暮らしの思想
Photo : Keisuke Tanigawa
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東京、2025年のベスト書店10選

街の書店は増えている!? 独立書店からブックラウンジ、中華系書店まで

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正月休みが近づいてきた。年末年始、久しぶりに本でも読もうかと、書店を訪れる人も多いだろう。しかし振り返ると、2025年も歴史ある書店が店を畳み、自身が店を営む荻窪でも、「文禄堂書店」が閉店。その知らせを耳にしたときには、荻窪まで書店廃業の波が来たのかと驚いた。

と、書店界隈のニュースといえば、あっちで閉店、ここでも閉店と暗いものが多いのだが、いやいやどうして、2025年も数多くの書店が誕生している。多くは、いわゆる個人経営の独立書店や古書店である。

10月には、「独立書店ネットワーク」が立ち上がった。独立書店間で緩やかにつながり情報交換を行うプラットフォームだが、出版社と仕入れ交渉を行うなど、独立書店が抱える課題解決に取り組んでいる。東京では、今後も大手書店と特色のある独立書店がサバイブする構図が続いていくだろう。

ここでは、およそこの1年でオープンし編集部とライターが取材した、特徴が際立つ大小の書店、ブックラウンジを10店紹介。今、開店するだけあって、それぞれどんな工夫を凝らし、思いを持っているのか、注目してぜひ足を運んでほしい。

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  • ショッピング
  • 書店
  • 虎ノ門

丸善ジュンク堂書店の新業態「magmabooks(マグマブックス)」が、「虎ノ門ヒルズ」に2025年4月に開業した施設「グラスロック」の2・3階にオープン。「知は熱いうちに打て」というコンセプトの下、従来の書店が提供する「販売」のみの場を超え、「知」との出合いを軸とした未来型の体験ができる店舗となっている。

店内は、多様な問いを書籍とひもづけていることが特徴。本との出会いを創出する「問い散歩」や、編集型書棚の「知の森」、集中とリラックスを追求した有料ラウンジなど、新たな要素を取り入れている。

また、既存のジャンル別構成のほかに、テーマごとに編集し、本棚を通じて新たな世界観や価値観を提示する売場を設置。ギャラリースペースでの展示やコラボレーションイベントも行う。

ギャラリー・カフェを併設する書店

2009年から続く「TOKYO ART BOOK FAIR」が2025年には初の2週末開催を果たすなど、アートブックの人気は根強く拡大している。アートをテーマにしたギャラリー併設書店は、今後も増えていくだろう。「TIGER MOUNTAIN」は、これまでにない装丁家に着目した古書店。カフェを併設した「暮らしの思想」は、華道家とのコラボレーションがユニークだ。

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  • 書店
  • 神谷町

テキスト:長島咲織

トラの絵が目印の「TIGER MOUNTAIN」。コンテンツレーベルである黒鳥社の新プロジェクトとして、2025年2月にオープンした。

書店兼ギャラリーを始めた背景には、訪日するアジア圏の人たちが1960〜80年代の日本文化に注目していること、また本作りやデザインに関心のある人たちに勢いのあった出版文化を知ってほしいという思いがある。同店では90年代を含めて同時代に出版された本に絞り、約100人のデザイナー・装丁家ごとに書籍が並ぶ。文芸小説や雑誌、イラスト集や全集が多いのが特徴だ。

当時のデザイナーや装丁家たちは、現在のように分業されておらず、文も書けば、絵も描き、装丁も行うなど、枠を飛び超えて仕事をしていたという。また表現にとことんこだわり、印刷所や製紙会社を巻き込んだ結果、印刷や紙素材の技術はぐんと進化した。

布装丁の本、箱入り本、上質な紙、鮮やかな色でデザインされた大型本など、ぜひ本を手に取ってみてほしい。バーコードが存在する前に作られた本は、裏表紙まで抜かりなくデザインされている。昨今では見られない本に出合えるだろう。

ギャラリーでは、出版やデザイン文化を紹介する場として展示を行う。2026年1月には、星野源の楽曲のジャケットイラストを手がけて注目された中国人のWoshibai(我是白)による漫画が黒鳥社から刊行されるに当たり、企画展が開催。今後は海外の作り手も積極的に取り上げていきたいという。展開が楽しみだ。

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  • 書店
  • 阿佐ヶ谷

2005年の開店以来、約20年間にわたり池袋で地域住民から観光客まで多くの人々から親しまれてきた「ブックギャラリーポポタム」が、2025年7月、阿佐ケ谷に移転オープン。新店舗は、青梅街道から住宅街に一歩入った白い建物の一角に位置している。

