横浜アート
Photo: Darren GoreKoganecho-Hinodecho Arts District

横浜で行くべき10のアートスポット

京急の高架下にあるギャラリー、BankARTを引き継いだ地下施設、眼科医が経営するミュージアムなど

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テキスト:ダレン・ゴア

横浜はアートに関しては長い歴史がある。1859年に横浜が開港したとき、横浜の絵師たちは横浜にやって来た西洋人たちを風変わりな顔とエキゾチックな衣服で描き、錦絵の一ジャンル『横浜絵』を生み出した。最近では、横浜のクリエイティブなシーンはさらに成長を続け、東京と肩を並べるほどになっている。

現在横浜のアーティストやコミュニティーのグループは、大きな美術館にとどまらず、以前にはあまり関心を持たれていなかった地域をクリエーティブなアートの中心地へと変えている。今や横浜の黄金町と日ノ出町は秋にアートフェスティバルの『黄金町バザール』を開催している、見逃せない芸術文化の中心地の一つだ。その中でも、カフェやバーはリラックスした雰囲気を醸し出して、アートの愛好家たちを引きつけてやまない。本記事では横浜のアートシーンとして最適な、いくつかのスポットを紹介していく。

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横浜の黄金町駅と日ノ出町駅の間の高架鉄道の両側を走る二つの細い通りの中には、80ほどの雰囲気の良いアーティストスタジオが、おしゃれなギャラリー、バー、飲食店などと一緒に点在している。

これらの通りに並ぶ店舗は何十年にもわたって違法な風俗店として営業をし、そのためにこのエリアは悪名高いエリアとなっていたが、2005年に最後の違法風俗店が警察により閉鎖。その後は、芸術を愛する地元市民らが『黄金町エリアマネジメントセンター』と呼ばれる非営利組織を結成し、廃屋となっている建物をスタジオやギャラリーにすることを提案した。

Gallery Made in Koganecho、MZ artsなどのギャラリーには展示スペースがあり、アーティストのスタジオが並ぶ様子も壮観。多くのスタジオには通りに面して窓があり、アーティストが制作している様子を見ることができる。さらに、黄金町『アーティスト・イン・レジデンスプログラム(AIR)』専用のスタジオが定期的に公開され、一般の観光客も自由に訪問が可能。この地域を訪れるなら、黄金町バザール』が開かれる秋が最適だろう。

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日の出町駅を出て最初に出合うギャラリーとなるギャラリーメイドイン黄金町(Gallery Made in Koganecho)は、黄金町〜日ノ出町の芸術地区を活気あふれる現代アートの拠点へと変えようとしているグループが運営するギャラリーのうちの一つだ。

地元と関係があるクリエーターや黄金町アーティストインレジデンスプログラム(AIR)に参加するクリエーターの作品の展示を目的としている。横浜のアートシーンは非常に豊かで多様であり、ここでも壁に掛けられた絵画からインスタレーションまで、あらゆる形のアートを体験できるのだ。

映像が上映される際には、フロアスペースの多くの部分がクッションで一杯となってギャラリーは一時的に快適な映画館にも変わる。

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  • 黄金町

この小さな独立したギャラリーは、線路の下にあるほかの展示スペースやスタジオと比べ高尚な雰囲気で、この地域の陽気で若さにあふれたアートシーンに洗練された空気を加えてくれる。

以前はアート好きの公務員だった、気さくな雰囲気のオーナー兼ディレクターの仲原正治は、黄金町〜日ノ出町エリアを抜本的に再生するために、サラリーマンを辞めて自分のギャラリーを開いたという。

ここで開かれる、主に地元とのつながりを持つアーティストによる展覧会では、絵画、写真、オブジェなどの現代美術から時代に左右されないガラス製品や陶磁器まで、さまざまな作品が展示されている。

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店の壁にたくさんのストリートアートが描かれたコンパクトなカフェバーのラフパーク(Laugh Park)は、線路下の狭い通り沿いにある、のんびりとした雰囲気で使い古された家具があふれる多くのスタジオの中にある。以前は合法性が疑わしい風俗店が並んでいたこのエリアを活性化させたアートシーンの中心となる店舗だ。

ファンキーなアートが描かれた店の壁に加え、定期的に展示会や、大抵はDJが音楽を流して行うライブペインティングセッションが開催される。また、地元のクリエーティブな人が酒を飲みに来る店にもなっている。ドリンクは、豊富な種類のウオッカ、ビールや梅酒、日本酒など15種類を提供し、フードメニューではオムライスなどの定番のメニューが楽しめる。

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  • 黄金町

高架下スタジオSite-Aギャラリーは黄金町と隣の日ノ出町を変革し、かつて横浜のあまり好ましくない地区の一つを活気のあるアートの中心地へと変えた黄金町エリアマネジメントセンターが開いた、もう一つのギャラリーだ。

