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4月1日から、オープニング展は「広告と公共」がテーマ

2026年4月1日、新しいスタイルの小さなミュージアム「Museum of Imaginary Narrative Arts」(MINA)が渋谷にオープン。「イマジナリーナラティブ=架空の物語」をコンセプトに掲げ、アート作品に囲まれながらカフェとして飲食も楽しめるミュージアムを舞台に、アートとともに暮らす豊かで新しい日常を提供する。
季節ごとに展開される現代美術の展覧会を起点に、季刊誌の発行や体験型のラーニングプログラムなど、多彩に活動していく。新しい体験や交流を通じて、街に新たなつながりとにぎわいを提供し、そして文化的価値の創造を目指す。
渋谷駅からほど近い立地ながら、周辺には「青山学院大学」や「金王八幡宮」といった教育・文化施設が点在するこのエリア。都市の喧騒(けんそう)と落ち着きが交差する場所に、同施設は誕生した。
かつては期間限定施設やキッチンカーの用地として使われていたこの土地に、渋谷の再開発を牽引(けんいん)してきた東急が常設のアート拠点を構想。「消費される場」から「蓄積される場」へと役割をシフトさせる試みともいえる。
館内は、ひと目で見渡せるほどコンパクト。アート作品とテーブル、カフェカウンターが同居し、鑑賞と滞在の境界が曖昧に設計されている。コーヒーやフードを片手に作品と向き合う体験は、従来のミュージアムとは異なるリズムを生み出すだろう。
同施設をディレクションするのは現代美術ユニット「L PACK.」。アート・デザイン・建築・民藝を横断しながら、最小限の道具と現地の素材を臨機応変に組み合わせた「コーヒーのある風景」をきっかけに、街の要素の一部となることを目指すユニットだ。
同施設では、ミュージアムという存在を一つの完成形としてではなく、要素ごとに分解し再構築していくアプローチを採用。展示・収蔵・教育・出版といった機能を個別に捉え、その積み重ねによって新たなミュージアム像を立ち上げていく。「その蓄積は既存のミュージアム像と異なるものになるでしょう」と中嶋は話す。
アーティストと一緒に行うラーニングプログラムや作品収蔵も予定されており、時間とともに変化し続ける未完成のミュージアムとしての側面も興味深い。
こけら落としとなる展覧会は「PUBLICAD」。ミュージアムポスターという存在に着目し、広告と公共のあいだにある表現を問い直す試みだ。
参加アーティストは、公共空間を舞台に活動する菅原玄奨とBIEN。菅原は、どこか現実離れした滑らかなグレーの樹脂彫刻を発表する。現実と非現実の境界を曖昧にするその造形は、渋谷の喧騒からふっと意識を切り離すような違和感をもたらす。
一方BIENは、ロンドンの街で出合った水たまりを起点に、大都市のゆがみや視覚のズレをすくい上げる作品を展示。写真、グラフィック、ドローイングを横断した作品は、見慣れた都市の風景を別のレイヤーで再認識させる。
渋谷の喧騒のすぐそばで、シームレスに物語に入り込むような時間が流れる。コーヒーを片手に作品と向き合い、誰かと語らい、新たな視点を持ち帰る。その小さな積み重ねが、街の風景や私たちの感性を静かに更新していくだろう。そんな緩やかな改革が、この場所から始まろうとしている。
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