東京VS大阪
Design: Time Out Tokyo/Photo: Keisuke Tanigawa/Kushikatsu Daruma
Design: Time Out Tokyo/Photo: Keisuke Tanigawa/Kushikatsu Daruma

東京 VS 大阪の食文化

代表的な巨大看板、カレー、ラーメン、甘味を紹介

Genya Aoki
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東京と大阪の食文化は、ときに別の国なのでは思うほど異なっている。一般的に、東京を含む関東料理はより濃厚で、塩味が強いのに対し、大阪を含む関西料理はよりマイルドで甘みがある。お好み焼きともんじゃ焼き、うどんとそば、三角のおにぎりと丸いおにぎりなど、キッチンでは東京と大阪のライバル関係が色濃く表れているのである。

ここでは、東京と大阪の食にまつわるアレコレに関して、ぜひ訪れてほしい場所に限定して比べてみた。代表的な巨大看板、カレー、ラーメン、甘味を紹介。老舗から現在進行形のスター店舗まで、観光に役立つのをはじめ、地元の人にとっても発見があるものになっている。ぜひ参考にしてほしい。

【カレー】欧風カレー VS スパイスカリー

国民食といわれるカレーだが、地域色がある。それぞれの都市を代表するカレージャンルを紹介しよう。

東京を代表するのは「欧風カレー」。ルー状のソースにブイヨンやフォンドヴォーなどのだしやフルーツを入れ、甘味やコクを感じさせるカレーである。日本のカレーを洋食として昇華させた礎と言われている。食べるなら「ボンディ 神保町本店」を訪れてほしい。「神保町=カレーの聖地」を確立した欧風カレーの元祖だ。

一方、大阪を代表するカレーといえば「スパイスカリー」。小麦粉を使わず多様なスパイスを駆使し、それぞれの店がオリジナルの味を追求する様は、さながら大阪人の自由さと実験精神が発揮された「食カルチャー」の革命児である。

食べるなら、和だしと世界各地のスパイスが融合した大阪スパイスカリー界のスター店舗「スパイスカリー大陸」がおすすめしたい。 

【ラーメン】鶏白湯 VS 高井田ブラック系

関西の麺類といえば「うどん」、東京の麺類といえば「そば」だが、ラーメンもそれぞれの都市で日進月歩の進化を遂げている。ここでは色に着目し、白対黒という目線から東京らしさと大阪らしさを比較してみた。

東京からは「白色」。鶏白湯(ぱいたん)ラーメンは、2000〜2010年代に各地で盛り上がり、すっかり定番となった。近年東京で「進化系」として定着した新世代ジャンルである。

東京らしさを感じる洗練した一杯が楽しめる「Ramen Afro Beats」をおすすめしたい。パプリカのオレンジエスプーマが映える美しい一杯。こうした店が登場し、多くの訪日外国人をとりこにしているのは、東京らしさといえるだろう。

対する大阪は、ローカルな黒「高井田系」。真っ黒なスープは、東大阪人のDNAに刻み込まれたビジュアルだ。食べるなら「麺屋 丈六 なんば店」を訪れてみてほしい。伝統のブラック系を「丈六流」に再解釈した、完成度の高い進化系の味に仕上がっている。

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【甘味】たい焼き VS アイスキャンデー

全国津々浦々で地域特色を持ち、土産としても定番なのがスイーツである。土地の人々の記憶に刻み込まれた「ソウルスイーツ」ともいえる甘味を見ていこう。

東京からは「たい焼き」だ。100年以上の歴史を誇る庶民のおやつで、知らない人を探す方が難しいほど日本中に認知された食べ物である。

編集部員いち押しのたい焼きは「柳屋」。「東京三大たい焼き」の一つとして行列必至の人気店で、脅威のリピーター率を誇る。毎日仕込みをしているフレッシュな皮は薄く焼かれ、サクサクとした食感。中には程よい甘みのつぶあんが入っている。

大阪は「アイスキャンデー」。大阪人の夏には欠かせない「思い出の味」である。食べるなら「北極」に決まりだろう。親子3世代が共有できる大阪銘菓だ。

【巨大看板】ジャンボコック VS だるま大臣

最後は少し趣を変えて、シンボリックな巨大看板について比較してみたい。街のシンボルが存在することは、観光において大きな意味があり、そのシンボルを内包する食文化を盛り立てるのに一役も二役も買っている。

東京代表といえば、やはりかっぱ橋道具街のシンボル「ジャンボコック」だ。ニイミ洋食器店の屋上に1982年から鎮座している。同店はプロも探しに来る洋食器店で、その取り扱いメーカーは300以上もある。

大阪からは、大阪新世界元祖串かつ だるま 道頓堀店の「だるま大臣」を紹介しよう。立体看板がひしめく道頓堀の中でも、撮影スポットとして人気を博している。屋上にも回転する巨大なだるま大臣があり、夜はライトアップされ光っているのも大阪らしい。

なお、「串かつだるま」は1929年に創業し、「ソース二度漬け禁止」を世界に広めた大阪食文化の顔である。

数字で比べる東京VS大阪


※参照:人口-東京都総務局統計部東京都の人口(推計)2025年8月度、大阪府総務部統計課大阪府の毎月推計人口2025年8月度、面積-国土地理院 2025年版「面積調」、飲食店営業施設数-東京都保健医療局「食品衛生の窓」令和7年度第1四半期 分、令和6年度大阪府統計年鑑 20-9食品衛生関係営業施設数、 ミシュランガイド掲載店の数- 『ミシュランガイド東京2025』『ミシュランガイド京都・大阪2025』外食費-総務省統計局年間, 二人以上, 2022–2024平均、畜肉消費量-総務省家計調査報告 家計収支編2024年平均結果の概要、全国消費額ランキング1位-家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング (2022~2024年)平均

もっと東京の食を堪能したいなら……

  • ピザ

東京の「ピザ」シーンが熱い。特にナポリピッツァのレベルは高く、本場イタリアにも引けを取らない本格的なピザを楽しめる名店揃いと言えるだろう。2025年3月に発表されたアジアのトップピザ50」では、都市別では最も多い6軒がランクインしたのも頷ける。

ここでは、同ランキングとタイムアウトワールドワイドが選んだ世界のベストピザ 19」に選出された店を合わせて紹介する。本場ナポリの味を堪能できる本格マルゲリータが楽しめる店や、日本ならではのうまみを味わえる店などだ。

  • エジプト料理

東京では世界各国の料理を味わえるが、今日は「エジプト」という選択をしてみてはどうだろう。エジプト料理というと馴染みがないという人もいるかもしれないが、米、マカロニなどにトマトソースをかけて混ぜた「コシャリ」や、中東でよく食べられるファラフェルに似たソラマメのコロッケ「ターメイヤ」などが定番として知られている。

ここでは、5人のエジプト人シェフが腕を振るうレストランや、現在「森アーツセンター」で開催中の「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」展帰りに寄りたい、六本木にある店などを紹介する。

ベリーダンスを定期開催している店もあるので、その日を狙って訪れるのもおすすめだ。 

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