笹本晃 ラボラトリー
《Cooking Show[クッキング・ショー]》2005 ©Aki Sasamoto. Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo
《Cooking Show[クッキング・ショー]》2005 ©Aki Sasamoto. Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo

東京、8月に行くべきアート展5選

笹本晃のパフォーマンス、ペドロ・コスタの日本最大規模展、21_21 DESIGN SIGHTのプリント工場など

Chikaru Yoshioka
広告

タイムアウト東京 > アート&カルチャー > 東京、8月に行くべきアート展5選

今月はどんなアートに出合うだろうか。焼け付くような暑さの季節には、涼しい美術館やギャラリーで感銘深いひとときを過ごしてほしい。

本記事では、そんな時を過ごすべく2025年8月に行くべきアート展を厳選して紹介する。ポルトガルを代表する映画監督のペドロ・コスタ、ニューヨークを拠点に国際的に活躍する笹本晃、草間彌生・河原温・杉本博司などの作品を紹介する現代美術展など、注目のものをピックアップした。

関連記事
東京、8〜9月に行くべきブックイベント5選

  • アート
  • 恵比寿

「東京都写真美術館」で、ポルトガルを代表する映画監督のペドロ・コスタ(Pedro Costa)による、日本最大規模で東京で初となる美術館での個展が開催。近年、映画だけでなく世界各地で展覧会も開催し、表現の領域を広げるコスタの集大成ともいえる展覧会だ。

ドキュメンタリーとフィクションの境界を揺るがす独自の映像表現で、現代映画の最前線を切り開いてきたコスタ。本展は、コスタが10代の頃に出合い、深い影響を受けたスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の1973年のアルバム『Innervisions』と同名のタイトルを掲げる。音楽を通して社会と個人の関係に迫ろうとしたこのアルバムの精神は、彼の映像制作の方法論とも深く響き合っている。

会場では、ポルトガルで暮らすアフリカ系移民の歴史を照らし出した『ホース・マネー』など、コスタ作品において重要な役割を担う登場人物たちや、彼らが生きる場所に関わる映像作品などを紹介。コスタの映像表現とその背景にある歴史的・社会的文脈に触れることで、「インナーヴィジョンズ」という主題を考察していく。

映像・写真・音が交錯する展示空間を歩きながら、その断片を鑑賞者の手で編み直すように体験できる本展。映画とは異なる鑑賞体験を楽しんでほしい。

  • アート
  • 清澄

「東京都現代美術館」で、ニューヨークを拠点に国際的に活躍する注目のアーティスト、笹本晃(ささもと・あき)の個展が開催。初期の代表作から、キネティックな要素が強まる近年の作品まで、笹本の約20年にわたる活動を概観する。

笹本は、2000年代半ばからパフォーマンス、ダンス、インスタレーション、映像など、自身のアイディアを伝えるのに必要なメディアを横断的に用いた作品を手がけてきた。特に自ら設計・構成した彫刻、装置、造形物を空間に配してインスタレーションを創り出し、その中で自身がその環境の構成要素の一つとなって即興的なパフォーマンスを行うスタイルで広く知られている。

会場では、写真や立体作品、パフォーマンス時に生み出されるダイアグラム、映像作品、そして代表的なパフォーマンス・インスタレーション空間の再構成などによって、笹本作品のテーマや手法の変遷を、さまざまな角度から紹介していく。

また、8月23日(土)・24日(日)、28日(木)~31日(日)と、10月中旬、11月上旬には、インスタレーション空間の中でアーティスト自身が即興的に行うパフォーマンスを実施。2010年の「ホイットニー・ビエンナーレ」で初めて発表した『ストレンジ・アトラクターズ』から、2024年に香港で発表した『Sounding Lines』、本展のための新作を組み合わせた新たなパフォーマンスまで、新旧の4作品が一堂に会する。造形とパフォーマンスの関係を探究し、独自の実践を重ねてきた異才とその作品を目撃してみては。

なお、913(土)・14日(日)は学生と高校・中学生の入場が無料だ。リーズナブルな一般2枚のツインチケットも、チケットカウンターでのみ2500円で販売しているのでチェックしてほしい。

