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アンリアレイジ《PLANET》 2022年
アンリアレイジ《PLANET》 2022年

東京、1月に行くべきアート展5選

知性と感性を刺激する、冬の注目展示

Chikaru Yoshioka
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寒さが深まる1月の東京は、思考を刺激するアートと出合うのに最適な季節。国際的に活躍する作家、アルフレド・ジャーの個展から、「東京都現代美術館」でのサイエンスとアートが交差する企画、さらにはガウディ没後100年と「サグラダ・ファミリア」の新たな節目を祝う没入型体験まで。いま、この都市でしか体感できない表現が、美術館や展示空間に集結している。

2026年のはじまりに訪れたい、東京の注目アート展5選を紹介しよう。

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  • アート
  • 初台

東京オペラシティ アートギャラリー」で、チリ出身でニューヨークを拠点に国際的に活躍する作家、アルフレド・ジャー(Alfredo Jaar)の個展「アルフレド・ジャー あなたと私、そして世界のすべての人たち」が開催。大型作品をはじめ、1970年代の初期作品から代表作、本展のための新作が出品される。

1980年代、ニューヨークの都市空間に介入する『Rushes』や『アメリカのためのロゴ』で注目を集めたジャー。1986年の「ヴェネチア・ビエンナーレ」、1987年の「ドクメンタ」の両方に招待された初のラテンアメリカ出身作家となった。以来、社会の不均衡や世界各地で起きる地政学的な出来事に対する繊細な視点と、真摯(しんし)な調査に基づく作品で知られている。

作品は写真、映像、建築的なスケールの立体作品と多様なメディアにわたり、身体的体験を伴うインスタレーションが特徴。誰かを糾弾するのではなく、世界を検証する詩的なモデルを作り出す。

ジャーの一貫した姿勢は、戦争や不平等といった悲劇から日常の問題まで、私たちの前にある現実を静かに、しかし力強く突きつける。善悪は単純に割り切れず、時に反転し、遠い国の惨事にも私たちが関与している可能性があること。こうした実践が評価され、2018年には「美術の分野で人類の平和に貢献した作家」を顕彰する「ヒロシマ賞」を受賞している。

なぜ、世界の諸問題を題材とした作品を作り続けているのか。作家が半生を振り返りながら構成した本展は、鑑賞者一人一人が世界と自身、そしてアートの力と向き合う機会となるだろう。

  • アート
  • 清澄

 「東京都現代美術館」で、宇宙や量子をテーマにサイエンスとアートが交差する企画展が開催。科学者による宇宙研究の成果や、宇宙を題材としたアーティストの作品に加え、国産量子コンピューターによる初のアート作品など、「時と空間」が揺らぐ量子領域に挑む多様な表現の可能性を紹介する。

本展は、「2025年日本国際博覧会」で「量子的なセンス」の重要性を提示した「エンタングル・モーメント[量子・海・宇宙]×芸術」展の試みを継承するもの。宇宙開発が切り開く「物理的宇宙」にとどまらず、多元宇宙や量子宇宙といった新たな世界観を、アートとサイエンスの視点から考察していく。

また、芸術を含む人文社会科学の視点から宇宙を捉える試みとして、国内外の研究機関によるアーティスト・イン・レジデンスの成果を紹介。宇宙や量子研究に基づくデータの可視化・可聴化を用いたダイナミックな映像インスタレーションをはじめ、メタバースやゲーム形式の作品、XR(クロスリアリティ)展示、絶えず変化するインフィニティ空間、ミューオンやニュートリノを身近に感じさせる体験など、多層的な展示が展開される。

参加作家は落合陽一、久保田晃弘+QIQB、平川紀道、ARTSATプロジェクト、古澤龍、江渡浩一郎+アラレグミ、アンリアレイジ、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)/天文仮想研究所(VSP) /東京藝術大学など。ぜひ足を運んでほしい。

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  • アート
  • 天王洲

アントニ・ガウディ(Antoni Gaudí)の没後100年、そして「サグラダ・ファミリア」のメインタワー「イエスの塔」完成を記念し、ガウディの精神を体験する展覧会が開催。ガウディ財団からの正式オファーを受け、クリエーティブカンパニーのNAKEDが世界初、同財団と公式ライセンス契約を締結した。