1階には、韓国をはじめアジア、欧米など世界各国のイラストレーターやアーティストのアートブックが充実。凝った装丁の書籍が多く、本そのものが作品のように感じられるものも多い。また、現代のトピックに関連しながら再発見のきっかけとなる新刊本のほか、絵本やカード、小物なども取り揃える。

2階はギャラリースペースになっており、2〜3週間ごとに作家の展示を開催。今後は1週間単位でのレンタルも行っていく予定だ。

白い店内に彩りと家のような落ち着きを与えるステンドガラスは、池袋店で活躍していたもの。ふらりと立ち寄りたくなる、温もりのある空気感を作り出している。

  • ショッピング
  • 書店
  • 葛飾区

ここは、アートブック専門のディストリビューター「SKWAT / twelvebooks(スクワット/トゥエルブブックス)」が倉庫の一般開放と称し、現代美術や写真集など約6万冊を収容したスペース。2023年に南青山のスペースがクローズしたが、この度、SKAC内に再び出現した。

単管パイプで組まれた本棚には多様な本がずらりと並び、途中にある階段から2階の写真集コーナーへ上がることもできる。コンテナに入ったアウトレット品は所狭しと並び、まるで宝探しのような感覚に陥る。大人も子どもも楽しめるコーナーだろう。 

また、2014年に惜しまれながら閉館した山梨の「清里現代美術館」に残された、希少価値の高い「エフェメラ」のアーカイブは必見だ。エフェメラとは、「一時的で儚い」という意味合いを持ち、チラシやはがき、招待状など、長期の保存を目的としない印刷物や筆記物のことを指す。美術的・文化的資料としてコレクターも多い。

そんなエフェメラの入った木製の什器(じゅうき)は、家具デザイナーの安川流加によって制作されたもの。カウンターの前には、鈴木貴也が代表を務めるエフェメラ専門店「苑ス」がコレクトした「EPHEMERAL DOCK」のコーナーも設けられ、世界中から集まった興味深いアイテムが展示されている。全て購入できる。

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  • 荒川区

テキスト:長島咲織

店に入ってまず目につくのが、三角形の白い大きな台と、その上に並べられた色とりどりの花たち。両端には落ち着いたたたずまいで本が並んでいる。

「暮らしの思想」は、2025年4月にオープンした、本と花と食を扱うユニークな店だ。ブックディレクターの中村碧宙(なかむら・そら)は、荒川の地域に町の本屋を作りたいという思いから、華道家の増渕若雨(ますぶち・わかめ)は花を使った空間を求め、同じ場所に活動拠点として店を構えた。

また、管理栄養士が作ったプラントベース・グルテンフリーのおやつなども食すことができ、それぞれが専門性を生かし、暮らしを彩る空間に仕立てている。本を買いにきたのに花を買うなど、思いがけない出合いもありそうだ。

店を訪れるのは、地元の人たちと遠方から来る人たちが半々。学校帰りに子どもが立ち寄ったり、銭湯に来た家族連れが帰りに花を買っていったり、遠方からワークショップに参加する人や個展を観に訪れる人もいたりして、それらが緩やかに入り交じっている。

置かれている本は、店名の「暮らしの思想」から連想される「声と沈黙」「物語ること」「思索と創作」「子どもと創造」といったテーマから、旅と食や植物の本まで、多様なジャンルの新本が並ぶ。

展示や表現の場としても開いていて、地域の活性化とともに、多くの人にとって自分の居場所と感じられる店に育てていきたいと願っている。穏やかな雰囲気の中に、末永く続けていきたいという2人の静かな情熱を感じられる店だ。

ラウンジを併設する書店

満を持して「ニュウマン高輪」に、広大な「BUNKITSU TOKYO」が出現した。ラウンジを併設し、入場料を支払う滞在型書店は、大型書店の潮流の一つといえるだろう。「The Library Lounge」は書店ではないが、漫画を中心に数万という圧倒的な蔵書とラウンジの名にふさわしい空間が注目を集めた。

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  • 品川

本と出会うための本屋、文喫史上最大規模の大型店舗「BUNKITSU TOKYO(ブンキツ トウキョウ)」が、「ニュウマン高輪」に2025年9月オープン。敷地面積は1000坪以上で、店内には全223席を用意し、約10万冊を揃える。

文喫は、「文化を喫する、入場料のある本屋」をコンセプトに掲げる、新しい滞在型書店。書店にいながら、コーヒーや煎茶、スイーツや軽食も楽しめる。2018年に六本木で開業した1号店を皮切りに、現在は福岡や名古屋にも旗艦店をオープンした。

