2025年11月はリバイバル上映が熱い。別にそんなこと言ったら去年の秋だって熱かったし、きっと来年も再来年の秋も熱いのだろうが、とにかく熱いのである。
2025年9月に、89年の生涯を閉じた映画人ロバート・レッドフォードのキャリアを代表する『スティング』、シネフィルはいろいろ口汚いこと言うけど映像はマジでヤバいんだからいいじゃんなカルト名作『落下の王国』など、幅広く盛り沢山なのだ。
読書も食事もスポーツも大いに結構だが、この秋は名作映画に大スクリーンで触れまくるのもいいだろう。
『スティング』(1973年)
先日、88年の生涯を閉じた名優ロバート・レッドフォードを偲ぶ追悼企画として、『スティング』がリバイバル上映される。
1930年代のシカゴを舞台に、若手の詐欺師とベテラン詐欺師がタッグを組んで大物ギャングをカタにハメる痛快娯楽映画で、アカデミー賞7部門を受賞した不朽の名作だ。観客をも騙す緻密なプロットやテーマ曲の洒脱な味わいはいま観るだに全く古びていない。
スクリーン中を所狭しと駆け回るロバート・レッドフォードの身体能力の高さも見どころのひとつで、彼ほど美しく走る俳優はいまだハリウッドに現れていないと思う。
「Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下」で11月13日(木)まで限定上映。
『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年)
不朽の名作ミュージカル映画が、公開60周年を記念して4Kデジタルリマスターでスクリーンにカムバックする。
舞台は1938年、ナチス占領下のオーストリアで、歌と自然を愛する修道女見習いのマリアが、トラップ家の7人の子どもたちの家庭教師に就任し、持ち前の明るさと歌声で心を通わせていくという物語で、とにかく圧倒的におもしろい。
そして、特筆すべきは楽曲のすばらしさ。捨て曲ナシ、すべて名曲。誰もが知っている「ドレミの歌」や「エーデルワイス」は、この映画のために書き下ろされた。
「TOHOシネマズ日比谷」、「109シネマズ二子玉川」ほかで11月21日(金)から上映。
『落下の王国』(2006年)
とにかく映像がヤバいことで有名な映画が、4Kリマスター&オリジナル版ではカットされたシーン追加され、装いも新たにスクリーンに登場する。
半身不随になったスタントマンが少女にファンタジーな作り話を語って聞かせる……という地味そうなストーリーから矢継ぎ早に繰り出されるブッ飛び映像! CGもほとんど使っていないというからブッタマゲ! 4年の歳月をかけて24カ国以上で撮影されたエスニック映像美たるや実に強烈で、「こんな場所マジで実在すんの!?」と鑑賞中20回は口ずさむこと請け合いだ。
口汚いシネフィルは本作について「ブラザーズ・クエイとかホドロフスキーとかパラジャーノフのパクリじゃん」と言うが、面白いからいいじゃーん! 実際画すげえし!
「新宿武蔵野館」「アップリンク吉祥寺」ほかで、11月21日(金)から全国上映。
『ウエスト・サイド物語』(1961年)
スラム街の不良グループ、ジェット団とシャーク団が縄張りを巡って大喧嘩! しかしジェット団の元リーダー・トニーと、シャーク団の現リーダーのベルナルドの妹・マリアが恋に落ちてしまい、色々となんやかんや起こるミュージカル映画の金字塔だ。
『ロミオとジュリエット』を現代のギャングに置き換え、プエルトリコ移民とイタリア移民の確執を描き出した脚本は、今見るだに秀逸だし、色彩と躍動感に満ちた画面は不朽の輝きに満ちている。名匠レナード・バーンスタインによる音楽もすばらしい。
「TOHOシネマズ新宿」「イオンシネマ多摩センター」ほかにて、11月7日(金)から2週間限定上映。
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