この間まで夏だったのに、いつの間にやら季節は冬。ここから年末ムードが日増しに盛り上がっていくのかと思うと時流の早さにやるせなさを感じるが、そう悪いことばかりではない。何しろこれから1980~2000年代の名作アニメ映画が矢継ぎ早にリバイバル上映されるからだ。
庵野秀明が己の人生を大きく変えたシリーズに決着を着けるべく挑んだ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』や、世界中に衝撃と影響を与えた今敏の初監督作品『パーフェクトブルー』。
そして鬼才・押井守が手がけた実験アニメ映画の金字塔『天使のたまご』、「90年代ジャパニメーション見本市」と呼ぶべき傑作オムニバス『MEMORIES』と、どれも劇場の大スクリーンで観るにふさわしい名作の数々が揃った。
一回も観たことがないビギナーも、「100回観たよ!」というマニア勢もぜひ映画館に足を運び、この歴史的名作の数々にうなり、胸を熱くさせてほしい。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007年)
「エヴァンゲリオン」シリーズ30周年を記念したリバイバル上映企画『月1エヴァ』が現在開催中だが、いよいよ新劇場版の公開が開始される。
庵野秀明が「エヴァ」を再構築し、新たな物語と結末を提示することでシリーズに決着を着けるべく制作された4部作。その1作目となる『序』は、テレビ版の1~6話を踏襲した構成で、初心者がいきなり観てもじゅうぶんに楽しめる。
難解そうなイメージを持つ人も多いと思うが、『序』の筋書きはいたってシンプル。父親の指令で巨大人型兵器に乗るハメになった少年・碇の葛藤と激闘、そして謎の美少女・綾波レイとの淡い恋模様が超絶作画で描かれる、かなりのエンターテインメント映画である。
2025年11月15日(土)には「新宿バルト9」で、発声が可能な上映が行われる。サイリウムで劇場を照らし、歓声で劇場をあたためよう。
「新宿バルト9」「丸の内ピカデリー」ほかで、11月14日(金)〜21日(金)上映。
『天使のたまご』(1985年)4Kリマスター
映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の押井守と、ビデオゲーム『ファイナルファンタジー』のイラストとデザインを担当した天野喜孝がタッグを組んだ伝説のアニメ映画が、公開40周年を記念して4Kリマスターでリバイバルする。
アンドレイ・タルコフスキーに大いに影響を受けており、セリフもカット数も異様なまでに少なく、色彩もほぼモノトーンと非常に禁欲的な内容だ。
そして、ストーリーらしきストーリーは特になく、ただ雰囲気と緊張感が充満しているような手触りはまさに唯一無二。映像も音楽もものすごく美しい。ドーパミン中毒の現代人こそ鑑賞するべき作品である。
「渋谷シネクイント」「キネカ大森」ほかで、11月21日(金)から全国順次公開。
『パーフェクトブルー』(1998年)
鬼才・今敏による伝説の初監督作品が、ついに劇場でよみがえる。
アイドルが事務所の意向で役者に転身するも、望まぬ汚れ仕事やストーカー被害に追い詰められ、やがて現実と虚構の境がどんどん曖昧になっていく……という、ものすごく怖くて暗いサイコホラーで、とにかく強烈な作品。公開当時はまだ黎明期であったインターネットの闇など、現代の社会問題を多く先取りしたストーリーは予言的であり、今観るだに全く古びていない。
ダーレン・アロノフスキーは本作の熱狂的ファンであり、アカデミー5部門にノミネートされた『ブラック・スワン』は本作を露骨にオマージュしている。
「新宿ピカデリー」「アップリンク吉祥寺」ほかで、11月21日(金)〜28日(金)限定上映。
『MEMORIES』(1995年) 4Kデジタルリマスター版
日本が世界に誇るリビングレジェンド・大友克洋が制作総指揮と総監督をつとめたオムニバスアニメ映画が、公開30年を記念してリバイバル上映される。
漂流する宇宙船を舞台にした幻想的なSFサスペンス、極秘に開発された薬品サンプルを誤って飲んだ青年が巻き起こすパニックコメディー、大砲を撃つためだけに作られた街の住人たちを描くワンカットアニメと、実験精神とユーモアを兼ね備えた濃厚でバラエティー豊かな3本立てだ。
声優陣の熱演やヤバすぎる作画、美麗な音響など全編にわたってスキがなく、とにかくハイクオリティー極まる。菅野よう子や石野卓球が参加した豪華なサウンドトラックもすばらしい。
「池袋HUMAXシネマズ」「新宿ピカデリー」ほかで、11月28日(金)〜12月12日(金)限定上映。
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