誰でも立ち寄れる本の売場では、新刊や話題書のほか、児童書から専門書まで、ブックディレクターによる個性的な選書を展開・販売する。

フリードリンク付きでゆったり読書できる店内には、読書に没頭できる書斎スペースや、友人や家族と過ごせる喫茶スペース、クリエイティビティを高めるワークスペース、企画展やポップアップが行われるイベントスペースなどを併設する。

それぞれのスタイルで、読書のひとときを楽しもう。

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  • Things to do
  • 天王洲

東京モノレール・天王洲アイル駅直結の「ANAホリデイ イン東京ベイ」の1階に位置するブックラウンジ「The Library Lounge(ザ ライブラリー ラウンジ)」。ラウンジには122の座席を設置し、プライベートな時間を過ごせる半個室も5室備えている。

圧巻なのは、約2万5000冊におよぶコミックや書籍のコレクション。日本語・英語・中国語の3言語に対応している。

料金は、ソフトドリンク付きプランが1時間1,650円(以下全て税込み)から。以降は、30分ごとに825円が加算されるシステムだ。

そのほか、1時間2,750円でアルコールが楽しめるプランや、時間を気にせずに滞在できる1日利用プラン(5,500円)も用意。館内には、ドリンクのほか、アイスクリームやナッツ、ドライフルーツなどのスナックを自由に楽しめるスペースがあるのもうれしい。

2025年11月から18時以降のソフトドリンク付きプランが1時間1,200円になる「夜割」もスタートした。

ユニークな「選書」の書店

スペースが限られる独立書店では、店主の視点で選りすぐられた本が並ぶ棚が魅力。専門書店は昔から見られるが、よりニッチなテーマを持つ書店が登場している。「タイムトラベル専門書店utouto」もその一つで、物件もテーマとマッチ。また「kamos」では実店舗を持ちながら、サブスクリプション型の選書に取り組む。

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  • 志村坂上

2025年11月に、江戸初期から続く蓮沼家を改装した複合施設「板橋ととと」がオープンした。同施設内にある1910年代に築かれた蔵に店を構えるのが、「タイムトラベル専門書店 utouto」(以下、utouto)だ。

店主を務めるのは、『時間旅行者の日記』などの著作を持つ文筆家の藤岡みなみ。時間をテーマにした書籍・アイテムを扱うutoutoは、2019年から移動・オンライン書店として活動してきたが、新たなスタートを切った。

かねて固定店舗にしたいという思いはあったと藤岡。しかし、「時間を感じられる場所」という条件を満たす物件に巡り合えずにいた。そこに現れたのが、蓮沼邸だった。地域・歴史を大切にするオーナーとの出会いもあり、願ったりかなったりの場所で固定店舗を開設するに至った。

「この場所自体が『タイムトラベル』な空間で、しっくりきています。過去や未来に旅するだけでなく、現在という時を豊かにしたいという思いがあったので、時間がゆっくり流れる場所になってうれしいです」と話す。utoutoでは、蔵の雰囲気と、さまざまな古時計の店内のあしらいが作用し合い、わくわくする時間旅行へといざなってくれる。

同店は、王子に本店がある人気のカフェ「apollon(アポロン)」と蔵を共有。焼き菓子とスペシャル ティコーヒーと一緒に、藤岡が近年のおすすめだという小川哲の『嘘と正典』で、「゙時間旅行」を楽しんでみては。

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  • 墨田区

墨田区京島の「下町人情 キラキラ橘商店街」の中ほどに建つ、2025年5月にオープンした書店「kamos(カモス)」。100年超続く銭湯「電気湯」の4代目・大久保勝仁と、曳舟の街づくりに携わってきた共同代表の柳下藍が営む希有な書店だ。

「いい本あり〼」の立て看板を横目に、元鮮魚店だったという味のある店内に入ると、100冊ほどの人文・哲学の本が並ぶ。しかしなぜ、銭湯と街に関わる2人が書店なのか。

ちょっとした会話が生まれる銭湯コミュニティーと異なり、あいさつさえ交わすことなく人と人の距離が遠のき、なるべく波風を立てないように「澄んでいく」社会に対しての違和感が根底にあるという。

また、分断が叫ばれる一方でつながりが強調されるが、そこからこぼれ落ちる人がいる。つながらなくても「ともにある」という道を本を介して模索し、対話と学びの場を創出したい――という店のしおりにも書かれている「共在の醸造」がコンセプトだ。

その一環として、哲学者の朱喜哲(チュ・ヒチョル)や美学者の伊藤亜紗をはじめ、25人のキュレーターが選書した本が届けられるサブスクリプションサービスを行っているのも特色である。

