マイルスのトランペットのようなキレのある辛さとスパイス感 御徒町のアーンドラキッチンは、インド南部のアーンドラ州出身のシェフが作る、本格的な南インド料理が楽しめる店。 おすすめは『アーンドラスペシャルミールス』(1,650円)。日替わりカレー2種、サンバル(豆と野菜のカレー)、ラッサム(タマリンドと黒胡椒のスープ)、ポリヤル(いんげんと豆の炒め物)、パパド(豆粉で作ったインドせんべい)チャパティ(全粒粉の薄焼きパン)、バスマティライス、ピクルス、デザートが付いたスペシャルセットだ。 ミールスと呼ばれる南インドの定食スタイルで楽しむカレーの数々は、それぞれ異なる個性が際立つスパイス感の強い仕上がり。混ぜ合わせながら食べ進めると聴こえてくるこのグルーヴ感は……まるでマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の『Pharaoh’s Dance』である。 ラッサムのキレのある辛さとスパイス感は、マイルスのトランペット。野菜のうま味が深みを与えているサンバルは、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)のサックス、ポリヤルのピリッと効いたスパイシーさは、ジョン・マクラフリン(John Mclaughlin)のギター。食べ進むごとに、混沌(こんとん)とした秩序、ないし秩序ある混沌を生み出すあのアンサンブルが鳴り響く。 そのほかにも『ドーサセット』(1,450円)、『シェフ特製セット』(1,350円)など、南インド料理好きなら押さえておきたいセットメニューがそろっているので見逃さないように。 アーンドラキッチンの詳しい情報はこちら テキスト:カレーDJ カルダモン太郎
チキンローストでJocelyn Brown的多幸感に包まれる
オフィスがひしめく神谷町にあるニルワナムは、コスパ最強の本格カレービュッフェランチが楽しめる南インド料理店。約100種のレパートリーの中から日替わりで選ばれる常時10種類以上のメニューを、1,200円と手頃な価格で味わえる。チキンやマトンなどのノンベジカレー3種類と豆や野菜を中心にしたベジカレー3種類、酸味の効いたラッサム、ワダ(豆の粉で作られた甘くないドーナツ)、ポロタ(インドのパン)、ライス、サラダ3種類、デザートなど、その豊富さには圧倒される。店内中央付近にずらりと並べられたカレーのラインナップは壮観だ。この光景を眺めるだけで、よだれが止まらない。
特におすすめなのが、チキンロースト。大ぶりにカットされたジューシーなチキンとピリッとしたチリの香ばしい風味がたまらない一品だ。心に多幸感すらもたらすこの味が鳴らすのは……Jocelyn Brownの『Somebody Else’s Guy』である。
チキンのローストした香ばしさと肉々しさは、まさにパワフルで温かみのあるJocelynのボーカル。コクのあるグレービーソースとの一体感は、カッティングギターとベース、シンセサイザー、ピアノが塊となって心温まるグルーヴを醸し出していくこの名曲そのもの。このカレーとこの曲は、いつ食べても、いつ聴いても、腹と心を満たしてくれる。
また、毎週水・土曜日は、ビリヤニデー。なんとビリヤニ(インドの炊き込みご飯)がビュッフェメニューに登場するのだ。ビリヤニが食べ放題の店は、都内でも希少。13時以降に入ればソフトドリンクがサービスされるというのもうれしいポイント。