THE SKY PROMISED NOTHING
画像提供:DIESEL ART GALLERY | New Artwork 04
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東京、8月に行くべき無料のアート展9選

李禹煥、イッセイ ミヤケ、VERDY企画のグループ展など

Chikaru Yoshioka
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8月の東京は、芸術の刺激であふれている。李禹煥のドローイングと彫刻を紹介する展示、ストリートフォトグラフィーの国際公募展「TOKYO STREET PHOTOGRAPHY FESTIVAL」、イッセイ ミヤケとアンサンブル・スタジオによる「21_21 DESIGN SIGHT」での特別展など、幅広いジャンルが揃う。

夏の東京で、国内外のアーティストが生み出す多彩な表現に出合おう。

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「世田谷美術館」の「区民ギャラリーA」で、FRAME TOKYO主催のストリートフォトグラフィーに特化した日本唯一の国際公募写真展「TOKYO STREET PHOTOGRAPHY FESTIVAL 26」が開催。世界29カ国の写真家による作品が集結し、さまざまな文化や視点を通して、都市や人間の営みを見つめ直す機会を創出する。

FRAME TOKYOは、ストリートフォトグラフィーを軸に活動する写真家コレクティブ。国内外の写真家をつなぐ展覧会や国際交流、出版活動を通じて、ストリートフォトグラフィーをはじめとする写真文化の普及・発展を目指している。

写真展では、「色は現実か、本質か。」をテーマに、カラー作品とモノクロ作品を空間ごとに分けて展示。色彩がもたらす情報量と、モノクロームが生み出す抽象性を対比させながら、「色」が写真の印象に与える影響を体感できる。また、ノルウェーの写真家集団「Oslo Street Photography Collective」との国際交流展示も同時開催し、オスロを拠点に活動する写真家の作品を紹介する。

同じ街を写していても、写真家によって捉える世界は異なる。その多彩な視点を一つの空間に集めた本展では、来場者自身の「見る」という行為について考えるきっかけとなるだろう。

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リ・ウファン(李禹煥)は、1960年代末から始まった戦後日本美術の重要な動向「もの派」を、理論と実践の両面から牽引(けんいん)した作家。「SCAI THE BATHHOUSE」で開催される「李禹煥:Work on Paper / Sculpture」では、素材の物質性に着目しながら、立体と平面を横断して展開されてきたの仕事を、1970年代から近年までのドローイングと彫刻を通して紹介する。

紙に木炭や水彩で描かれたドローイングには、反復する行為の痕跡が刻まれ、同時期の代表作『線より』『点より』に見られる時間性とのつながりを感じさせる。また、荒々しい筆致を残す作品には、後の『風より』『風と共に』へと展開する、揺らぎや混沌(こんとん)を含んだ表現の兆しが見て取れる。

1980年代末以降の作品では、抑制された筆遣いによって生まれる余白が大きな役割を担うようになり、2000年代以降は、わずかな筆跡とその周囲に広がる空白との関係性へと意識が向けられている。こうした「全ては相互に関係し合っている」という李の世界観は、彫刻作品にも通底する。

本展でも3点が展示される「関係項」シリーズは、作家による恣意的な表現を極力抑え、自然・人工の素材を空間に配置し、それぞれ石と異なる形状の鉄を組み合わせたもの。石の形状に呼応するように湾曲したステンレスの棒や、一辺がへこんだ鉄板は、物質同士の間に働く目に見えない力や関係性を示唆している。

こうした作品群を通して、李は「ものともの」「ものと人」「ものと場所」 との関係性を問い直す。

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21_21 DESIGN SIGHT(トゥーワン トゥーワン デザインサイト)」で、特別展「ザ・ペーパーログ:膜と核 — イッセイ ミヤケによるアンサンブル・スタジオとの協業プロジェクト」が開催される。イッセイ ミヤケの独自技法「製品プリーツ」の製造工程で生まれる副産物「ペーパーログ」に新たな価値を見いだす協業プロジェクトを紹介。会場では、今年の「ミラノデザインウィーク」で発表されたインスタレーションを再構成し、日本で初公開する。