店の奥には選者たちの本が置かれているが、店内にはスペースも書棚にも空きが見られる発展途上の書店だ。その余白の中で、どんな言葉や考え、思いが醸されていくのだろう。新たなイベントの計画も続々と進行中という。コンセプトに共鳴する人は、ぜひ足を向けてほしい。

中国語の専門書店

中国語の本を扱う書店といえば、神保町の「内山書店」「東方書店」が知られてきたが、2023年・銀座に「単向街書店」、2024年・市ヶ谷に「花様年華書店」が開業、2025年には「飛地 離島書店」が誕生した。書店があることは、文化的コミュニティーの存在を示す。清朝末期にも、孫文や魯迅など1万人を超える中国人留学生が訪日した。歴史が繰り返されているのだろうか。相次ぐ中華系書店のオープンも、見逃せない東京の、日本のカルチャーシーンの一つである。

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  • 高円寺

高円寺駅からほど近く、早稲田通り沿いにある「飛地 離島書店」。「飛地書店」と「離島計画」という2つのブランドが協働し、マンションの一室に店を構える。靴を脱いで進むと、ワンルームの四方に中国語の本が並ぶ。2022年に台北で誕生した同店は店を拡大し、23年にはタイのチェンマイ、24年にはオランダのハーグ、25年4月に東京、9月にはニュージーランドのオークランドにも出店を果たした。

創設したのは、アニー・チャン・ジエピン(張潔平)。ジャーナリストで起業家、現在は東京大学で客員研究員を務めるなどマルチな顔を持つ。生まれは中国本土で、香港で20年ほど過ごし、2019年からの民主化デモの後、台北へ移り住んだ。

彼女のように香港を出た人も多く、また現在、東京大学には3500人以上の中国人が留学している。同店を訪れる客の多くが、彼ら日本に暮らす中国人だ。書棚の本は、中国・台湾・香港、そしてジャンル別に分類され、政治から文学、ジェンダーまで幅広く並ぶ。中国本土で、そして香港でも読めなくなってしまった本もあるようだ。日本語の中国・台湾関連本も揃える。

イベントも毎週開催し、中華系の人々が集い、つながる文化拠点になっている。英語での店名は、「Nowhere Book Store」。香港を出ざるを得ず、中ぶらりんになってしまった香港人の寄る辺なさを表すようだが、「国」を離れて「世界」と結ばれるポテンシャルも秘めているだろう。世界の時流の断片を肌で感じ、東京の多様性を象徴する新スポットである。

2025年の書店特集を振り返る……

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時に人生を変えるほど大きな影響力を持つことがある、本。その出合いの場となる書店も、個性豊かなところが増えている。本記事では個人書店を中心に、足を運ぶだけでワクワクする「都内にある美しい独立書店」というくくりで、5つの書店を紹介しよう。

「美しい」という言葉は抽象的で説明が難しいが、今回は見た目の美しさを踏まえた上で、店主のこだわりや美意識がにじみ出ている書店を選んだ。光が差し込む空間を大切にした書店、内装に和紙をふんだんに使った書店、歴史を引き継いできたモダンな古書店、ナチュラルな雰囲気で奥深い写真の世界を紹介する書店、開放感があり独自の視点を持つ書店と、取材してみてそれぞれの美しさに心が躍った。

  • ショッピング
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 暑さがようやくおさまって、落ち着いて本を読もうと思える季節になってきた。ただ、実際に読もうと思ったとき、選択肢の多さに「何から読めばいいのか分からない」と感じる人も多いのではないだろうか。そんな人たちに向けて、今回は6店の「有名人の選書がのぞける書店」を紹介したい。

作家や俳優、クリエーターやインフルエンサー、話題になって注目を浴びた人など、さまざまな選書本を紹介している。誰のものであれ、選書本を見ると、その人の頭の中をのぞかせてもらったような気持ちになるだろう。

推しの人の世界をより深く知るのもいいし、普段の自分とは違う視点で選書本を読むのもいい。自分にピンと来たものを手に取り、奥深い読書の世界を楽しんでほしい。

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中小書店から成る「東京都書店組合」に加盟する店舗数は、2025年4月1日時点で238店。ピークだった1984年の1426店から比べると8割以上減少したことになる。

これらの多くは、人通りの多い駅前や商店街の書店が中心と思われる。しかし東京には、駅から遠かったり、路面店でなかったり、あまり人目につかない場所に存在する「本屋さん」がある。そんなロケーションでなぜ店を開き、続けていけるのだろう。いや、反対か。隠れ家のようにしてあるからこそ、本・書店好きにはたまらない魅力を覚えるのだろうか。

ここでは、都内の書店から5店をピックアップ。何が客を引きつけるのか。東は上野、西は駒沢公園、高円寺などにある「隠れ家書店」をのぞきに出かけてみよう。

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