Shin saka bashi Books
Photo: Kisa Toyoshima
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有名人の選書がのぞける書店6選

作家や俳優、インフルエンサー、建築家たちはどんな本を読んできたのか

テキスト: Masataka Ito
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タイムアウト東京 > カルチャー > 有名人の選書がのぞける書店6選

テキスト:長島咲織

暑さがようやくおさまって、落ち着いて本を読もうと思える季節になってきた。ただ、実際に読もうと思ったとき、選択肢の多さに「何から読めばいいのか分からない」と感じる人も多いのではないだろうか。そんな人たちに向けて、今回は6店の「有名人の選書がのぞける書店」を紹介したい。

作家や俳優、クリエーターやインフルエンサー、話題になって注目を浴びた人など、さまざまな選書本を紹介している。誰のものであれ、選書本を見ると、その人の頭の中をのぞかせてもらったような気持ちになるだろう。

推しの人の世界をより深く知るのもいいし、普段の自分とは違う視点で選書本を読むのもいい。自分にピンと来たものを手に取り、奥深い読書の世界を楽しんでほしい。

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  • 神保町

ビルの1階にある店内に入ると、まず白いアーチの内装が目に入る。店名の「PASSAGE by ALL REVIEWS」は、パリに実在するアーケード付き商店街「パサージュ」から取っており、「個性的な店がひしめき、風通しのよい店にしたい」という店主の思いが込められている。

また「REVIEWS」は、書評という意味だ。書評は書籍になることがほぼなく、埋もれてしまうことが多いため、書評を閲覧できるサイト「ALL REVIEWS」を創設。そこから派生して、2022年にシェア型書店をオープンした。

現在棚数は姉妹店と合わせて1000以上。書評家、作家、翻訳家、出版社、一般の本好きの人たちが、自由に置きたい本を並べている。

棚を眺めていくと、作家や翻訳家など、著名人の棚をあちこちに見かける。作家の島田雅彦、女優で作家でもある中江有里、姉妹店「SOLIDA」では角田光代、「第35回(2025年度)Bunkamuraドゥマゴ文学賞」を受賞した川内有緒の棚も。お気に入りの本の書評を書いた豊崎由美は、書評本のみを並べている。本に付箋が貼ってあるものや線が引いている本もあり、一緒に読書体験をしているようで楽しい。

各書棚にはフランスの実在する通り名が付けられ、棚の高さによって番地が振られている。街を散策するように、本を巡る旅を満喫したい。

同ビルの3階にある「bis! BOOKS & CAFE」では、神保町の名菓子が食べられると評判。疲れたら、ここでゆっくり過ごすのもおすすめだ。

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  • 代官山

落ち着いたグレーの外観で、扉を開くとギャラリーのような洗練された空間が広がっている。

「Shin saka bashi Books」のオーナーは、本は老若男女が気軽に楽しめるものであり、あらゆる人に開かれた文化資本だと捉え、ここを文化の引き継ぐ場所にしたいと考えた。

さまざまな人の人生に出合うというコンセプトを基に、知り合いなどを通して15人に選書を依頼。「人生で影響を受けた10冊」を選んでもらった。黄色のパネルには名前とプロフィール、本を選んだ理由が書かれている。名前を見ると、そうそうたるメンバーで驚く。

現在の選者は、彫刻家の名和晃平、エッセイストの平松洋子、BEAMS DIRECTORS BANKのクリエーティブディレクター・南雲浩二郎、写真家の石川直樹、辻調理師専門学校校長の辻芳樹、文筆家の若菜晃子、編集者の岡本仁など。棚にはその人にまつわる雑貨も置かれていて、ほっこりする。

写真家の石川は、「なぜ人は旅をするのか?」「なぜ放浪するのか?」という問いにヒントを与えてくれる本をチョイス。10冊の選書を見ていると、その人の思想や哲学、葛藤の様子が感じられ、人生を丸ごと見せてもらったような気持ちになる。

選書本以外では、オーナーが選んだ自然・食・哲学関連の本が置かれている。じっくり読みたい人は、奥のカウンター席で読むことも可能だ。

本と出合うことで、刺激を受けたり、見え方が変わったり、感動したり、元気になったり。店主一同、そんな機会を提供する場であり続けたいと願っている。

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  • 神保町

「ほんまる神保町」に着くと、「本」の字を丸で囲った大きなロゴが目に入る。店名の「ほんまる」には、「ほんがある日は一日がまる」という思いが込められている。書棚には無垢(むく)のツガの木が贅沢に使われていて、全体的にモダンで和のイメージだ。

