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同性婚不受理は違憲と判決、LGBTQ+の権利を認める転機に

札幌地裁で日本初の司法判断、当事者の権利を守るターニングポイントを迎えて

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Time Out Tokyo Editors
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主要7カ国(G7)のなかで、日本は同性の法律婚を認めていない唯一の国だ。2021年3月17日午前、札幌地方裁判所は北海道内の3組のカップルが「婚姻の自由」を保障した憲法に反するとして、慰謝料100万円を求めた裁判が開かれた。賠償請求は棄却となったが、札幌地裁は違憲であると判断。今回の判決は、今後のLGBTQ+の権利を守り、制度を変えていくためのターニングポイントとなる可能性がある。

家族の在り方に性別は関係ない

2015年、渋谷区の導入を皮切りに、日本の全国でも同性パートナーシップ制度が広がりつつある現在。しかし税金や財産、医療面で家族としての権利、不動産や賃貸住宅入居など、異性間では当然の権利を求めているLGBTQ+の当事者たちの希望をかなえられる制度は、いまだ認められていない。

日本のLGBTQ+の環境改善と同性婚の理解促進を目標に、ミスター・ゲイ・ワールド日本大会を行うミスターゲイジャパン運営代表の市川穣嗣は、17日の裁判について次のように語った。

「午前11時半ごろ、職場で判決のニュースを見て、うれし涙が出ました。友人たちからも次々に電話がかかってきた。訴訟の全てが承諾されたわけではないが、『違憲』と認めた判決はパワフルです。LGBTQ+に対しての差別があるということを公的な場で示してくれました。

裁判の目録では、国側が家族の在り方など抽象的な話をしているなかで、裁判長からは、家族とは子どものあるなしではなく、誰と過ごすかが重要だということが語られています。日本人の良いところでもあり悪いところでもある、声を挙げにくい、旧体制を変えづらいといった問題もありますが、今回、裁判所という公の場が認めたことは、世論を変える、未来を変えていくための第一歩になるでしょう」

ミスターゲイジャパンは、2020年8月からchange.orgを通して婚姻平等(同性婚)賛同署名活動を行い、3月18日時点で2万7325人の署名を集めている。締め切りは2021年3月29日(月)までで、現在も受け付け中だ。

同性に限らず全ての人の人権を尊重して

同性婚が認められないことの問題は、同性同志のカップルだけではなく、自認する性別と戸籍上の性別が異なるトランスジェンダーにも影響を与えている。同性婚の権利を保障する制度を持つ、デンマークとスウェーデンで行われた研究では、合法化の後の年代でLGBTQ+の自死率が46%下がったという研究結果(原文:Epidemiology and Community Healthも出ているという。

札幌の判決に対して原告側は控訴する考えを示し、東京、大阪、名古屋、福岡の四つの地方裁判所では同性婚を巡る訴訟が進行中だが、今回は日本で初の司法判決が出た。全ての人々が平等な権利を得るための戦いにおける、前例のない一歩である。  

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