Drive My Car
Photo: Courtesy of Janus Films

ドライブ・マイ・カー、アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞

作品賞と監督賞の候補となったのは日本映画史上初

Emma Steen
Mari Hiratsuka
テキスト:
Emma Steen
翻訳:
Mari Hiratsuka
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濱口竜介による映画『ドライブ・マイ・カー』が、2022年3月28日『第94回 アカデミー賞』が国際長編映画賞を受賞した。日本映画が同賞に輝くのは『おくりびと』以来13年ぶりのことだ。

本作はそのほかにも作品賞と脚色賞、監督賞にも候補として挙がっていたが、受賞には至らなかった

昨夏のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、ゴールデングローブ賞では日本が62年間受賞していなかった非英語映画賞を受賞した本作にとって、この称賛は決して当たり前のことではない。しかし、今年のアカデミー賞で12部門にノミネートされている映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のほか、『デューン』『ドント・ルック・アップ』『ウエスト・サイド物語』などの大作と日本映画が並んでいるのは喜ばしいことだ。

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Photo: Courtesy of Janus Films

村上春樹の短編小説『女のいない男たち』に収録された『ドライブ・マイ・カー』を原作に映画化した本作は、妻を失った男の喪失と希望を描いた物語だ。

脚本家の妻、音(霧島れいか)を失った舞台演出家の家福(西島秀俊)と彼の愛車の運転手となる、みさき(三浦透子)、そして家福と音の間に存在する俳優の高槻(岡田将生)が登場する。

そして、家福の俳優と演出家という職業にフォーカスし、アントン・チェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』など実在の作品なども織り交ぜながら、登場人物のストーリーを掘り下げていく。

Drive My Car
Photo: Courtesy of Janus Films
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Photo: Courtesy of Janus Films

本作の実験的な姿勢には、チェーホフと多くの類似点がある。まず、オープニングクレジットは映画が始まって40分を過ぎるまで出てこない(映画自体は3時間)。そして、濱口と大江による熟考された脚本は、チェーホフの物語の憂鬱(ゆううつ)と絶望を、村上文学と融合させているのだ。

映画『ドライブ・マイ・カー』は、アップリンク吉祥寺、池袋ヒューマックスシネマなどで上映中だ。まだ作品を観ていないという人は、劇場に足を運んでみてはいかがだろう。

※2022年2月9日に公開した記事をアップデート

タイムアウトロンドンによる『ドライブ・マイ・カー』のレビューはこちら(英語)

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