夏に観たいエモい日本のホラー映画
イラスト:Lee Yuni | 夏に観たいエモい日本のホラー映画
イラスト:Lee Yuni

夏に観たいエモい日本のホラー映画6選

恐怖の中にきらめく愛おしさが光る異色のJホラー

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夏といえばそう、ホラーだ。この季節になるとホラーが観たくなるというのは人間として至極当然の生理的欲求であるが、「単に怖いだけでは嫌だ。せつなさや笑いといった要素も欲しい」という欲張りのために、夏に観たい「エモい」日本のホラー映画を紹介しよう。

1990年代後半の『リング』や黒沢清の『CURE』以降、ジャパニーズホラーといえばウェットで陰気(そして多くがバッドエンド)なものというイメージになってしまったが、本稿ではそれらとは全く異なる、ノスタルジーなきらめきに満ちたすてきなホラー作品を集めた。

蒸し暑い夏の夜、友達や家族とあるいは一人で部屋を暗くしてひっそり観れば、あなたの胸はエモーショナルで張り裂けること請け合いだ。

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『超少女REIKO』(1991年)

観月ありさが映画デビューを飾った学園サイキックホラー。監督・脚本は、後の平成ゴジラシリーズを手がける大河原孝夫だ。

文化祭を1週間後に控えた高校で謎の超常現象が起こり、霊媒師の孫であるエスパー少女・九藤玲子ら6人の生徒が「ESP研究会」を結成する。パソコンオタクのデータ野郎や「ですわ」口調のお嬢様キャラといったアニメチックな登場人物や、映画『エクソシスト』と『キャリー』にリスペクトをささげたチープな特撮など、全体的に味わい深さ満載だ。

この手のカルト映画にありがちだが、制作者が意図していない部分でシュールな笑いが生まれており、ツッコミを入れながら観るのも楽しい。基本無表情で淡々としゃべる観月ありさのフレッシュな存在感も大変よい。

クライマックスは、突風が吹き荒れ人がブッ飛ぶ『童夢』系サイキックバトルになる。

『異人たちとの夏』(1988年)

幼くして両親と死別した主人公が、かつて暮らした浅草で若き日の両親に遭遇する。死んだはずの両親との触れ合いに幸せを覚える主人公だったが、日に日にやつれ……という、ハートフルとノスタルジーとホラーが融合した不思議な映画だ。

原作は山田太一、監督はまさに絶頂期の大林宣彦だが、古き良き昭和下町への憧憬(しょうけい)や優しいファンタジー感覚にあふれた、切なくも温かいドラマに胸を打たれる。

センチメンタル一本やりで終わらず、クライマックスで急に爆裂するところにも大林イズムが感じられる。ただ単に「泣ける」映画で終わらない、一粒で何度もおいしい作品だ。

主人公の父親を演じるのは、近年ヨガでお馴染みの片岡鶴太郎だが、非常に味のある演技を見せている。

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『学校の怪談』(1995年)

旧校舎で行方不明になった妹を探すべく、先生と子どもたちが怪異うごめく旧校舎を探検する! 致死量の平成初期が詰め込まれた、笑って泣ける傑作だ。

メリーさん、トイレの花子さん、動く人体模型、口裂け女、テケテケ―。こうして列挙するだけで気絶するほど懐かしい妖怪たちが所狭しと大暴れするが、それでいて小学生が観てもビビり泣きしない程度にいいあんばいに調節されたホラー具合。さらには淡い初恋的な要素も入っており、エンタメ映画として死角ナシだ。

CGを極力使わず特殊メイクやストップモーションで勝負する映像感覚は、今観ても味わい深い。90年代に小学生時代を過ごした世代ならば、エモさのあまり身もだえすること請け合いである。

用務員室にひそむクリーチャー「インフェルノ」をデザインしたのは、イラストレーターの寺田克也である。

『歌姫魔界をゆく』(1980年)

筒井康隆が絶賛した、売り出し中のアイドルユニットが人食い魔女の館に迷い込むという、手作り感覚満載のインディー系ホラーコメディー。ドラキュラだの狼男だの恐竜だの大剣だの火炎放射器だの、何でもアリで駆け抜ける驚愕(きょうがく)の63分。

カルト映画とは時を経て観客が認定するモノだが、本作は明らかに最初からカルト映画になることを志しており、ツッコミどころ満載だし徹頭徹尾バカバカしい。どう見ても超低予算だが、ストップモーションアニメの挿入や血のり使いまくりなスプラッタシーンなど、やりたいことを存分に詰め込んだバイブスに胸打たれる。

劇伴を担当しているのは、当時「テクノ御三家」と称されたヒカシュー。現代では失われてしまった「ナンセンス」あふれる映像感覚がエモい。

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『東京上空いらっしゃいませ』(1990年)

事故死した17歳の少女が、お人よしの天使をダマして幽霊となり地上に舞い戻るというゴーストファンタジー。本作が映画デビュー作となる牧瀬里穂の圧倒的ヒロイン力がみなぎりまくっており、それだけで既に観る価値がある。こんなにかわいかったら、日常生活に支障を来すんじゃないかって心配になってしまう。

監督は『台風クラブ』の相米慎二。相米といえば役者をイビり倒して作り上げる緻密な長回しであるが、3分半ワンカットで撮ったハンバーガー屋のアルバイトシーンは、相米ファンの中でも語り草となっている。

脚本はかなり粗くツッコミどころも多いが、クライマックスのミュージカルシーンはそれらを全て突破し、「なんかいい映画観たわ」と観客に思わせるだけの突破力がある。

『地獄堂霊界通信』(1996年)

同名の児童文学を原作とする怪奇アクション映画。悪ガキ3人組が「地獄堂」なる怪しい薬屋のジーさんの導きによって霊能力を手に入れ、妖怪や死神とバトルを繰り広げる。

監督は『ビー・バップ・ハイスクール』で知られる那須博之だが、得意のヤンキー映画ノリを本作でも採用しており、出てくる小学生たちが全員めちゃくちゃヤンキー口調。頑張ってすごく悪そうにしゃべっているのがありありと伝わり、エモい。散々異能バトルをやった揚げ句、クライマックスが普通に殴り合いなのもヤバい。パンチやキックが当て振りじゃなくてリアルヒットなのもすご過ぎる。

主演3人が踊りながら歌うエンディングテーマ「超こわい!」は、スカ歌謡ディスコの隠れ名曲だ。

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