天井が高く、広々とした空間は、京急線の真下にあることを忘れてしまうほど明るく、風通しも良い(ただし、電車が頭上を通過するとギャラリー全体がわずかに揺れる)。このギャラリーは2011年にスタジオスペースに改装され、2015年にギャラリーとしてオープン。以来、若いアーティストからベテランまでさまざまな現代アート作品の展示を精力的に行っている。

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黄金町〜日ノ出町のたくさんのアートスタジオの中にあるカフェ&バーラウンジのタイニーズリビングハブ(Tinys Living Hub)では、大岡川を見下ろすことができる開放的な木製テラスでこたつに入って寒い季節でも食事を楽しめる。毛布も付いているので、足をこたつに入れたまま、床に座って乾杯するのもいい。

ガパオライスやハンバーガーなども提供しており、空腹を満たしてくれる。夕方になると、メニューは岩手県産の牛肉をはじめとする肉料理(ディナーは予約がおすすめ)がメインに。すでに一杯飲んでいるときには、タイニーズリビングハブ自慢のオリジナルクラフトビール『YUKIDOKE』を味わってみてほしい。

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横浜の新高島駅に直結した、このコンクリートの貯蔵庫のような空間は、BankART1929の新しい拠点となっている場所。BankArt1929はこれまでに10年以上を費やして、横浜の海岸地域を創造性とアートの中心地として再開発することに取り組んできた非営利団体だ。

電車のバイパスとして建設され、その後地下倉庫として数十年にわたり使われてきたこの1000平方メートルのスペースは、BankArt Studio NYKが惜しまれつつ閉鎖された後、BankART1929の主要な多目的イベントスペースとして機能するように改装された。

展覧会、ワークショップ、シンポジウムなどのイベントプログラムを行う広大なメイン​​スペースに加え、隣接する地下通路はパブリックアートスペースになっている。この使われなくなった歩行者用の地下通路は、通路全体にわたる映像、写真、インスタレーションなどで歩行者たちを驚かせてくれるのだ。

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ローンチパドギャラリー(Launch Pad Gallery)は、中村川のすぐ南にある石川町地区の閑静な場所に位置し、写真家兼画家のフレッド・ベー(Fred Vee)と地元生まれの版画家リン・リュー(Ling Liu)の二人によって2014年にオープン、グローバルなアートシーンで横浜の知名度を上げるために精力的に取り組んでいる。

二人は、しばしば敷地内にいる二匹の猫と一緒に日本および世界中の新進気鋭のアーティストの作品を展示してきた。これまでにアメリカ、ヨーロッパ、南アフリカなどのアーティストが展示しており、適度な広さのギャラリースペースのおかげで、壁に掛けられた作品を間近に体験できる。それぞれの展覧会は2週間という長さなので、いつも新しい作品を見られる。

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横浜駅西口から徒歩6分の場所にある広大なアートギャラリーのフェイアートミュージアムヨコハマ(FEI ART MUSEUM YOKOHAMA)は、美しい作品がモノを見る目と心を涵養(かんよう)すると考えている。ギャラリーの設立者である深作秀春は、特にこの「目」に関する知識が非常に豊富だ。深作は深作眼科医院の代表であり、経験豊富な眼科医、芸術愛好家、そして画家でもあるからだ。

洗練された現代的なデザインは2012年のオープン以来変わらず、視覚的、感情的にインパクトを与える個展やグループ展のプログラムを開催している。取り上げるジャンルも非常に多岐にわたり、最近ではリトアニア出身のアーティストTadaocernがたくさんの不気味な黒い風船でギャラリーの中を埋め尽くし、日本人ダンサーが新しい解釈の『ロミオとジュリエット』を演じたショーなども知られている。

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横浜中心部の北に位置するこの広大なギャラリーは展示スペース、スタジオ、音楽室、キッズ専用エリアなどを備え、ただのシンプルなギャラリー以上の存在感をもって横浜の創造的な活動の中心地となっている。海に面した街である横浜の住民が、創造的な作品に出合える場所として有名であり、観光客や日本語が分からない人も楽しめる多くの作品を展示している。

毎年、三つの主要な展覧会が開催されており、その一つは最先端の現代美術、写真、子ども向けの芸術を扱ったものだ。これらをさまざまなイベントプログラムが補っており、農家の市場と地元の職人が作った商品を売る露店を組み合わせた『あざみ野アートワゴン&マルシェ』がその中のハイライトの一つとなっている。

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2021年も全国各地の風土に根ざした多くの芸術祭が開催予定だ。本記事では、川俣正や宮永愛子らが参加してコロナ禍からの再スタートを図る北アルプス国際芸術祭 2020 - 2021』家の蔵に眠った「地域の宝」を市内から集める『大蔵ざらえ』などを実施する『奥能登国際芸術祭2020+』など4つを紹介する。

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2021年6月1日(火)、東京国立博物館を会場とした『国宝 鳥獣戯画のすべて』展が再開する。同展は緊急事態宣言の影響で休館中となっていた。会期は延長され、6月20日(日)まで、開館時間は8時30分〜20時(入館は閉館の30分前まで)。チケットは事前予約制で、詳細は公式ウェブサイトを参照してほしい。

