「SUCHSIZE」で、チ・L・グエン(Chi L. Nguyễn)と野村在を迎え、記憶の共有と継承を探求する展覧会が開催。普段交わらないはずの他者の記憶に触れたときに起こる、記憶の想起や認識の変容についての可能性を探る。
両アーティストは、個人や家族など私的な記憶から作品を構成しつつも、記憶が個人だけに帰属することはまれであることを示唆する。そして、記憶が世代を超えて伝達されていることを思い出させてくれる。
ベトナム人アーティストのグエンは、口承の伝統や工芸との対話を通して「継承された記憶」を探り、伝承や歴史がアイデンティティーを形作る過程を考察。ライスペーパーの上に家族の記憶や植民地時代の記録を思わせるイラストを描き、何世代にも及ぶ歴史の視覚言語を重ね合わせ、記憶の境界を曖昧にする。
アメリカを拠点とする野村は、失われた記憶の継承をテーマにしたパフォーマティブな彫刻作品を発表。本作は、わたあめ製造機能を備えた彫刻と、認知症の人が所有する過去の写真が印刷されたあめを中心に構成される。鑑賞者はあめを選び、それから制作される「記憶のわたあめ」を食べるという体験を促される。
本展では、これら他者の記憶や物語に触れる作品を通して、多文化が共生する大阪市西成区の社会構造に語りかける芸術交流を生み出していく。























