2025年秋に、エルメス財団は書籍『Savoir & Faire 金属』を出版する。本書は、自然素材を巡る職人技術や手わざの再考・継承・拡張を試みるプログラム「スキル・アカデミー」の一環だ。本書の刊行を記念し、「銀座メゾンエルメス ル フォーラム」では、金属の属性を考えるグループ展が開催される。
金、銀、鉄、鉛、真鍮(しんちゅう)。青銅器時代から文明とともに歩んできた金属は、原材料となる鉱物や加工技術の多様性といった特有の性質を持つ。文化的な側面として、鉱石から金属を取り出し加工する姿は、神話や魔術などの象徴でもある。また、赤い炎を操る勇姿やカンカンと響く工具の音は、現代人の記憶にまで畏敬とともに呼び起こされる。
中世の錬金術や近代の合理性、あるいは音がもたらす象徴性、闇と光、社会階層など、本展では音楽・映像・造形の側面から3人のアーティストたちが金属を読み解き、再考する。
メタル音楽を記号論的に解釈するエロディ・ルスール(Élodie Lesourd)。映画監督の遠藤麻衣子は、日本古来の朱と水銀を媒介に内的宇宙と外的象徴を創造し、榎忠は鉄球としての地球に人間活動を重ね合わせ、廃材を用いた作品を作る。
金属が歴史の中で作り上げてきた属性を多角的にアプローチする本展。見逃さないでほしい。





