ここは、直木賞作家の今村翔吾が2024年にオープンしたシェア棚書店。書店が減少していることに危機感を持ち、2つの新刊書店の経営を始めた経験を踏まえて、本の聖地の神保町に店を開いたという。内装やグッズは、日本を代表するクリエーティブディレクターの佐藤可士和が手がけている。

現在、棚数は200ほど。棚主は本好きの個人に始まり、地域の企業、自治体や出版社など、バラエティーに富んでいる。多様な参加者がいることで、町の書店や独立系書店を支えられると考えている。

選書しているのは今村自身と佐藤可士和に加え、氣志團の綾小路翔、俳優の高橋光臣、元乃木坂46のメンバー・山崎怜奈などだ。棚名を書いたラベルは各自で作っているようで、デザインにそれぞれの個性が出ていて面白い。ちなみに綾小路の棚には「俺の本棚、来ないか?」と書かれていて、クスっと笑ってしまう。彼の棚は人気で、すぐに在庫がなくなってしまうという。

それ以外では今村の著作を並べた棚もあり、今村ファンにはたまらないだろう。将来的にはシェア型書店の全国展開も構想しているそうで、今後の展開も楽しみだ。

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批評家の宇野常寛(うの・つねひろ)がプロデュースし、2025年8月1日に開業した書店。「いつ来ても、知らなかった<面白そうな本に出会える>」書店がコンセプトだ。

来店者は靴を脱いで書店に入るという、珍しいスタイル。椅子とテーブルが置かれ、くつろぎながら読書したり、ワークスペースとして作業したりができる。スタッフが常駐しない無人書店で会計はセルフレジと、自由で開かれた書店空間である。

選書は、全て宇野が行った。岩波文庫や中公新書などのオーソドックスなものから、「吉本隆明全集」をはじめ人文・社会科学の書籍を中心に、街づくり関連本、品切れが多く集めるのに苦労したというアニメなどのカルチャー関連本まで、特定ジャンルの本のみが並ぶ。

本の販売を主眼に多様な趣向を持つ客に合わせて満遍なくセレクトしたものではなく、宇野の審美眼にかなった書籍群であり、街の本屋では目にしない本も多い。岩波少年文庫も、集められるものは全て揃えた。書籍は、入れ替えを行っていくという。まるで宇野の書斎をのぞくように、批評家を形作ってきた書籍をゆっくりと見ているだけでも楽しい体験になるだろう。

なお、イベント日は営業時間が異なるので、公式Xをチェックして出かけてほしい。

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  • 乃木坂

「Bookshop TOTO」はTOTO出版の直営店として、また「TOTOギャラリー・間(ま)」のミュージアムショップとして1995年にオープンした。主に建築・生活文化・デザインにまつわる本を置いていて、白い本棚が印象的だ。

ギャラリーでは年に数回、建築家の展示を行い、TOTO出版が書籍化する。同書店では、その書籍を販売するとともに、個展を開く建築家による「選書フェア」を行う。

現在は「新しい建築の当事者たち」が、2025年10月19日(日)まで開催されている。「2025年日本国際博覧会」(以降、大阪・関西万博)では、「残念石」を使ったトイレや「水のパビリオン」として捉えたトイレなど、建築家が手がけた公共施設が話題になったのを覚えている人も多いだろう。

同展では、大阪・関西万博のトイレ・休憩所・イベントステージを設計した20組の若手建築家たちの奮闘の過程が展示。選書フェアでは、うち10組の建築家の選書が並ぶ。選書の理由を読んでいると、建築家それぞれの思想や哲学、人として大事にしているものがうかがえる。

選書フェアは来年2月中旬まで行っているので、大阪・関西万博へ行った人にも、建築に興味がある人にもおすすめだ。

ほかには、中山英之やドットアーキテクツの家成俊勝による選書もあり、テーマごとに本を紹介するなど、何度訪れても飽きないよう工夫を凝らしている。 イベントがある日は営業時間が異なるため、訪れる際は公式ウェブサイトをチェックしよう。

