フレンチデリカテッセン カミヤ
フレンチデリカテッセン カミヤ

東京、肉屋最新ガイド

ヨーロッパスタイルのシャルキュトリ 、海外観光客用にホテルまで無料配送してくれる和牛専門店など、東京の肉屋の最新事情を紹介。

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Yoko Asano
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タイムアウト東京 > レストラン&カフェ > 東京、肉屋最新ガイド

テキスト:浅野陽子(フードライター)

私たち日本人が「お肉屋さん」と呼んできた店の存在は、数ある商店のなかでも独特だ。単なる肉の専門店、というだけでなく、自家製の焼き豚やメンチカツ、から揚げなど日本人が好きなおかずも買える場所であり、昭和の時代から連綿と続いてきた、日本のデリショップの元祖とも言えるだろう。特に肉屋のコロッケは、おいしいだけでなくノスタルジーまでも呼び起こす食べ物である。

一方海外では、日本のように揚げ物は売っていないが、手作りのソーセージやハム、パテなど肉の加工品を専門に取り扱う店がある。ミートデリ(meat deli/アメリカ)、シャルキュトリエ (charcuterie/フランス)、メツゲライ(metzgerei/ドイツ)、サルメリア(salumeria/イタリア)と国ごとに呼び名もあり人々の暮らしに欠かせない場所となっている。

ここでは、創業100年を超える老舗肉屋や、厳選した国内のブランド和牛のみを扱う専門店、ヨーロッパとほぼ同じスタイルで運営し、東京在住の外国人に重宝されている日本版シャルキュトリなど東京で人気の肉屋6店を紹介する。各店それぞれ個性があり、初心者も、肉マニアも東京の奥深い肉事情に驚くだろう。

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  • デリ・デリカテッセン
  • 池尻大橋

食のプロ、御用達。ジビエを使った加工品も

井の頭線神泉駅から徒歩15分、目黒区青葉台の住宅街にある食肉加工品の専門店。自家製のハムやパテ、ベーコンを販売している。まさに東京版シャルキュトリだ。また、母体は祐天寺のジビエ料理店、ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパが手がけているため、『鹿肉と白イチジクのテリーヌ』『猪肉のモルタデッラ(ピスタチオ入り)』などジビエを使った加工品も取り扱う。

客は近隣の住人や外国人客、地方から買いに来る人、店の近くにある西郷山公園でのピクニック用に切り立てハムとパテの盛り合わせ(『ジャンボン バリエ』)を購入するケースも多いそうだ。一般客のほか、ホテルや百貨店、ワインショップなど食のプロにも利用されている。

店内にずらりと並んだ商品はどれもおいしそうで迷ってしまうが、人気がある定番商品は、香りが素晴らしく濃厚な『熟成黒豚とクルミのテリーヌ』と、手作りソーセージの『ソーシス ド トゥールーズ』。じっくりフライパンで焼いて味わうと、日本人にはなじみのある大手メーカーのソーセージとは異なる食感、深い後味に驚く。

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  • 原宿

加工肉のほか、キッシュやサラダなどの総菜、スイーツも販売

外苑西通り沿い、外苑前駅と千駄ヶ谷のほぼ中間にある加工肉専門店。店内のガラスケースには手作りのスモークハム、サラミ、パテなど肉製品のほか、キッシュやサラダなどの総菜、スイーツもある。 これらをテイクアウトできるほか、店内にはテーブル席もあり、ビールやワイン、ソフトドリンクと一緒にその場で食べることもできる。

人気商品は『パテ・ド・カンパーニュ(田舎風パテ)』や肉汁たっぷりの『トゥールーズのソーセージ』など。手作りの肉製品は味や香りは濃厚だが、口どけがさっぱりしてくどくない。野菜とパンと合わせて食べると非常に満足感がある。 2016年の創業以来、近隣で働く人や地元の住人、東京在住の外国人がこの味を求めて通い詰める。

代表の髙谷華子(たかや・はなこ)いわく「私たち日本人にとって、手作りのソーセージやハムは嗜好(しこう)品ですが、ヨーロッパの人の食生活にとっては必需品。外国人のお客さまには『東京にこういう店があって本当によかった』とよく言っていただきます」とのこと。

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  • 四谷三丁目

「お肉博士1級」の資格を持つ女将に選んでもらう

四谷三丁目駅から徒歩1分、創業は1910年(明治43年)の老舗の精肉店。通常の肉の量り売りも行うが、から揚げ、メンチカツ、チキンカツなど肉のおかずも販売し、人気だ。これらをメインにした弁当も周辺で働く会社員に好評で、昼時は行列ができることもある。

そのほかの売れ筋商品は創業時から継ぎ足したタレで作る焼き豚、そして『四谷名物コロッケ』。コロッケは、北海道産の男爵イモの中でも特にコロッケに合うものを厳選して使用。ほどよい甘みとさっぱりした後味はどこか懐かしい味わいだ。同店の女将であり、全国食肉検定委員会による「お肉博士1級」の資格を持つ勝川拡子(かつかわ・ひろこ)の明るい接客も心地よい。

