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超充実の展示、30周年記念『ALL OF EVANGELION』に行ってきた

世界規模の巨大コンテンツのアニバーサリーを祝した展示

Rikimaru Yamatsuka
テキスト
Rikimaru Yamatsuka
作家
30周年記念展『ALL OF EVANGELION』
Photo: Keisuke Tanigawa | 30周年記念展『ALL OF EVANGELION』会場の様子
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「六本木ヒルズ森タワー」で開催中の「30周年記念展『ALL OF EVANGELION』」へ行ってきた。世界規模の巨大コンテンツである伝説のアニメシリーズ『エヴァンゲリオン』の、放映開始30周年を記念した展示である。

まず最初に断わっておくが、筆者は『エヴァンゲリオン』のテレビ版+旧劇+新劇を視聴した程度のライト級ファンである。「いやいや、それは十分にビッグファンでしょう」と言う人もいるかもしれないが、世界規模の巨大コンテンツにおけるファン層の厚さとディープさというのはすさまじい。

ビートルズを全アルバム聴いたことがあるというぐらいでは「ビートルマニア」とは名乗れないように、全シリーズを観た程度で軽々しく大ファンなどと主張するのをはばかられるのが『エヴァンゲリオン』という存在なのだ。

30周年記念展「ALL OF EVANGELION」
Photo: Keisuke Tanigawa展示の様子

相当楽しかった

で、いきなり感想を書いてしまうけども、相当楽しかった。怒涛の質量で押し寄せるセル画や設定画の数々は圧巻だし、制作の裏側にもきちんと比重を割いている点も素晴らしい。

本展は序章~第4章までの全5チャプターで構成されており、序章が設定資料、第1章がテレビシリーズ+旧劇場版のセル画、第2章が予告映像、第3章が新劇場版の原画やレイアウト、第4章がどのようにして「新劇」が制作されたかを掘り下げるドキュメンタリー、という流れ。ちゃんと、ビギナーからマニアまで楽しめる作りになっている。

30周年記念展「ALL OF EVANGELION」
Photo: Keisuke Tanigawa会場の様子
30周年記念展「ALL OF EVANGELION」
Photo: Keisuke Tanigawa展示の様子

「エヴァンゲリオンってあれでしょ? ザコシがモノマネしてるやつ。乗らないなら帰れだっけ?」ぐらいの認識しかない人でも、結構興味深く観れちゃうのではないかというほどの、キャッチーな大衆性がある。

まず会場に入って一番最初に、初号機が空高く飛行する勇姿がドバーンと現れる時点で、「つかみはOK」というやつだ。来るたび毎回思うが、六本木ヒルズ森タワーはまず、そもそもロケーションが圧倒的にカッコいい。

30周年記念展「ALL OF EVANGELION」
Photo: Keisuke Tanigawa会場の様子

東京の全貌がぐるりと見渡せるその様は、壮大な世界観を持つコンテンツとめちゃくちゃに相性がいい。いやが応にも没入感が加速させられる。で、設定画がズラリと並ぶ序章に移るワケだが、やはり『エヴァンゲリオン』はデザインが超イケてると思う。

もはやアイコンと化したあの明朝体フォントや、鈍重さを感じさせないソリッドで大胆な配色のメカデザイン、魅力的なキャラクターなどなど、本当にデザインがどれも外してない。

セル画の魔法

第1章のセル画であるが、もう筆者はここでヤラれていた。セル画というのは透明なシートに手書きで絵を描いたもののことで、現存する1万カット以上の中から厳選されたセル画が約270点、エピソードごとに並べられているの。こんなもんテンションが上がるに決まっている。

30周年記念展「ALL OF EVANGELION」
Photo: Keisuke Tanigawa展示の様子

筆者は「ワー! 『瞬間、心、重ねて』のあのシーンだぁー!! 『世界の中心でアイを叫んだけもの』の食パンくわえてるレイもいるぞー!! うわおー!! 全部うわおー!!」みたいな感じでずっと行ったり来たりしていた。

30周年記念展「ALL OF EVANGELION」
Photo: Keisuke Tanigawa展示の様子

やはりセル画には魔法があると思う。単なるロストテクノロジーへのノスタルジアといってしまえばそれっきりの話なのだが、あの独特の描線や発色はやはりシンプルに目が喜ぶ。老害めいた感覚なのかもしれない。しかし、本当にそう感じるのだから仕方ない。

「メイキングフェチ」も大歓喜

そんな感じでテンションが上がった後の第2章、ここでの目玉はやはり声優の実際のオーディションテープだと思う。

レイを演じる林原めぐみやアスカを演じる宮村優子が、すでに現在と相違ない演技プランで取り組んでおり、単に劇中のアフレコをそのまま抜き出したようにしか聴こえないからすごい。

第3章には新劇の原画やレイアウトが並んでいる。空中戦艦「AAAヴンダー」の3Dモデルにめちゃくちゃテンション上がった。そして、第4章である。筆者はここのチャプターを一番興味深く鑑賞した。

30周年記念展「ALL OF EVANGELION」
Photo: Keisuke Tanigawa展示の様子

前述した通り、第4章は新劇場版の制作の裏側をフォーカスしたチャプターであるが、こんな手法で作られていたのかという驚きの連続であった。巨大なミニチュアを作って擬似的にロケハンを行ったり、マーカーを付けた人間に実際に芝居をさせて撮影し、最も効果的なカメラワークやアングルを模索したりと、デジタル技術に対するアプローチがものすごく職人的というか、手仕事的だ。

モーションキャプチャーをバーチャル手持ちカメラで撮影することで、あえて手ブレを加えライブ感を演出するなど、どれも発想が非常にユニークだ。あまり意識したことはなかったが、たしかに言われてみたら新劇はどれもアングルとか画期的で面白かった気がする。

30周年記念展「ALL OF EVANGELION」
Photo: Keisuke Tanigawa展示の様子

第4章は大量の原画とともに、こういった制作現場の試行錯誤がデモ映像と併せて事細かに説明されているので、単なる「エヴァンゲリオンファン」のみならず、映像を作っている人や「メイキングフェチ」にも訴求する充実の内容となっていると感じた。

物販も外してない

最後に物販について述べると、さすが天下の『エヴァンゲリオン』、何でもある。Tシャツ、マグカップ、バッグ、図録、クッキー、Tシャツ、ボードデッキ……もう、こういう展示にあるやつは全部あるというぐらいある。巨大コンテンツゆえプロダクトもしっかりしており、どれもデザインが良い。

30周年記念展「ALL OF EVANGELION」
Photo: Keisuke Tanigawa物販コーナー

最初から最後まで満足度が高く、マニアはもちろん、ビギナーも十分楽しめるであろう本展は2026年1月12日(月・祝)まで。ぜひチェックしてみてほしい。

そしてここからは完全に蛇足なのだが、『残酷な天使のテーゼ』の作詞者・及川眠子は定期的に「エヴァンゲリオンは観てない」アピールをしてバズっているが、そろそろそのネタはいいんじゃねーの。

©カラー/Project Eva. ©カラー/EVA 製作委員会 ©カラー

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