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東京近郊の美術館21選
マーク・ロスコや尾形光琳、内藤廣などを楽しめる東京近郊の美術館
タイムアウト東京 > Things To Do > 東京近郊の美術館20選
移動の自粛も解除されたため、連休には遠くに出かけたいと思う向きも多いだろう。東京近郊の美術館にはそれぞれ独自のコレクションや建築などの見どころがある。
ここでは、60点以上の重要文化財を有する私立美術館、今では入手の難しいであろうロスコの名品をそろえたコレクション、隈研吾の世界を体験できる美術館建築などを紹介する。
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価値ある作品のために遠出する
横浜美術館
要チェック:エリファレット・ブラウン・ジュニアなどの古写真コレクション
みなとみらいにある横浜を代表する美術館で、建物は丹下健三建築事務所の設計。また、3年に一度開催される現代アートの国際展『横浜トリエンナーレ』の主会場の一つとしても有名。
企画展は、印象派から現代アーティストの奈良美智まで幅広く、常設展はヨーロッパ、アメリカ、日本の現代アートを中心に展示している。所蔵品の中では、特に写真のコレクションが質量ともに高い水準にあり、必見。
DIC川村記念美術館
要チェック:マーク・ロスコ『シーグラム壁画』
千葉県佐倉市にある美術館。年数回の企画展示と常設展示を公開している。印刷用インクなどの開発、販売を行うDIC株式会社がコレクションした、20世紀のアメリカ美術を中心とした美術作品を豊富に収蔵していることで有名。マーク・ロスコの『シーグラム壁画』シリーズは、作品のための展示室が2008年に増設され、新たな見どころとなっている。
MOA美術館
要チェック:尾形光琳の『紅白梅図屏風』
1982年開館の美術館。尾形光琳の『紅白梅図屏風』や『湯女図』、伝岩佐又兵衛勝以『山中常盤物語絵巻』などの日本美術史上重要な作品を数多く所蔵していることで知られる。特に『山中常盤物語絵巻』の毒々しくも豪華絢爛な色彩と描写は必見。
2017年2月にはリニューアルオープンの際にあつらえられた、杉本博司と建築家の榊田倫之が主宰する新素材研究所が設計した展示スペースは、屋久杉や黒しっくいなどの伝統的な素材を用いて、展示作品を最大限に生かす空間を作り出している。
岡田美術館
要チェック:喜多川歌麿『深川の雪』
2013年秋に、箱根の小涌谷に建てられた私設美術館。日本、中国、韓国の陶磁器を中心とした、古代から現代までの美術品を多数収蔵する。明治時代の欧米人向けホテル、開化亭の跡地を利用した同館は、美術館の多く存在する箱根でも屈指の広さを誇り、自然豊かな庭園も隣接している。初代館長は、江戸絵画の研究で知られる小林忠。
国立歴史民俗博物館
要チェック:洛中洛外図屏風(歴博甲本)
佐倉城址の一角にある、日本の歴史や文化に関する研究や展示を行う国立の博物館。原始、古代から近代に至るまでの歴史と日本人の民俗世界をテーマに、実物資料に加えて精密な複製品や学問的に裏付けられた復元模型などが展示されている。
さいたま市大宮盆栽美術館
要チェック:『轟』(推定樹齢1000年)
日本の伝統的な芸術であり、奥深い美しさのある盆栽の世界を楽しみたければ、この盆栽美術館は外せない。ここには、季節に合わせた盆栽を週替わりで展示するギャラリーや、常時40~50点の盆栽に360度囲まれることができる盆栽庭園などがある。 各盆栽の解説が入った音声ガイドも日本語、英語、中国語、韓国語と多言語対応しているほか、車椅子でも入場可能だ。 関連記事『埼玉でしかできない50のこと』
原爆の図丸木美術館
要チェック:丸木位里、丸木俊『原爆の図』
