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五感で味わう没入展示、ピクサーの世界に「入れる」展覧会がすごい

匂いも音も床の感触も、豊洲の「CREVIA BASE Tokyo」で開催中

Rikimaru Yamatsuka
テキスト
Rikimaru Yamatsuka
作家
ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima | 『ピクサーの世界展』会場の様子
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現在、豊洲の「CREVIA BASE Tokyo」で開催されている「ピクサーの世界展」に行ってきた。

これまで世界7カ国9都市で累計350万人を動員しており、ピクサー・アニメーション・スタジオの監修・キュレーションのもと制作された、ピクサー映画のワンシーンを実物大スケールで再現するという展示の、待望の日本版である。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima会場入り口

何を隠そう筆者はピクサーのビッグファンであり、『カールじいさんの空飛ぶ家』などは人生ベスト20に食い込むぐらい大好きな作品だし、『ピクサー流 創造するちから』などの本もアホほど読み込んでいるゆえ、かなりウキウキで繰り出したのだが、マジでめっちゃすごかった。控えめに言っても不当なまでに楽しかった。

没入体験の追求

本展は前述した通り、ピクサー映画のワンシーンを実物大スケールで再現するという展示である。本当にそれ以上でも以下でもなく、それ以外は何もない。

ピクサーの社史とか、制作の舞台裏とか、スタッフ紹介とか、そういったヒストリー、クリエーティブ、パーソナリティー要素はほぼ皆無で、各作品のお部屋の前にシンプルな作品紹介と、ちょっとしたトリビアやこぼれ話が書いてあるキャプションが掲示してあるのみだ。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima『トイ・ストーリ』アンディーの部屋

とにかく作品世界への没入体験を徹底的に追求している。 実寸大のキャラクターに出会えて、それぞれの世界を歩き回ってじっくり眺めたり、写真を撮れたりするというだけでない(その時点で十分すごいのだが)、 世界最強の天才クリエーティブ集団であるピクサーの圧倒的なこだわりが随所で炸裂している。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima展示内部の様子

匂い、音、視覚的効果

例えば部屋ごとに違った匂いがする。『マイエレメント』では上質な木の香りがうっすらと漂っているし、『レミーのおいしいレストラン』では甘いお菓子のような香りがふんわりと満ちているし、『あの夏のルカ』では爽やかな海の香りが広がっている。いってもこれ見よがしではない、あくまで空気に色付けをするぐらいのもので、品の良さを感じる。とにかくどのお部屋もすげえいい匂いがするし、その嗅覚的刺激が没入体験をまた一段と加速させている。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima『マイ・エレメント』

音楽もひじょうに重要だ。各部屋はそれぞれ違った音楽が流れていて、『リメンバー・ミー』では情熱的なマリアッチ調のギターの調べが鳴っているし、『カーズ』ではちょっとワイルドな感じのロッキンブルーズが鳴っている。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima『カーズ』

それもただ音楽が鳴っているというだけでなく、『カールじいさんの空飛ぶ家』では、家がきしむような音がかすかに聞こえてきて、キャラクターの実在性を強く感じさせられるし、『マイ・エレメント』では列車の走行音がBGMにミックスされており、リアルなライヴ感がある。空間と音が完全に連動していて、そのマリアージュたるやまさしく映画の中に入り込んでしまったような気分にさせられる。

音響部分にもこだわっていて、深海を模した『ファインディング・ニモ』の部屋などはリバービーな音作りになっている。スモークなんかも焚かれちゃったりして、一歩足を踏み入れるともう明確に別世界に来た感覚だ。床の材質なんかも趣向をこらしていて、足の裏の感覚からしてもう作品ごとに明確に違う。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima深海を模した『ファインディング・ニモ』の部屋

もちろん視覚的効果も手を抜かない。ピクサー映画の作品世界とキャラクターが、実寸大で、リアルな質感で見られるというだけでなく、さまざまなビジュアルエフェクトがこらされている。『リメンバー・ミー』では、床一面に輝きながら舞い飛ぶ落ち葉が映し出されるし、『カールじいさんの空飛ぶ家』では、窓の外の風景が映像になっていて眺めていると時折ケヴィンやダグの姿が見えたり、ちゃんと「生きた」世界を味わえるのがとにかくワクワクする。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima舞い飛ぶ落ち葉が印象的な『リメンバー・ミー』の部屋
ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima『カールじいさんの空飛ぶ家』

ちょっとした探検気分も

それから各作品のファンなら思わずニヤリとする仕掛けや小ネタも満載だ。

『カールじいさんの空飛ぶ家』の、若き日のカールとエリーの手形でペイントされた郵便受けも映画で観たまんまで、ちゃんと中には消印が押印された郵便物が入っていたりと、作り込みの細かさがエグい。『モンスターズ・インク』ではブーの部屋に繋がるドアを開けることもできるし、実際に触って楽しめるポイントもいろいろと設置されているので、ただ作品世界を観光するばかりでなく、ちょっとした探検気分まで味わえてしまう。本展は五感を使って味わう、珠玉の没入体験エンターテイメントなのである。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima『モンスターズ・インク』ブーの部屋に繋がるドア

筆者は「うわおー! あれもこれも全部うわおー!」とはしゃぎまくり、大いに写真を撮った。内観の話ばかりしてしまったが、各部屋にいるキャラクターたちに出会ったときなどは、なんかもう嬉しいとか通り越して、ちょっと緊張した。前述した通り、筆者は『カールじいさんの空飛ぶ家』という映画を心から愛しているので、室内に入り、出迎えてくれるカールじいさんを見た瞬間は、「うわあああああ!!! 本物だあああああ!!!!」と叫びたくなるほどだった。大人なので叫ばずに小声で言ったが、とにかくそのぐらいピクサーファンの心をステキに揺さぶってくる展示である。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima『カールじいさんの空飛ぶ家』

ステキすぎる物販

また会場物販も大変ステキだ。500種類以上の豊富なラインナップを揃えているそうで、入手困難な貴重アイテムやここでしか手に入らないオリジナル商品もあり、ここもファンなら小1時間は軽くはしゃげてしまうことうけ合いである。会場オリジナル商品である「MUNDO PIXAR詰め合わせ缶」は、キャラクターが描かれたクッキーそしてマシュマロのセットで、サイズ感とかパッケージングもめちゃくちゃ可愛いんだけども、それ以上にキャラクターのチョイスセンスがかなり「わかってんな」という感じの人選だった。

ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima会場オリジナル商品「MUNDO PIXAR詰め合わせ缶」
ピクサーの世界展
Photo:Kisa Toyoshima物販コーナー

ピクサーの夢と情熱がたっぷり詰まった、濃厚で驚異的な展示である。10月12日(月・祝)まで開催する本展、見逃さないように。

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