自然の法則を学び、そこに潜む美と秩序を形にした建築家のガウディ。本展では彼の思想と革新性を、現代の視点から見つめ直し、そのまなざしに触れ、自然とともに生きる知恵を感じられる。

会場では、ガウディの手記や直筆の書簡、制作道具をはじめ、未公開の資料や模型、スケッチなど、学術的にも貴重なコレクションを網羅的に展示。さらに、筆跡心理学的分析による世界初の研究成果を通じて、ガウディの内面と創造思考を読み解くなど、これまでにない深度でガウディの精神世界に迫っていく。

また、ガウディ建築の魅力に触れられる参加型アートも登場。鑑賞者がサグラダ・ファミリアの一部を完成させていく体験では、未完成の象徴でもあるこの建築が、今も多くの人の手で築かれ続けていることを実感するだろう。

ガウディが見た自然との調和の世界を、手と感性で感じ取ってほしい。

  • アート
  • 汐留

「パナソニック汐留美術館」で、「美しさ」にまつわる芸術、装飾工芸、建築デザインにテーマを絞り、暮らしの中に描かれてきた「美しいユートピア」を見つめる展覧会が開催。作品資料約170点を通して、20世紀日本における理想の暮らしをひも解き、当時の来るべき世界を振り返り、今日のユートピアを思い描く。

暮らしの過去を訪ね、未来を夢見る運動を、本展では「ユートピア」と呼ぶ。語源は16世紀、トマス・モア(Thomas More)の小説に由来し、「どこにもない場所」を意味する。ウィリアム・モリス(William Morris)は『ユートピア便り』で、暮らしと芸術の総合を掲げ、今ここにある課題を見つめ、どこにもない理想を夢見た。

その思想が紹介された20世紀の日本でも、ユートピアは暮らしを取り巻く課題と理想となり、あらゆる場所で幅広いジャンルを結ぶ共同体が模索された。本展では、美術・工芸・建築・民俗学を横断し、夢の形をたどる。

建築では、ジョン・ラスキン(John Ruskin)の『建築の七燈』を起点に、蔵田周忠の自邸、立原道造の芸術家コロニー構想、今和次郎の民家採集、アントニン&ノエミ・レーモンドAntonin, Noémi Raymond)や磯崎新らの作品まで、ユートピアを巡る多彩な建築資料を紹介する。

絵画では、パリの芸術に憧れ「池袋モンパルナス」 に集った画家たちが、1930年代以降、次第に戦争へと巻き込まれていく中で、時局に抗い個人の創作を追求した新人画会の作品を紹介。靉光(あいみつ)、麻生三郎、鶴岡政男、寺田政明、松本竣介らの絵画を通して、戦争の時代に不安を抱えながらも制作に向き合った画家たちの姿を浮かび上げる。

会場構成は、注目の若手建築コレクティブのGROUPが手がける。ぜひ足を運んでほしい。

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  • アート
  • 駒場東大前

「日本民藝館」で、同館の創設者で民藝運動を興した柳宗悦(18891961年)が見た「抽象美」とは何かを探る展覧会「抽象美と柳宗悦」が開催される。

柳の晩年に当たる1950年代は、日本の美術界で抽象美術が大きな注目を集めた。1957年、柳は雑誌『心』に「抽象美について」を寄稿。「古くして新しい抽象美」について述べたこの一文は、1958年の『民藝』第63号での抽象紋特集に発展し、多くの図版によって具体的に提示された。

この特集は、染織では「久留米絣(くるめがすり)」 沖縄の「琉球絣(りゅうきゅうかすり)」「こぎん刺し」やアイヌ民族の衣装、陶磁では日本の「流し釉(ながしゆう)」やイギリスの「スリップウェア」などが登場。また、北アメリカをはじめとする先住民族の工芸における「抽象美」も紹介され、民族芸術(エスニックアート)や部族美術(トライバルアート)といわれる原始的な造形に、柳も注目していたことが分かる。

本展では、特集に掲載された「抽象紋」の工芸を軸に構成。さらに、柳が関心を持った近代絵画も並び、近代美術に向けた柳の視線の一端を紹介する。

アート情報と言えば……

  • アート

2026年の東京は、アートを巡る話題が尽きない一年になりそうだ。空山基やロン・ミュエクの大規模回顧展をはじめ、ピカソとポール・スミスの創造性が交差する企画、杉本博司が挑む写真表現の極地など、ジャンルや文脈を越えた展覧会が各美術館で開催される。

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