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2025年6月1日、横浜のみなとみらい線新高島駅の地下1階に、新たなアートスポットとなる芸術施設がオープンした。その名も「アートセンターニュー(Art Center NEW)」だ。
施設のコンセプトは、名前にも込められた「NEW」というキーワード。「新しい」「これまでになかった」という意味の通り、多様な活動を通じて新たな価値や視点を提案し、「新しさ」とは何かを問い続けるアートセンターを目指す。
駅構内の大空間を活用
同施設の運営は一般社団法人Ongoingが手がけ、同代表の小川希がディレクターを務める。駅構内を拠点に国内外の現代アートの展示、音楽やワークショップを中心としたフェスティバル、アートスクールやワークショップを実施予定だ。


内部は、奥行きのある大空間が広がる。エントランスを挟み、右手に受付のあるホールとカフェ、ZINEやオリジナルアイテム、アーティストグッズを販売するショップ、その奥に展示スペースと倉庫が続く。エントランスの左手は、公開制作などを行う開放的なスタジオだ。
オープニング記念の企画展「NEW Days」
展示スペースでは、「まだ見ぬ『新しい日々=NEW Days』」をテーマとするオープニング展が、7月20日(日)まで開催中だ。キンマキ、トモトシ、東野哲史、大和楓、尾﨑藍、下司悠太、中野岳、三田村光土里といった、若手からベテランまで幅広い年代のアーティストが参加する。

「日々の生活のように変わり続けることの中にこそ、まだ見ぬ新しさは現れるのではないだろうか」。アーティストたちは日々変化する生活や制作に着目し、絵画・映像・写真・インスタレーション・パフォーマンスを公開している。


尾﨑は、古来から社会的に「隠す」べきものとして扱われてる性をテーマとする、映像とセラミック作品を発表。制作背景には、両親がポルノビデオの性器部分をモザイクで隠す仕事をしていたという自身の経験などがあり、「隠された」イメージを扱う作品で構成されている。

東野は、倉庫空間に引いた布団の中でテレビゲームをしたり、動画を視聴したりと、日常のルーティーンを行いながら、他者がロープを引くことで、身体が宙に浮くパフォーマンスを披露。また、ライフワークとして継続的に実施している鼻毛の水耕栽培の成長記録も展示している。

トモトシは、深夜に閉店する14店舗のコンビニエンスストアの照明が落とされる瞬間や、「東京スカイツリー」が0時に消灯する一瞬をあらゆる角度から撮影した映像を展示。その瞬間に共通することは、変わらずに続くと思われていたことが突然終わることだ。
パフォーマンスや公開制作を発表するスタジオ
スタジオでは、3つにスペースが区切られ、アーティストが公開制作を行う。

「終わりのない」インスタレーションを制作する三田村。造形でありながら、展示台のような木枠のインスタレーションには、思いついたものを日々制作し、作品が日々アップデートされていく。皮が黒ずんだバナナの皮がつるされ、新しいものがすぐ古くなるように、複数の時間がインスタレーションの中で流れる。

沖縄県在住の大和は、「新しい平和学習」として、1945年の沖縄戦における日本兵捕虜の「姿勢」に目を向けた。インスタレーション空間には、「沖縄県公文書館」が所蔵する写真資料を元にしたイラストや顔はねパネル、身体の動作を促す縄跳びなどが点在する。鑑賞者はイラストに描かれた日本兵捕虜と同じポーズをとり、過去の出来事に対し、動作を通じて迫っていく。


アートセンターニューの開館時間は12~20時で水・木曜日が休館、入場料は1,000円、大学生800円(どちらも税込み)、高校生以下は無料。ショップには、ロゴが入ったオリジナルのマグカップやトートバッグなどが並ぶ。シンプルなデザインから遊び心のあるものまで、ぜひ手にとってみてほしい。
横浜の新たなスポットとなる同施設。初夏の横浜散策に気軽に立ち寄ってみては。
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