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  • フード&ドリンク(特産品)
  • 用賀

チャンピオン牛などを揃える、スタイリッシュな和牛専門店

世田谷の用賀にある和牛専門の精肉店。閑静な住宅地の中に突如カフェのようなスタイリッシュな建物が現れて驚く。店内のガラスケースに牛肉のブロックがずらりと並ぶ姿は圧巻だ。 同店が取り扱うのは、牛肉、それも黒毛和牛の雌のみ。

和牛といえば神戸牛が世界中の食通に知られているが、それ以外にも高品質な和牛は日本国内に無数にある。そんな知られざる各地のブランド和牛の存在を、もっと世界に向けて発信したい、との思いで証券業界出身のオーナー、上野望(うえの・のぞみ)が国内をまわって優れた和牛を厳選。地方大会で優勝したチャンピオン牛などを仕入れ、部位ごとに売っている。

サーロイン、肩ロース、モモなどのほか、シャトーブリヤンやシンシンといった高級な希少部位もそろえる。肉に詳しくない人でも、同店のミートコンシェルジュが客の予算と好みの味、食べ方に合わせた適切な部位を選んでくれるので間違いがない。おすすめの『ミスジ』はサシ特有のとろけるような味わいを楽しみつつ、さっぱりして腹にもたれず、絶品。

近隣に住む外国人のほか、海外からの観光客の利用も多い。旅行客には帰国前日に滞在先のホテルに冷凍パッケージを配送する無料サービスもあり、肉製品の持ち込みが許されているシンガポールからの客には特にファンが多いそうだ(日本の農林水産省は個人消費用、1人5キロまでに限り、シンガポールへの肉の輸出を認可している)。

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  • 西荻窪

防腐剤や保存料、着色料は不使用。肉や総菜は毎日店の奥の厨房で仕込む

西荻窪駅北口から徒歩3〜4分の場所にある肉加工品の専門店。店内には自家製のソーセージやハム、ベーコン、焼き豚など100種類以上の商品がぎっしり並び、ヨーロッパのシャルトキュリに来たような雰囲気を感じる。

同店の肉製品は防腐剤や保存料、着色料などを一切使用せず、代表取締役の髙橋元男(たかはし・もとお)自らが毎日店の奥の厨房で手作りしている。スラバクト(Slagersvakwedstrijd)やズーファー(SUFFA)といった海外で行われている食肉加工品の国際コンクールで何度も金賞や金星賞を受賞。店内ではハムやベーコンの試食を常時実施しており、品質の高さは一口食べると分かる。レバーと一緒に野菜のうま味も練り込まれたレベーペーストは、深い味わいととろける舌触りが絶品だ。

店内で肉製品と一緒に販売されているチーズやワインも人気。地元のグルメな客たちに熱烈に支持されているほか、外国人客や、地方にもファンがいる。

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  • 吉祥寺

近年では海外からの観光客にもファンが多い

吉祥寺駅から徒歩1分、1974年創業の老舗で黒毛和牛専門の精肉店。都内有数の激戦区で、不動のポジションを保っている。オーナー自らが目利きした国産の黒毛和牛を一頭買いし、量り売りを行っている。品質の高さで精肉部門のリピーターも多いが、店内で作って売っている『激うまコロッケ』や『牛(うし)かつ』『豚かつ』『自家製焼き豚』などの加工食品も人気がある。

中でも大ヒット商品は揚げたてを販売する『元祖丸メンチカツ』(240円/5個以上買うと1個220円)だ。テニスボールほどの大きいメンチカツで、サクサクの衣にかぶりつくと、ジューシーな肉汁と一緒にスパイスの香り、玉ねぎの甘み、牛肉の濃厚なうま味が口いっぱいに広がる。一度味わうと中毒になりそうなおいしさだ。このメンチカツを求めて、道を挟んで対岸にあるコピス吉祥寺にまで長蛇の列ができるのは、吉祥寺の名物風景。

吉祥寺の住民はもちろん、遠方や近年では海外からの観光客にもファンが多く、東京のみならず日本を代表するお肉屋の一つと言っても過言ではないだろう。平日午前中はメンチカツの列がさほど長くないので、どうしても食べたい人は狙いめだ。

ライタープロフィール

Yoko Asano

フードライター。食限定の取材歴20年、「dancyu」「おとなの週末」「ELLE a table(現・ELLE gourmet)」「AERA」「日経MJ」「近代食堂」など食の専門誌を中心に、レストランや料理人への取材多数。テレビのグルメ番組への出演実績もある。「NIKKEI STYLE」(日本経済新聞社)の人気コーナー「話題のこの店この味」で毎月コラム連載中。

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