ニュース

東京で矢沢あいの作品世界を体験するための6の方法

ファッショナブルな少女漫画の主人公気分になれるスポット

Jasmina Mitrovic
テキスト
Jasmina Mitrovic
翻訳:
Atsushi Tonosaki
Nana│© Ai Yazawa
Photo: Nana│© Ai Yazawa
広告

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、矢沢あいの漫画は真の文化現象だった。

彼女は、ファッションを「第二の言語」として操り、失恋が常に線路の向こう側で待ち構えているかのような独特の世界観を構築。『NANA』『Paradise Kiss』『ご近所物語』では、東京という都市のカフェも裏通りも一本のたばこまでもが、映画のワンシーンに見えるように切り取った。

そして、矢沢が描いたキャラクターたちは、「ヴィヴィアン」のタータンやイチゴ色のフリルに身を包み、喜びと絶望の間を漂いながら、孤独さえもスタイルとして昇華するかのように街を歩く。

紙面上では未完のまま止まっている物語もあるが、この街・東京では、その間も矢沢の世界の断片が息づいている。中には「聖地巡礼」として知られる場所もあれば、彼女の描く一コマがそのまま現実になったかのような場所もある。

『NANA』の熱心なファンであれ、あるいは矢沢の鋭い若者観やファッション感覚に引かれる者であれ、これら6つのスポットは、彼女の世界のフレームの中へと引き込んでくれるだろう。

多摩川沿いを「ホット・ガール・ウォーク」する

Take a hot girl walk along the Tama River
Photo: Jasmina Mitrovic

多摩川には、一度の夕暮れの間にロマンチックにもメランコリックにも揺れ動く空気が漂い、マジックアワーの水面には郊外の静かな輪郭と、遠くに広がるスカイラインの両方が映り込む。

ここでは、自分自身が変化の途上にいる登場人物であるかのように感じられる。選択のはざまに立ち、昨夜の会話を頭の中で繰り返したり、ノートに歌詞の断片を描きつけたりする。ギターを手にしたカップルが歩き、ランナーとすれ違う。気付けばその光景全体が、まるで矢沢の漫画の一場面を現実に重ね合わせたかのように見えてくるに違いない。

Jackson Hole」のバーガーに時間を忘れる

Jackson hole
Photo: Jasmina Mitrovic

『NANA』のファンにとって、「Jackson Hole」はハンバーガーショップではなく、むしろ巡礼地である。調布にあるこの居心地のよい店は、作品に組み込まれており、漫画の世界から現実へワープできる数少ない場所の一つだ。

ハンバーガーを注文し、ボックス席に腰を下ろせば、目の前のテーブル越しにハチや章司が座っている姿が目に浮かぶ。学校の課題について語り合ったり、複雑な恋模様を解きほぐしたりしているかもしれない。料理そのものは純粋なアメリカンだが、そこに漂う響く空気は間違いなく矢沢の世界そのものだろう。

下北沢でおそろいのコップを探す

Tokyo Retro a.m.a
Photo: Jasmina Mitrovic

下北沢に点在する古着店やビンテージショップは、矢沢の漫画世界に思いをはせるためにあるかのように思える。「東京レトロa.m.a.store」では、ハチらしさがぎゅっと詰まったイチゴ模様のガラスのコップを手に入れたり、彼女がインテリアの仕事をしていた頃を思わせるスタイリッシュな家具の中を歩き回ったりできる。

この街のキッチュとストリートウエアの鋭さが混ざり合う空気感は、矢沢作品の登場人物たちを忘れがたくしているあの絶妙な緊張感そのものであり、どの店も新しいサブプロット(副次的な筋書き)が生まれそうな気配をまとっている。 

「喫茶小雪」でゆったりとした時間を過ごす

Kissa Koyuki
Photo: Jasmina Mitrovic

喫茶小雪」は、まるで矢沢のヒロインのためにスケッチされ、生まれたかのようなカフェだ。昭和の趣に加え、繊細なイチゴケーキも楽しめ、懐かしさと2000年代のガーリーカルチャーの両方を感じられる。

店内に漂うピンクの光は、ささやき合うゴシップや日記にこっそりつづるような出来事、後に失恋へとつながる密かなデートのためにあるかのよう。一人でのティータイムにも最適で、来るかどうか分からない誰かを待っているかのような気分に浸ることもできる。

「ヴィヴィアン」の古着で身を包む

closet child
Photo: Jasmina Mitrovic

「ヴィヴィアン・ウエストウッド」は、矢沢の作品においてほとんど登場人物の一人のような存在であり、「closet child」はその世界に入り込む機会を与えてくれる。原宿店には同ブランドのアイテムだけを集めたフロアがあり、タータン柄のスカートやオーブのネックレス、大崎ナナのワードローブを象徴するパンクなロマンティシズムの全てが揃っている。

ここでアイテムを見て回ると、まるで矢沢の作品世界から出てきた品々に触れるかのような感覚に包まれるだろう。買う買わないにかかわらず、その世界観は革に染み付いた煙のように、長く心に残るのだ。

おしゃれさんを探す

Bunka FC
Photo: Jasmina Mitrovic

文化服装学院」は東京で最も有名なファッションスクールであり、キャンパスの外にも独特のエネルギーがあふれている。

この学校は『ご近所物語』や『Paradise Kiss』のインスピレーション源としてもしばしば言及される。校門の外に立てば、ジョージや実和子、紫の世界にいても違和感のないような実験的な装いの学生たちの姿が目に入るだろう。

関連記事

How to live out your Ai Yazawa fantasy in Tokyo(原文)

日本初のVivienne Westwood CAFÉが青山にオープン、パンクな美意識を凝縮

10月から11月に行くべきアニメ展示

東京、10月から11月に行くべきアート展

神保町が2025年「世界で最もクールな街」ランキング第1位に選出

ファッションデザイナーの森英恵のキャリアをたどる大規模回顧展が開催

東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら  

関連情報
関連情報
広告