広告
  • アート
  • 六本木

この夏、「トゥーワン トゥーワン デザインサイト(21_21 DESIGN SIGHT)」にプリント工場が登場する。「いいもの」を探求し、遊び心にあふれたプロダクトを提案し続ける「GOOD GOODS ISSEY MIYAKE」と、前例のないものづくりに取り組み続けるエンジニア集団・nomenaによる企画だ。

「プリント」という言葉には、図柄や印刷という意味以外に、痕跡や印を残す行為も含まれる。例えば、曇った窓ガラスに指で模様を付けることや、自転車のタイヤの跡が思わぬ軌跡を描くことなどだ。本展は、そういった偶然や創造の瞬間が重なって生まれる魅力的なプリントのための工場なのである。

会場には、独自の技術で生地にプリントを描き続ける装置「GOOD PRINTER」が設置。鑑賞者は、稼働中の装置に触れることができる。その好奇心や創造性、あるいは無意識の動きによって、描かれる図柄は常に変化し、重なり合い、布に記録され続ける。同じ図柄が再びプリントされることなく、生地はそのまま会場内で乾かされ、後にプロダクトに使用される予定だ。

「いいもの」とは一体何だろうか。工場という現場に立ち入った体験や記憶が、物の見え方や価値観を変えるかもしれない。そんな疑問や驚きの瞬間を、自身の手で確かめ味わってみてほしい。

なお、装置の稼働時間は13〜19時なので、注意してほしい。

  • アート
  • 千葉

今年で30周年を迎えた「千葉市美術館」で、現代美術のコレクションから戦後美術の多様な展開をたどる展覧会が開催。草間彌生、河原温、田中敦子、中西夏之、河口龍夫、杉本博司、辰野登恵子、吉澤美香、具体美術協会、実験工房、反芸術、ハイレッド・センターなどの作品を紹介する。

本展では、約1800点の現代美術のコレクションから、国内外から注目される1950年代から1990年代にかけての作品約180点を展示。中でも、草間の作品では代表作である「無限の網(Infinity Nets)」シリーズの大型作品『No.B White』のほか、寄託作品を含む19点を収蔵しており、本展で全点公開する。

また、戦後の日本美術史をたどるとともに、近年収蔵した若手作家の作品も登場。なお、10月18日(土)は「市民の日」につき観覧は無料だ。

広告
  • アート
  • 駒場東大前

「日本民藝館」で、日本の板画家・棟方志功の板画を大規模公開する特別展がスタートする。「所蔵作品一挙公開 棟方志功展」の第2弾であり、それぞれの会期で全ての棟方作品の展示替えを行う展覧会だ。

本展では、師と仰ぐ人物や協力者への畏敬の念を、数々の作品に表す棟方作品を紹介。また、板そのものへの思いから「板画」と称することとした1942年以降の作品を交え、万物への感謝を示した棟方の人物像に迫っていく。

なお、8月23日(土)には、棟方志功研究・学芸員の石井頼子と、「河井寬次郎記念館」学芸員の鷺珠江を招いた対談を実施予定だ。

8月の予定を立てるなら……

  • Things to do

夏の夜空を彩る大輪の花火は、いつの年も人々を魅了し、心をとらえて放さない。国内最高峰の花火師による光の共演や、河川敷で打ち上がる美しい大迫力の花火、BGMとシンクロした演出など、8月も地域ごとの個性あふれる花火大会が満載だ。

ここでは東京で開催されるイベントの中から特におすすめを厳選して紹介する。

  • Things to do

厳しい暑さが続くこの季節だからこそ訪れたくなるのが、非日常が味わえるホテルのプールだ。

特にここ最近では、大人が自由にはしゃげるナイトプールや、開放感あふれるルーフトッププールが人気を集めている。日常を離れた特別な空間で涼を感じながら、真夏を思い切り楽しもう。

広告
  • Things to do

7月から9月にかけて、東京では個性的なマーケットイベントがめじろ押しだ。本格的な夏に向けて、服や雑貨など、新しい出合いを探しに行こう。

本記事では、ファッション誌や人気ブランドが主催するマーケットイベントをはじめ、700人の作家が集結するハンドメイドイベント、日本橋の風物詩であるせともの市など、個性豊かなマーケットイベントを8つ紹介。入場無料のものや、音楽ライブも楽しめるものもあるので、気軽に立ち寄ってみてほしい。

おすすめ
    関連情報
    関連情報
    広告