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  • 多摩地域

店内に入って驚くのは、何といってもその圧倒的な広さだ。

「コーチャンフォー」は、書籍・文具・ミュージック・飲食と4つの柱を軸にした施設で、若葉台店の書籍エリアは約3300平方メートルあるという。北海道が発祥で、都内ではここ1店舗のみ。オープンして10年以上たつが、まだ知らない人も多そうだ。

書籍エリアを歩いていくと、選書棚が多いことに気づく。その中でも最大の棚を持つのは、Xで11万人以上のフォロワーがいる読書系インフルエンサー、ぶっくまだ。向かいには、彼が主宰する書評コミュニティー「ツナグ図書館」による棚もあり、主にビジネス書と新刊本を紹介している。2024年に選書棚を作り、ぶっくまとともにSNSで発信したところ、低迷していたビジネス書籍の売上が急激に伸びたそうだ。

ほかには、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』がベストセラーになった文芸評論家の三宅香帆、小説紹介インフルエンサーのけんご、マルチタレントの宇垣美里など、ここでは全て載せきれないほどの選書棚がある。

情報収集を行い、在庫を確保し、選書棚を作り、SNSで発信する。これを繰り返すことで、インフルエンサーや本好きの人、メディアなど、さまざまな人たちをつないでいる。1冊の本が突出して売れるのではなく、話題本が増え、読書文化が作られている実感があるとスタッフは語る。企画すればするほどアイデアが湧いてくるというから、今後の選書棚も要注目だ。

タイムアウト東京のセレクトを楽しむなら……

  • 音楽

ジャマイカで生まれた、独特のリズムと体に響く気持ちいい低音……。レゲエは、日本でも根強い人気を誇る音楽だ。

ひとえにレゲエといっても、その種類はルーツやダンスホールなど幅広い。本記事ではさまざまなレゲエのかかる店をセレクト。レゲエならではの音響設備、いわゆるサウンドシステムが魅力のヴェニューはもちろん、店主自身がレゲエクルーのMCを務める店舗も取り上げる。

世界は混沌としている。だからこそレゲエを聴いていい時間を過ごしてほしい。

  • アート

2025年10月、東京のアートシーンは見逃せない展覧会であふれている。

昨年101歳で逝去した染色家・柚木沙弥郎の個展や、「ワタリウム美術館」での世界のストリートアートをリードするオスジェメオスとバリー・マッギーによる初のコラボレーション展など、今しか出合えない作品が揃う。この秋、心に響く一枚を探しに、アートの街へ出かけてみてほしい。

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芸術の秋は極上の舞台芸術を楽しんでみては。歌舞伎座では三大名作の通し上演の最終演目となる『義経千本桜』が楽しめるほか、大竹しのぶがリアを演じる『リア王』や、映画化もされた『焼肉ドラゴン』、舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」では、世界の演劇史にその名を刻む故ロバート・ウィルソン演出、フランスの俳優イザベル・ユペール主演の一人芝居『Mary Said What She Said』が上演される。

新国立劇場バレエ団による幸福感に満ちた『シンデレラ』、ウィーン国立歌劇場の来日公演となるオペラ『ばらの騎士』など、ジャンルを超えた不朽の名作舞台が目白押しだ。ぜひチェックしてほしい。

  • アート

秋風とともに、自然の神秘と科学の驚きに出合うチャンスがやってきた。恐竜や絶滅生物、宇宙の謎まで、東京・大阪で開催される注目の展覧会で、未知なる世界を体感しよう。

「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」では迫力の化石と映像で地球の大事件を追体験。「わけあって絶滅しました。展」では絶滅生物たちの物語がユニークに語られ、「チ。―地球の運動について―」では地球の動きを肌で感じられる。五感で味わう発見の旅が待っている。 

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  • 映画

2025年10月のアニメーション映画のリバイバル上映のラインアップは、はっきりいって異常である。『パトレイバー』『エヴァンゲリオン』『もののけ姫』『攻殻機動隊』という平成初期を代表するアニメ映画の金字塔が、まるで乱発手形のごとく矢継ぎ早に公開されるのだ。「今は一体、西暦何年なんだ?」と勘繰ってしまう。

いずれにせよトレンドやクオリティー、歴史的重要性などを踏まえても、マストで観るべき作品ばかりなのは言うまでもない。今回唯一実写作で紹介している『NANA』も、原作・アニメ・映画すべてが平成中期を代表する傑作コンテンツ。今、求められているのは平成なのではないか。劇場でその息吹を感じ、永遠のクラシックにしびれよう。

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