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発売からわずか5か月で消えたチョコレートの謎に迫る

2026年4月10日から、「GinzaNovo」で企画展「Champ Chime Chocolate(チャンプチャイムチョコレート)」が開催。20世紀のイギリスに存在した、とあるチョコレート会社をテーマにしたポップアップショップと展覧会だ。昨年、話題を呼んだ「視てはいけない絵画展」を主催した映画レーベルのNOTHING NEWが手がけている。
本記事では、輝かしい歴史の陰に謎とスリルが隠された同展覧会の見どころをレビューする。
夜中の遊園地に迷い込んだようなエントランス。陽気な音楽とデコレーション、マスコットキャラクターのクマ・「チャンプ君」のアニメーションがゲストを歓迎する。もちろん、チョコレートの甘い匂いも立ち込めている。アニメーションの中で、チャンプ君はしきりに「仲間を探している」と口にしていた。
同展覧会でスポットライトが当たるのは、幻のチョコレートとして名高い「Champ Chime Chocolate(チャンプチャイムチョコレート)」。1934年に「プリンス」の異名をとったパティシエ兼実業家のプリス・アビントン(Prys Abington)が創業した。ユニークなパッケージと、「食べると幸せになれる」という味わいで世の人々を魅了しながらも、わずかな期間でその歴史を閉じた。突然の幕引きについて、当時の新聞や業界誌には数多くの憶測が残されているが、真相は未だ明らかになっていない。
今回のような試みを日本で行う背景については「いくつかの理由がある」とのみ、同社の資料の保全と研究を行う団体「Champ Chime Memorial Trust」(チャンプチャイム記念信託)から説明されている。
会場内では、チャンプチャイムチョコレートにまつわる商品が復刻販売されるほか、発売当時のパッケージデザイン・広告ポスター・ノベルティをはじめ、数多くの貴重な資料が展示されている。
アビントンは船旅の途中、「メロウアイランド」という離島にたどり着く。そこで目にしたのはのちに「チャンプカカオ」と呼ばれる巨大な黒いカカオの実だった。彼の助手、ショウ・ランの記録によると島民は、このカカオを供物を意味する「ファカヘレ」という言葉で呼んでいたという。
会場内にはこの島に関する資料も展示されている。当時の島の様子のスケッチや壁画、アビントンの衣服など、貴重な品々ばかり。メロウアイランドには四季があり、日本によく似た気候だそうだ。
チャンプカカオの発見をきっかけに、アビントンは助手のショウらとチャンプチャイム社を設立。チョコレートを製造・販売し、瞬く間に人気商品へと駆け上がった。しかし創業まもなく、不透明な生産プロセスや輸入ルートについて疑念の声が上がるようになった。アビントンはチョコレート工場の場所も明らかにしなかったという。
また、アビントンとショウは経営方針についてたびたび対立していたらしく、ラジオに出演した際も口論になった。
疑惑が報じられたところで展覧会は終わっている。ショウも、アビントンもその直後に事故死を遂げているからだ。創業者たちの死によってチャンプチャイムチョコレートは短い時代に幕を閉じることとなったが、この会場にはまだ秘密が残っているようだ。この先で私たちが何を見ることになるのか、ここに書くことはできないが、物語の続きを、ぜひ自身の目で確かめて欲しい。
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