのカクテルが楽しめる。自分の好みに合った時間帯に訪れてみては。
6. ボーダーレスに楽しむ。
メキシカンカフェ&バー ジョグ
メキシコの家庭料理、ブリトーを楽しむことができるLGBTQ+フレンドリーなレストラン。国籍や人種などのボーダーフリーを目指し、ビーガンやハラールにも対応している。
サルサソースやサワークリームなど、そのほとんどが国産野菜を使った自家製。日本人寄りな味わいかと思いきや、「ふるさとの味を思い出す」と留学生や在留外国人のリピーターが多いそうだ。確かに、豆と米、野菜のたっぷり詰まったブリトーはどこか優しく、懐かしさがある。野菜のうま味を生かした丁寧な手仕事が、国籍を問わず「おふくろの味」を思い起こさせるのかもしれない。
ドリンクは、メキシコ人にテキーラ以上に愛されている酒、『メスカル』も取り扱う。本格的なのに、どこか懐かしいエスニック料理に舌鼓を打とう。
LGBTQ+のカルチャーについて知りたいなら......
東京、学びのクィアスポット6選
6月がプライド月間(Pride Month)と称されるようになった発端を、聞いたことはあるだろうか。1969年6月28日、ニューヨークのゲイバー『ストーンウォール・イン』(Stonewall Inn)で度々起きていた警察の踏み込みに対し、同性愛者やトランスジェンダーの人々が立ち向かい、5日間に及ぶ暴動に発展した。
それをきっかけに、同性愛者をはじめとするLGBTQ+の人たちが、自らの権利について声を上げ始めた(声を上げやすくなった)ことに由来し、6月をプライド月間と呼ぶようになった。毎年6月、聖地ニューヨークを筆頭に各地でプライドパレードが開催されているのも、そのためだ。
今回は苦境の中で立ち上がった先人たちに敬意を表し、そしてプライド月間を祝し、クィアを入り口に「学び」を得られる場所をクィアスポットとして、いくつか紹介する。黒人差別をはじめ、あらゆる差別と暴力の歴史について、ともに学ぶ機会となることを願って。
LGBTQ+への理解を広めるメイクアップアーティスト 西村宏堂
僧侶、メイクアップアーティスト、またLGBTQ+の当事者であり、自身の体験を踏まえた視点をグローバルに発信する西村宏堂。その波瀾(はらん)万丈なキャリアは、ミスユニバース大会の舞台裏や、日本で撮影されたNetflixの番組『クィア・アイ in Japan!』スペシャルシリーズでのファブ5とのコラボレーションまで、多岐にわたる。
任されたプロジェクトで世界を飛び回ることと、東京で僧侶として生活することは、一見異なる二重の人生を過ごしているように見えるが、西村はそこに違いはないと言う。このインタビューで、彼は自身の類いまれな人生と、自分自身のために道を切り開いた経験について語っている。
ベストLGBT映画 50選
『The 50 best gay movies: the best in LGBT film-making』と題して、タイムアウトロンドンでLGBT映画のベスト50が紹介された。1位に選ばれたのは、カウボーイ同士の悲恋を描いた名作『ブロークバック・マウンテン』。
そのほかにも、2013年にカンヌの最高賞パルムドールを獲得したことでも話題になった『アデル、ブルーは熱い色』、「ドロシーの友達?(彼はゲイ?)」という言葉も生み出したLGBT映画の古典『オズの魔法使』などがランクイン。LGBTとくくらずとも映画として素晴らしい作品が数多く選ばれているので、何を観るか迷ったときの参考にしてほしい。
自分たちの居場所を作ること
クラブイベントには珍しく、参加者の多くが女性というパーティーが渋谷の青山蜂で開催され、話題を集めている。『Wife/WAIFU(ワイフ)』は、「ジェンダー、セクシュアリティ、人種、年齢などにかかわらず、オープンで他者と寄り添う気持ちのあるさまざまな人が安心して楽しめるセーファースペースを、参加者とともに作り上げていくこと」をテーマに据え、トランスジェンダー女性を含めた女性を軽視するような行為、および人種差別的な行動には即刻退場を求めるポリシーを掲げたパーティーだ。
今回タイムアウト東京では、社会の現状に対するカウンターとして自分たちの居場所を作り出したオーガナイザーたち、美術家で海外展示のため不在のミドリ(Midori Morita)を除く、ローレン(Lauren Rose Kocher)、エリン(Elin McCready)、アサミ(Maiko Asami)、リサ(Lisa Tani)に話を聞いた。
生きた本棚が作るゲイコミュニティー
言わずと知れたゲイタウン新宿2丁目。その深奥にある、とりわけディープな一角、新千鳥街の中でブックカフェのオカマルトは営業している。
店主の小倉東(おぐら・とう)は、ドラァグクイーン「マーガレット」の名でも知られる、日本のアンダーグラウンドなゲイシーンにおける最重要人物の一人だ。本棚に並ぶのは、通常のブックカフェとは異なり、ポルノ雑誌からアカデミックな研究書まで、ゲイやクィアカルチャー、同性愛などにまつわるものばかり。2丁目というコミュニティー内でゲイ資料をアーカイブしていく意義とは何なのか。平日昼間のオカマルトで話を聞いた。