『鳥獣戯画』は京都府の高山寺が所蔵する『甲巻』『乙巻』『丙巻』『丁巻』の全4巻から成る絵巻物で、制作時期は平安時代〜鎌倉時代とされる。動物や人物を異なる作風で描いた紙葉を貼り継いで絵巻にしており、複数の作者が描いていると考えられている。

鳥獣戯画
『国宝 鳥獣戯画のすべて』会場、東京国立博物館平成館(Photo: Kisa Toyoshima)

展示は3章構成で、第1章ではこの絵巻を全巻展示、4巻の絵巻物をそれぞれ最初から最後まで通して公開されるのは史上初だ。ここでの見どころは、この絵巻で最も有名な『甲巻』だろう。同巻は「動く歩道」に乗って鑑賞することになっており、来場者は全員が間近に作品の細部を堪能できる。線描や紙の質などの違いから異なる作者に帰されており、そうした細部の違いに注意してみると面白いだろう。

鳥獣戯画
動く歩道(Photo: Kisa Toyoshima)

『甲巻』以外の3巻でも、線描の違いなどに見どころが丁寧に説明されている。『乙巻』では前半の実在の動物が躍動感あふれる線描であるのに対し、後半の架空の動物は線の肥痩(ひそう)が小さく、手本を参考にしたのではないかという。

鳥獣戯画
『鳥獣戯画 乙巻』部分(獅子)、平安時代 12世紀 京都 高山寺蔵(Photo: Kisa Toyoshima)

 『丙巻』は鎌倉期の作例とも言われる一方で、前半の人物を描く場面では、人物などの薄い墨線が当初のオリジナルの墨線の上を後代の筆で濃い線がなぞっている。オリジナルの線をもとに判断すれば、この巻が平安時代のほかの作例と共通性を持ち、平安時代にまで制作年をさかのぼらせることもできることが指摘されている。 

鳥獣戯画
『鳥獣戯画 丙巻』部分(双六)、平安〜鎌倉時代 12〜13世紀 京都 高山寺蔵(Photo: Kisa Toyoshima)

『丁巻』は躍動感あふれる線の運びが見どころだ。一見粗放とも思わせる描写だが、振り返る貴人の表情は鎌倉期の似絵(にせえ)をほうふつさせ、描写のコントラストも楽しめる点も面白い。 

鳥獣戯画
『鳥獣戯画 丁巻』部分(振り返る貴人)、鎌倉時代 13世紀 京都 高山寺蔵(Photo: Kisa Toyoshima)

第2章は、前半は現在の絵巻物から分割されたミホミュージアム(MIHO MUSEUM)所蔵の断簡や狩野探幽の『探幽縮図』などを展示。錯簡の多い『鳥獣戯画』の当初の姿や、どのように現在まで伝世してきたかを考えさせる興味深い試みだ。

鳥獣戯画
鳥獣戯画断簡(MIHO MUSEUM本) 平安時代 12世紀 滋賀 MIHO MUSEUM蔵(Photo: Kisa Toyoshima)
鳥獣戯画
『明恵上人坐像』 鎌倉時代 13世紀 京都 高山寺蔵

第3章では、『鳥獣戯画』を所蔵する高山寺と、高山寺を再興した僧、明恵上人など絵巻を取り巻く背景に着目した構成となっている。重要文化財の『明恵上人坐像』は寺外での公開は28年ぶりとなる。NHKの報道によると、今回の展示に先立っての調査で像内に巻物が納入されていることが判明したという。像内の納入物は珍しいことではないが、像の制作年や作者など制作の背景の手がかりとなると思われる。

鳥獣戯画
龍子(たつのこ) 京都 高山寺蔵

ほかにも現存最古のタツノオトシゴの標本などが展示されており、明恵上人が天竺(てんじく)をしのぶ品々の一つとして所有していたと考えられている。包みには「小龍」と書かれており、当時の日本人が異国をどのように想像していたかを考えるのも楽しい。さらに、ミュージアムショップではすみっコぐらしやミッフィーとコラボレーションしたグッズも販売されており、作品ともども見逃せない。

『国宝 鳥獣戯画のすべて』展の詳細はこちら

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無料で美術館やギャラリーが東京には一定数ある。今回セレクトするのは、質の高い国内外の作家を紹介する資生堂ギャラリーや明治期洋画の重鎮、黒田清輝の作品を展示する黒田記念館から、目黒寄生虫館やおりがみ会館といった変わり種まで16館だ。

会館時間が変更されている場合もあるので、事前に公式ウェブサイトを確認してから訪れてほしい。

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無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

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2021年4月6日(火)〜6月13日(日)、スイスを拠点に活躍する現代アーティスト、ピピロッティ・リストの展覧会『ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-』が京都国立近代美術館で開催される。

 

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