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原宿駅から竹下通りを通り抜け、明治通りを代々木方面へと向かう。東郷神社近くの歩道橋を上がると、ひときわ目立つ大きなLEDサインが目に飛び込んでくる。そう、ここは原宿に路面店として帰ってきた「デウス エクス マキナ(Deus Ex Machin)原宿店」だ。

2025年4月のソフトオープンから約1カ月を経て、5月22日にグランドオープンを果たした同店。エントランスを抜けると、2フロアで構成された開放感あふれる吹き抜けの空間が広がる。
カスタムバイクやサーフィン、音楽にアート。さまざまなカルチャーを背景に持つ同ブランドらしく、店内は至る所に好きなものを詰め込んだような、贅沢に空間を使った「大人の秘密基地」とでもいうような印象を受ける。内装は、設計デザイン事務所のTRIPSTERが手がけている。

「オールデイブレックファスト」をコンセプトとしたカフェフロア

1階はカフェで、そのコンセプトは「オールデイブレックファスト」。時間帯によって提供するメニューが異なり、「Crushed Avocado Toast」(1,320円、以下全て税込み)、「Tuna Melt Toast」(1,100円)、「Banana Zucchini Bread」(462円)などを提供する。

ランチ時に食べたい「Cheese Steak Sandwich」(2,310円)は、塊肉のステーキを薄くスライスして、「チャバタ」というパンで挟む。浅草店ではトーストを使用しているが、薄めのチャバタで挟むことで、軽めの食感ながらも満足感が生まれたそうだ。
「Flat White」(660円)をはじめ、コーヒー類には経堂の「ローシュガーロースト(Raw Sugar Roast)」から仕入れた豆を用いており、コーヒーメニューの提供の仕方についても同店からレクチャーを受けた。ドリンクは、愛知県西尾市の老舗抹茶メーカー「葵製茶」から仕入れた、ミルクと砂糖と合うようにブレンドされた茶葉を使用した「Matcha Latte」(ホット・アイスともに770円)や「Houjicha Latte」(ホット・アイスともに770円)もおすすめだという。

アルコールは、クラフトジン専門店「シックス(SiCX)」が手がけたデウス エクス マキナオリジナルのジンによる「デウスオリジナルジン ハイボール」「デウスオリジナルジン トニック」などのハウスカクテルがラインアップ。加えて、日本各地のクラフトビールも取り揃える。

取材時は、「Crushed Avocado Toast」と「Houjicha Latte(アイス)」を注文。「Crushed Avocado Toast」の濃厚なアボカドのクリームにはナッツとパンプキンシードが含まれており、ザクザクとした食感が食欲をさらに引き出す。付け合わせのニンジンと赤タマネギのラペ、ピクルスをトーストと交互に味わえば、何枚でも食べられそうな味わいだ。
「Houjicha Latte(アイス)」は、香ばしさと甘み、ミルクのコクのバランスがとてもいい。食事と合わせれば、一日を元気に過ごせるようなエネルギーチャージになるだろう。

極上の機材から流れるグッドミュージック
1階には、ビンテージの軍モノのストレッチャーをカスタムしたDJブースが設置されていた。店舗内のスピーカーは、田口音響研究所のものをインストール。スピーカー自体の解像度が高いのに加えて、店舗の構造に合わせて配置することで、BGMの音量が大きくとも会話がしやすい。

取材時には、ソウルや柔らかい音のディスコが流れていた。プレイリストは、DJとしても活躍するスタッフがセレクト。1カ月ごとに入れ替わる予定で、店舗の雰囲気や滞在する人のノイズにならないような選曲にこだわる。
かつての原宿店では、毎週木・金曜日に音楽イベントが開催されていたが、本店舗では月に1回ほどを予定。主催はもちろん、持ち込みや、来日アーティストによるイベントもできれば、とスタッフは今後の展望を語ってくれた。
例年、音楽フェスティバル「GREENROOM FESTIVAL」にもブースを出店している同ブランドだけに、出演アーティストが、イベント前後に立ち寄って急きょパフォーマンスするといったことが起きるかもしれない。

ギャラリーとしても展開予定のアパレルフロア
大きならせん階段を上がるとたどり着く2階は、アパレルフロア。以前開催した音楽イベントのポスターが飾ってあったり、サーフボードやビンテージのバイク用ヘルメットが販売されていたりと、ここでもブランドの背骨ともいえるカルチャーを大切にしている姿勢がうかがえた。

原宿店限定のアイテムとして、同店のアドレスが記されているTシャツやコーチジャケット、キャップ、ナップザックなどが揃う。また、それぞれの店舗に「キーカラー」を設定しており、以前の原宿店は黒で、新店舗は黄色。そのため、限定アイテムは黒と黄色の配色がメインとなっている。

また、2階は写真展や映画の上映会、トークショーなどを開催するギャラリースペースとしての展開も予定されているようだ。そのため、商品を陳列する什器(じゅうき)は移動が可能で、展示に合わせて空間をレイアウトできるようになっている。

ブランドの創設者、デア・ジェニングスにショートインタビュー
新たな旗艦店のオープンを前に、ブランドの創設者であるデア・ジェニングス(Dare Jennings)が来日しており、取材時に偶然カフェで朝食を取っていた。短いインタビューを依頼すると、快く引き受けてくれた上に、写真に写るならブランドの服を着たい、とわざわざ着替えてくれるなど、ホスピタリティーあふれる人物だった。その姿勢に、デウスが世界中で愛される理由を見たような気がした。

ー新たな原宿店を訪れた感想を教えてください。
素晴らしい店に仕上がっていると思います。前の店舗も近くにあったので、この辺りはなじみ深い場所です。ここは前の店舗以上に広いですし、インパクトある空間がとてもすてきですね。
ーこの店舗がどういう場所に育ってほしいですか?
この店にはギャラリースペースがあるし、飲食スペースも大きく展開しています。広いスペースがあるということは、さまざまなことをする余裕があるということ。まさに「Space is the New Luxury」ですね。いろいろな企画を展開していってほしいです。
ー最後に、日本のデウスファンへメッセージをいただけるとうれしいです。
デウスはこれからもっと拡大していきます。特に音楽とアートを融合させたライン「DEUS RECORDS」は設立時から日本とつながりが深いので、もっと発展できたらと考えています。今後も、エキサイティングなことをたくさんやっていきたいです。

都心にありながらも、ゆったりとした時間が流れる避暑地のような同店。カフェはもちろん、アパレルのフロアにもペットを連れて入ることができるので、愛犬家にもうれしい。さまざまなカルチャーへのリスペクトと愛が感じられる空間を、ぜひ訪れてみては。
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