プロジェクトは、三宅デザイン事務所のデザインディレクターの一人である近藤悟史の構想を基に、スペインの建築事務所「アンサンブル・スタジオ」とイッセイ ミヤケのプロジェクトチームが共同で進めたもの。展示では、ペーパーログからはがした紙を造形し、素材に刻まれたひだやしわを生かしたオブジェ『膜』と、スツールや椅子、テーブルなどの家具へと展開したプロトタイプ『核』を公開する。

本来は処分されるペーパーログに残された記憶や物質性に着目し、ファッションと建築、それぞれの視点からさらなる可能性を探求。素材の変容や創造のプロセスを通して、既存の価値観を問い直し、人々の生活を豊かにしていくことを目指している。

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  • 渋谷

DIESEL ART GALLERY」で、メキシコ・グアダラハラを拠点に活動するアーティスト、リカルド・ルエバノス(Ricardo Luevanos)によるアジア初個展「THE SKY PROMISED NOTHING」が開催される。

ルエバノスは、デジタルドローイング、ペインティング、彫刻、インスタレーションなど多様なメディアを横断し、鳥や人物、象徴的な言葉をモチーフに、人間の感情や内面を詩的に描き出す。美しさと痛みを創作の核に、ノスタルジア、希望、喪失、切望といった普遍的なテーマを探求している。

本展では、憧れや記憶、自らの限界を超えようとする人間の衝動を提示。壊れたはしごや宙に浮かぶ平台、鳥の彫刻、顔を隠した人物像などを通して、希望と喪失、切望と可能性の間で揺れ動く姿を浮かび上がらせる。

作品の展示・販売に加え、会場限定グッズやDIESELとのコラボレーションによるTシャツも購入できる。ぜひチェックしてほしい。

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GYRE GALLERY」で、VERDYが企画を手がけるグループ展「VERDY Presents “In Good Company”」が開催。VERDYが長年にわたり共感を寄せ、創作活動において影響を受けてきた国内外のアーティスト14組を紹介する。

参加アーティストには、VERDYをはじめ、国際的に活躍するココ・カピタン(Coco Capitán)、シャニークワ・ジャービス(Shaniqwa Jarvis)ら、国内外の注目作家が名を連ねる。

本展は、特定のテーマを掲げるのではなく、作品から感じ取った親しみや心地よさ、感情、そして創作へのインスピレーションを起点に構成。異なる表現手法や視点を持つアーティストたちの作品には、それぞれの個性とともに、人間性や誠実さといった共通する要素が宿っている。

また、国やジャンルの垣根を越えた作家たちの表現を東京に集めることで、作品同士の対話や新たなつながりが生まれる場を提示する。

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  • 京橋

「小山登美夫ギャラリー京橋」で、染谷悠子の個展「土や星や」が開催。岡山県の日置谷へ制作拠点を移して以降に手がけた新作を中心に紹介する。

身近な風景や自然、生と死の循環を主題に、動植物が混在する幻想的な世界を描いてきた染谷。本展では、山や谷、土に囲まれた環境での暮らしを通して生まれた作品を発表する。畑仕事を始めたことで土や生き物との距離が変化し、「土の中にも宇宙的多次元が展開されている」と感じるようになったという作家は、土と星、自然と人とのつながりを新たな視点で見つめている。

また、制作方法にも大きな変化が見られる。設計図のような下絵やキャンバス上での構成を離れ、和紙そのものを支持体とすることで、紙のしわやうねりといった素材の表情を生かした表現へと移行。キャンバスの制約から解放されたことで作品は過去最大規模へと発展し、土や星、樹木などのモチーフがより自由で伸びやかに広がる画面を生み出した。

山や谷に囲まれた環境での暮らしは、作家に新たな余白をもたらし、その中で育まれた鋭い感性が、作品に確かなリアリティーを与えた。新作には、内面的な変容と呼応するように、柔軟な空間性と大らかさが表れている。

