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これが2.5次元……! セーラームーン舞台、初見で食らった衝撃

「ノリきれるのか?」から「また観たい」へ、初体験の筆者による忌憚のない感想

Rikimaru Yamatsuka
テキスト
Rikimaru Yamatsuka
作家
美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshima | 「美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-」公演の様子
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このほど、「品川プリンスホテル」にある360度型のエンターテインメントシアター「クラブeX」が、「美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-」として2026年4月4日にオープン。プレビュー公演に行ってきた。

2019年に東京・麻布十番で人気を博した「美少女戦士セーラームーン -SHINING MOON TOKYO-」を受け継ぐ公演で、本シアターでしか見られないオリジナルストーリーや演出・音楽・衣装が愉しめる2.5次元ミュージカルである。

美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshima会場入り口

筆者はセーラームーンに関してはギリギリ世代ぐらいで、姉がファンだったこともあり、そこそこ親しんでいる方だと自認している。原作漫画も読んだしアニメもシーズン2まで観た、ゲームボーイで発売された『セーラームーンR』も相当やりこんだ記憶がある。というと、「さぞ喜び勇んで鑑賞したことでしょう」と思う人もあるかもしれないが、正直言って筆者はやや不安だった。

原作やアニメのイメージが壊れたらどうしよう、というようなよくあるファン心理ではなく、ムチャクチャ照れてしまいそうだと思っていたのである。

「ノリきれるだろうか」という不安

本公演はいわゆる2.5次元ミュージカルであるが、筆者はこれまでこういったコンテンツを生で観たことが一度もなかった。いくつかの舞台を配信などで観たことはあるが、率直に言って「自分には無理だな」と決めつけていた。2.5次元はいまや新時代のクールジャパンを象徴するジャンルであり、その市場規模も年々右肩上がりに拡大している注目コンテンツであることは分かっているが、なんというか、照れてしまうのだ。

美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshima公演の様子

2次元のノリを舞台に持ち込み、あまつさえ、唐突に歌ったり踊ったりするそれらは、単なる漫画の実写映画などとは違う異様な熱気に満ちており、いわゆる「推し活」を嗜まない筆者にとっては、おもしろさより恥ずかしさを感じさせるモノだったのである。なので、このプレビュー公演当日は正直なところ「果たして自分はノリきれるだろうか」という不安を感じていた。

キャッチーな演出、パワフルな振付

そしてショーが始まり、メインキャストのセーラー戦士たちが舞い踊る姿をみたときの筆者の反応を率直に述べると、「うわ、これ、やっぱ恥ずかしいな。恥ずかしいとか言ったら失礼なんだけど、これはかなり照れる」と思った。なんならちょっと薄目で見たりしてた。やはり俺には無理かもしれない……と諦めかけていたのだが、驚くべきことに、ショーが進行するにつれ、だんだんその世界観へ引き込まれていった。

美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshima引き込まれていく演出も見どころ

フラッシュライトやレーザーを巧みに同期させ、デジタル透過パネルやスクリーンを活用してさまざまなレイヤーを重ねた演出はものすごくキャッチーだし、オールディーズ風味からK-POP調のハイブリッドなEDMまで取り上げたバラエティー豊かな楽曲も楽しい。

コレオグラフも素晴らしく、ワッキングやタッティングを取り入れた振付はとてもパワフルで華やかだ。セーラー戦士のコスチュームは全員ヒールブーツなので、下半身に相当な負荷がかかると思うのだが、これらの激しいダンスを立て続けに踊りながら生歌を貫き通すバイタルにもしびれる。また外国人客向けにセリフや歌詞がスクリーンにリアルタイムで表示されるというのも高いホスピタリティーを感じた。

美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshimaスクリーンにはセリフや歌詞が英語でリアルタイムで表示される

キャスティングの素晴らしさ

そして何よりキャスティングがいい。本公演は「Team Gold Moon」と「Team Silver Moon」の2チームによるダブルキャストが組まれており、筆者が鑑賞したのは「Team Gold Moon」だったが、良い配役だと思った。特に、スーパーセーラージュピターの木野まことを演じた後藤萌咲がムチャクチャ良い。

高身長と長い手足を生かしたダンスはかなりキレているし、そのたたずまいはまこちゃんファンを自認する筆者でも「まこちゃんが動いてる! 喋ってる!」と思わせる実在性があった。

美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshima会場の様子

スーパーセーラーちびムーン・ちびうさ役の中村茉稟のコケティッシュな存在感や、スーパーセーラーウラヌス・天王はるか役を演じた梶川愛美の宝塚男役ばりのシャープないでたちもかなりナイスだったが、タキシード仮面・地場衛役を演じた杏莉の良さにはちょっとたじろいだ。

スーパーセーラージュピターの木野まこと
Photo:Kisa Toyoshimaちびうさ役の中村茉稟
美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshima天王はるか役を演じた梶川愛美

登場した当初は「ええ~、まもちゃんにしてはちょっと線が細すぎねえか? 韓国風のメンズメイクまで施しちゃってるし」とか思っていたのだが、あの滑稽ギリギリの優雅さと耽美さをひじょうに上手く体現しており、後半にさしかかる頃にはかなり見惚れていた。国民的コンテンツを題材にした2.5次元ミュージカルの、確かなブランド力を感じるキャスト陣だった。

美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshima劇中の様子

原作への高い解像度

「AI」を題材にしたオリジナルストーリーは一言で言って普通なのだが、「セーラームーン」特有のゴシックでデスな感覚がちゃんと組み込まれており、原作に対する高い解像度を感じた。未見だと知らないかもしれないが「セーラームーン」は結構暗い作品で、1980年代のビデオホラーやオカルトブームをルーツとした恐怖演出が散りばめられている。

美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshima「AI」を題材にしたオリジナルストーリーが展開される

そうしたゴシックでデスな展開を、最終的に「愛」で突破し、「汝の敵を愛し、迫害するもののために祈りなさい」的なところまでいってしまうのがセーラームーンの真に凄い点だと思うが、この点を制作側はよく分かっていると感じた。

こんなに面白えモンがあったのか

舞台が終わるやいなや撮影タイムに移行し、伝説の超名曲「ムーンライト伝説」から始まる全3曲を、キャスト全員で会場を縦横無尽に行き来しながら踊るというパフォーマンスにもかなりブチ上がった。

不当なまでに楽しいエンターテインメントで、最終的には心から拍手した。2.5次元初体験だったが、こんなに面白いんだったらそりゃみんなハマるよなと思った。普通にムチャクチャ感動した。

美少女戦士セーラームーン -Shining Theater Shinagawa Tokyo-
Photo:Kisa Toyoshima会場の様子

公演終了後、キャストのSNSとか見ちゃったし! 自分の中の新しい扉が開くのを感じた、とてもステキなミュージカルだった。ファンのみならず、2.5次元に苦手意識を持つ方にも自信を持っておすすめできる、かなりの良作だと思う。Team Silver Moonのヴァージョンもすげえ気になる!

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