画家の丸木位里・丸木俊夫妻が、共同制作《原爆の図》を、 誰でもいつでもここにさえ来れば見ることができるようにという思いを込めて建てた美術館。二人の活動を紹介する常設展のほか、原爆に関する企画展も開催される。
ホキ美術館
要チェック:青木敏郎『オーベルニュの教会』
千葉県千葉市、昭和の森に隣接した場所にある、日本初の写実絵画専門の美術館。世界最大の森本草介コレクションを所有し、野田弘志、中山忠彦などの現代作家を中心に、約300点の写実絵画を所蔵している。建物は、作品のために設計された、細長い作りの地上1階から地下2階の3層の回廊が特徴的で、ゆっくりと作品を鑑賞することができる。
神奈川県立近代美術館 葉山
要チェック:ゴッホ『パイプをくわえた医師ガシェの肖像』(ゴッホ唯一の版画)
神奈川県立近代美術館の葉山館として、2003年に開館した。逗子駅からバスで20分ほどの海岸沿いにあり、天井が高く設計された展示室では、自然光での作品鑑賞が可能。都会では味わえない、ゆったりとした時間を過ごすことができるだろう。
さいたま市立漫画会館
要チェック:北沢楽天の資料
日本近代漫画の先駆者、北沢楽天の偉業を記念し、彼が晩年を過ごした自宅跡に造られた、漫画をテーマにした美術館。明治末〜昭和初期にかけて活躍した楽天の風刺漫画や家庭漫画をはじめ、漫画文化に関する多くの資料を展示している。なじみのある漫画アートとはまた少し違った、新しい世界が楽しめるだろう。
建築や自然を愛でる
彫刻の森美術館
要チェック:幸せをよぶシンフォニー彫刻
1969年に開園した国内初の野外美術館。箱根湯本駅から箱根登山電車で40分ほどのところにある。約7ヘクタールもの広大な芝生の庭園に、ロダンやミロなど、世界的な巨匠の名作約120点が散りばめられているほか、室内にはピカソの常設展もある。
箱根の自然を感じながら自分の足で作品を巡っていく、こんな開放的な芸術鑑賞はほかにないだろう。光の差し込むステンドグラスの塔に登ったり、巨大なしゃぼん玉の彫刻遊具で遊んだり、子どもから大人まで、思いっ切りアートを楽しめるコンテンツが盛りだくさん。
歩き回った疲れを癒す足湯までも備えられているので、一日中居座ってしまいそうだ。
茨城県天心記念五浦美術館
要チェック:内藤廣の建築
茨城県の北端、福島県との県境にある北茨城市、五浦の美術館。1906年(明治39年)に岡倉天心率いる日本美術院第一部(絵画)が同地へ移転したことで、五浦は日本画の歴史にとって重要な土地となった。
天心をはじめ、横山大観、下村観山、菱田春草、木村武山などの、日本画の発展に尽くした作家たちの業績を顕彰するとともに、優れた作品が鑑賞できる美術館として開館した同館の近くには、天心が自ら設計した六角堂(2012年再建)や日本美術院跡地をはじめとする史跡が点在しており、散策にも適している。
千葉市美術館
要チェック:矢部又吉の建築(さや堂)
千葉駅から徒歩15分ほどの千葉市中央区役所と同じ建物内にある美術館。展示室は2階にわたって展開されている。レストランや美術図書館、講堂なども併設されており、江戸時代から戦前の絵画、現代美術などの日本美術を中心に、多彩な企画展を開催している。
ベルナール・ビュフェ美術館
要チェック:菊竹清訓のメタボリズム建築
フランスの画家ベルナール・ビュフェの作品を収蔵、展示するために、岡野喜一郎が1973年に創設した美術館。油彩画、水彩画、素描、版画、挿画本、ポスターなど2000点以上の作品から成る世界一のビュフェコレクションを擁する。
1973年竣工の本館は、1960年代にメタボリズム・グループの建築運動をけん引した菊竹清訓が設計し、立方体、円柱、三角柱を組み合わせたダイナミックな造形をしている。中央部分の大展示室にある12メートルの吹き抜け空間は圧巻だ。