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  • 銀座

「ライカギャラリー」で、小川康博の写真展が開催。長年にわたり世界各地を旅しながら撮影してきたモノクローム作品によるシリーズ『The Dreaming』と、松尾芭蕉の『おくのほそ道』へのオマージュとして制作された『Into the Silence』から作品を選出して展示する。

『The Dreaming』では、後年、作家が自身のネガを見返した時、そこに残されていたのは単なる旅の記録ではなく、夢のような記憶だった。遠い土地で出合った光や風景、雨や霧、名もない街角の気配は、時の経過とともに新たな意味を帯び、記憶の中で静かな余韻となって息づいている。

一方で、『Into the Silence』は、若い頃から芭蕉の俳句に魅了されてきた小川が、旅に取りつかれた一人の人間として北国を巡り、その風土や季節、そこに流れる時間と向き合ったもの。そこに写し出されるのは風景そのものではなく、旅の途中で感じた孤独や憧憬(しょうけい)、生への情熱だ。

2つのシリーズに共通するのは、移ろう記憶と時間へのまなざしである。「Dream / Silence 夢と沈黙のあいだ」という展覧会タイトルは、小川の作品に流れる旅の記憶と沈黙の世界を表現している。本展では、夢と沈黙、漂泊と静けさが交差する作品世界を体験できるだろう。

会場には、作家自身が制作に深く関わったオリジナルプリントが並ぶ。旅先で出合った光や風景、時間の痕跡は、写真という物質を通して一つの作品へと昇華される。豊かな階調と静かな余韻を持つ、小川の写真表現を堪能してほしい。

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  • 銀座

Akio Nagasawa Gallery Ginza」で、川元陽子の個展「Somewhere about here」が開催。未発表の最新作を含む、「どこかにある場所」でありながら「ここ」とも重なるような風景を描いた作品群を紹介する。

川元は1990年代後半から独学で油絵を描き始め、1999年に『illustration』(玄光社)のコンペティション「ザ・チョイス」で優秀賞を受賞。国内外で作品を発表するほか、作品集やCDジャケットのアートワークも手がけてきた。特別な場所ではなく、身近な風景や見過ごされがちな景色をモチーフに、絵画そのものを見つめる視点を探求し続けている。

「誰にも注目されない身近な風景を描くことで、絵そのものを見てもらいたいと考えてきた」と語る川元。また、長年にわたり遠くへ撮影旅行に出ることを思い描きながらも、結局は近所を歩き続けてきたことに触れ、「どこへ行っても同じような場所を探していたのかもしれない」と振り返っている。

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  • 神谷町

Gallery 舞台裏」で、秋山珠里と服部憲明による二人展「光の後始末<ep.3>」が開催。一般社団法人日本現代美術商協会(CADAN)メンバーのギャラリーが、リレー形式で展覧会を行う企画「CADAN舞台裏」の第3弾だ。

本展の「光の後始末」というタイトルには、後始末の主体が光なのか、作家なのか、あるいは鑑賞者なのかを限定できない曖昧な関係性が込められている。どれでもないと同時に、全てでもある。光、作家、作品、鑑賞者の主/客の境界が混然となることで、展示がそれらの関係や相互作用によって立ち現れる事象であることを浮かび上がらせる。

参加作家の秋山は、「勿体」をテーマに探求を続け、近年は蜜蝋(みつろう)を用いた絵画技法「エンカウスティーク」を中心に制作を展開。一方、服部は工業用レーザー加工機を用い、スプレーペイントを施したアルミ板をレーザーで削り出す独自の「インダストリアルペインティング」を手がける。

用いる素材や技法は異なるものの、両者に共通するのは、潜在するイメージを引き出すことで絵画を成立させている点だ。それぞれのアプローチを通して、絵画表現の新たな可能性を提示していく。

8月の予定を立てるなら……

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