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文化財の記憶を継ぐ「帝国ホテル 京都」が祇園に2026年春開業

1泊300万円のスイートも、ランドマークとして愛されてきた「弥栄会館」を保存活用

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Hanako Suga
帝国ホテル 京都
画像提供:帝国ホテル | 「帝国ホテル 京都」
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帝国ホテルが約30年ぶりに新設するホテル「帝国ホテル 京都」が、2026年春、京都の祇園に開業する。同ホテルは東京、上高地、大阪に次ぐ4軒目で、関西では大阪以来のオープンとなる。

帝国ホテル 京都
画像提供:帝国ホテル新規ホテルの正面玄関部分(完成イメージパース)

ホテルが建つのは、約90年前に建てられた国登録有形文化財「弥栄会館」の跡地。弥栄会館は国の登録有形文化財で、京都市の歴史的風致形成建造物に指定されている。建物を保存活用する形でオープンし、設計施工は弥栄会館も手がけた大林組、内装設計は新素材研究所の建築家・榊田倫之が担当する。

この会館ではかつて人形浄瑠璃や映画、ダンスホール、コンサートなどが行われ、地域に根付いた文化の中心だった。建物の老朽化に伴い近年は使用されなくなっていたが、その歴史的価値を尊重し、建物のシルエットは増改築を行いつつも保存する。

伝統建築と現代の感性を結びつける作風で知られる榊田の手によって、文化財としての品格とラグジュアリーホテルとしての快適性が共存する空間が創出される予定だ。

帝国ホテル 京都
画像提供:帝国ホテル銅板の瓦ぶき屋根

建物の復元にも力を入れており、外壁や構造体の一部を残すほか、会館の特徴である銅板屋根や飾り金物は経年変化まで想定してオリジナルの形状と寸法で復元される。瓦に施された、「歌」の刻印も復元された。

帝国ホテル 京都
画像提供:株式会社大林組テラコッタレリーフの修復

南西外壁には、剥落防止処置を施したオリジナルのタイルと再利用タイルを組み合わせて再現。「宝相華(ほうそうげ)」の唐草文様が施されたテラコッタ製レリーフも、修復の上活用される。

帝国ホテル 京都
画像提供:帝国ホテル保存エリアの本棟南西面(イメージ)

ホテルは全55室。祇園の街並みを望む「保存エリア」、伝統的なシルエットを残しつつモダンに仕上げた「改築エリア」、畳を使い和の空間が広がる「北棟増築エリア」の3つに分かれ、それぞれ異なる眺望と空間構成になる。

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画像提供:帝国ホテル「インペリアルスイート」(イメージ)

中でも注目は、ホテルで最も格式高い部屋である「インペリアルスイート」。193平方メートルの広さを持ち、北・東に広がる2面のテラスからは祇園の町並みや東山の風景を一望できる。

室内は温もりのある設計でリビング、ベッドルーム、ダイニングスペースを分けた構成。展望バスルームや専属バトラーのサービスも想定されており、宿泊料金は1泊300万円(税込み)を予定している。滞在者には、弥栄会館を象徴する「鐘塔」での特別な体験も提供する。

館内には、フレンチや和食を中心としたレストランとバーがオープン。スパやプール、ジムなどのウェルネス施設も完備する。宿泊予約は、2025年秋から開始される予定だ。

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