1996年に増築した別館1階には、子どもと美術が出合う場としての『ビュフェこども美術館』も設置されている。
中村キース・ヘリング美術館
要チェック:北川原温
「キース・ヘリングの世界~混沌から希望へ~」をテーマに、館長の中村和男が集めたキース・ヘリングのコレクションのみを展示する、世界で初めての美術館。
中村とキースへリングの出会いは1987年12月28日。出張中に訪れたニューヨークのギャラリーで出会った『ピープルズラダー』の購入をきっかけにコレクションが始まった。
美術館は、建築家の北川原温によるもので、作品を展示するだけではなく、キースの発してきたメッセージを体感し、彼が駆け抜けた時代にも思いをはせられるよう、『光と影』を表現した空間を創り出している。
ポーラ美術館
要チェック:安田幸一の建築
印象派などの西洋絵画を中心に、1万点を収蔵する美術館。ガラスをふんだんに使った建築で、差し込む光や豊かな緑を感じながらアート観賞が楽しめる。
施設内には、2013年にオープンした遊歩道もある。遊歩道の全長は670メートルで、散策所要時間は20分ほど。四季を通じて訪れる野鳥のさえずりを聞きながら緑の中を歩けば、疲れ切った心も休まることだろう。
時折、小動物も姿を見せるそうで、散歩途中に出合えたらラッキーだ。
横須賀美術館
要チェック:山本理顕の建築
三方を緑の山に囲まれ、北側は海に向かって大きく開けている、自然に囲まれた美術館。展示室、ミュージアムショップ、レストランなどのほか、ワークショップ室、そして海、山、屋上には広場があり、施設は充実している。都市部からは離れているものの、ゆったりとした時間を過ごすために足を運ぶのも悪くない。ガラスで覆われた建物は、山本理顕の設計によるもの。
埼玉県立近代美術館
要チェック:黒川紀章の建築
北浦和公園内にある美術館。グリッドを基調とした美しい建物が特徴で、モネ、シャガール、ピカソといった海外の巨匠や、日本の現代作家らの優れた作品を展示している。親子で参加できるワークショップも開催しており、家族皆で楽しめるのもうれしいところだ。 館内には、自由に座れるグッドデザインな椅子が随所に置かれている。疲れたらしゃれた椅子で一休みしよう。
市原湖畔美術館
要チェック:カワグチテイ建築計画の建築
2013年8月にリニューアルオープンした、千葉県市原市の美術館。その建築で広く知られている。建物は、既存建物の仕上材を全て剥がしてコンクリートの構造体だけを残し、そこに「アートウォール」と名付けたスチール折板の壁を縫うように挿入して、展示室やラウンジ、ホールなどを造り出すリノベーション手法で話題となった。
アートを媒介した地域づくりの拠点として、『中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス』をはじめとしたイベントの中心施設となっている。ミュージアムグッズのほか市原の物産も並ぶショップや、房総の食材をふんだんに使用したメニューを提供するピッツェリアも併設。
水戸芸術館現代美術ギャラリー
要チェック:磯崎新の建築
茨城県水戸市にある水戸芸術館内にある現代美術ギャラリー。1990年開館以来、独自の視点で若手から、国内外問わず活躍している注目のアーティストや作品を紹介する。
三つの専用空間で構成された複合文化施設で、ギャラリーのほかコンサートホールと劇場が入る。敷地内には高さ100メートルの塔があり、上ることができる。
佐倉市立美術館
要チェック:坂倉準三の建築
千葉県佐倉市にある美術館。佐倉や房総ゆかりの作家作品を収集する。
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会館時間が変更されている場合もあるので、事前に公式ウェブサイトを確認してから訪れてほしい。