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グリズデイル・バリージョシュア

二重のバリアを通して見た日本のマルチカルチュラルリズム

外国から来た障がい者、グリズデイル・バリージョシュア

作成者: Time Out Tokyo Editors
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タイムアウト東京 > Open Tokyo > 二重のバリアを通して見た日本のマルチカルチュラルリズム

テキスト:庄司里紗

日経マガジン2019年8月発行記事より

東京の社会福祉施設で働くグリズデイル・バリージョシュア(ジョシュ)は、カナダ出身の37歳。四肢にまひがあるため、4歳から電動車いすで生活している。そんな彼は、障がいを持つ訪日外国人観光客向けに日本のバリアフリー情報を発信するウェブサイトの運営者としての顔も持つ。日本において「外国出身」「障がい当事者」という2つのバリアに向き合ってきたジョシュに、日本のマルチカルチュラルリズムに対する期待と課題を聞いた。

ジョシュが運営する観光情報サイト『ACCESSIBLE JAPAN(アクセシブルジャパン)』では、東京を中心に、観光施設や交通機関、宿泊施設などのバリアフリー情報を英語で紹介している。

日本のバリアフリーについて、ジョシュは「世界から見ても非常に高いレベル」と強調する。特に東京の公共交通機関のバリアフリー化は進んでおり、車移動が中心だったカナダにいた時よりも「自由に行動できる」と感じているそうだ。

「ところが、海外の人にはそのことがあまり知られていない。英語によるバリアフリー情報の発信が進んでいないからです。これは非常にもったいない。障がいを持つ外国人でも、日本のホテルや交通機関を問題なく利用できると分かれば、もっと多くの人々が日本に来られるようになる。私がウェブサイトを始めた理由は、そこにあります」

ジョシュは高校時代に日本語を学んだことで日本の文化に関心を持ち、2000年に初来日。その後、2007年に日本に移住し、2016年には日本国籍も取得した。しかし、外国出身の障がい者として日本で暮らす立場になると、さまざまな壁に直面したという。

「まず苦労したのは、仕事探しと家探しですね。言葉の問題やバリアフリーに対応できないことなどを理由に、断られてしまうんです。また運良く仕事が見つかっても、日本の法制度では、就労時間中にヘルパー派遣などの障がい福祉サービスを使うことができないという問題があります。障がい者の社会参加という意味では、まだまだ改善点が多いと感じます」

一方、日本に暮らす外国人の数は約266万7000人(2019年1月1日時点)となり、日本の総人口比で初めて2パーセントを超えた。こうした変化を背景に、生まれた国や性別、障がいの有無などを問わず、誰もが生き生きと暮らせるマルチカルチュラルな社会の実現が急がれている。

「そのためには地域や学校、職場などで、互いにコミュニケーションを取る機会をもっと増やす必要があるでしょう。触れ合う機会がないまま、いきなり外国人や障がい者と向き合っても、どうしていいか分からないですよね。特に日本の人々は礼儀正しいので、失礼な言動をしてしまうことを恐れて身構えてしまう。重要なのは、接し方を知ることです。外国人や障がい者は特別な存在ではなく、身近な存在であると多くの人が思えたら、日本社会はよりマルチカルチュラルな社会になっていくはず。私はそう思っています」

グリズデイル・バリージョシュア

グリズデイル・バリージョシュア

1981年、トロント生まれ。脳性まひによる四肢障がいのため、4歳から電動車いすのユーザーに。2007年に日本に移住、2016年には日本国籍を取得。現在は、社会福祉法人アゼリーグループに勤務し、ウェブ開発業務に従事。

2015年に障がい者支援観光情報サイト『ACCESSIBLE JAPAN』を開設。障がいを持つ訪日外国人が安全に旅を楽しめることを目指し、公共交通機関や宿泊施設、観光名所などのバリアフリー情報を当事者目線で発信している。

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無限の可能性を秘める「イヌコロ」とは

Things to do

「障がいがある人もない人も同じ土俵で戦える。あまりない状況ですが、イヌコロならできるんですよ」。うれしそうにこう語ったのは、西川精機製作所代表取締役の西川喜久。『イヌコロ』という新たな可能性を作り上げた一人だ。 イヌコロって?『イヌコロ』とは、1960年に創業した町工場の西川精機製作所と、障がい者が過ごしやすい社会を目指して活動するINU Projectが共同開発したボウリングの投球補助機。投球補助機は、車いす利用者や高齢者、子どもなど、自分でボウリングの球を転がすのが難しい人の投球を補佐するものだ。従来の据え置き型のものでは、他者によって設置された球をレバー操作で転がすことしかできなかったが、この『イヌコロ』では「自分自身で球を転がす」という体験を可能にした。 従来の据え置き型の投球補助機  クラウドファンディングを経て商品化された『イヌコロ』6号機。『イヌコロ』と名付けられた理由は、INU Project代表でエンジニアの松田薫が大の犬好きであることから。「犬」と「転(ころ)がす」をかけたそうだ  使い方もいたってシンプルだ。器具を車いすにセットしたらこいで前進し、程よいタイミングでキュッとハンドリムを握ってブレーキをかける。そうすると球が転がり落ちる仕組みになっているので、スピードや、球を投げる方向を自分でコントロールすることができる。 『イヌコロ』で遊んでいる様子。動画で使われているものは5号機  この全く新しい投球補助機を作ろうと思ったきっかけについて、西川精機製作所代表取締役の西川はこう語る。 「印刷業をやっている友人が持ってきたボウリング用品のカタログで、初めて投球補助機を知りました。障がい者や高齢者、子どもは、こういった器具がないとボウリングができないんだと言われたのですが、カーブもシュートもできないこの器具を使ったプレイで、本当にボウリングを楽しんだと言えるのかと疑問に思いました。なので、自分の意思で球に回転をつけたりできるような器具を自分が作ってやろうと思いました」 西川精機製作所代表取締役の西川  「生の声」を大切に重ねた改良2014年から江戸川区の新製品開発助成金を受けながら、この熱い気持ちで開発を進めていた西川だったが、1号機は失敗に終わる。球を左右にカーブさせることには成功したものの、サイズが非常に大きく、なんだかんだで置き型だったのだ。西川は、「『絶対にあの人たちのためになる』と勝手に思い込んで作っていたのが失敗の原因だった」と当時を振り返る。 1号機の失敗後に共通の知人を介して知り合ったのが、日頃から障がいのある人々に寄り添っているINU Projectだった。一方のINU Projectも、企画担当で理学療法士の井手麻衣子が「ボウリングを気軽に楽しみたい」とある女の子から言われたことを機に、新しい投球補助機を作ろうしてしていたのだ。5号機以降から本格的にタッグを組むことになり、ユーザーが本当に欲しているニーズを分かりきれていなかった西川精機と、「なんでボールがきれいに転がらないのか」という検証ができずに悩んでいたINU Projectがお互いを補い合うことで、『イヌコロ』は一気に進化を遂げた。 また、試作機が完成しては実際に使用してもらい、「生の声」を大切にすることも意識したという。時には理学療法士からもアドバイスをもらい、デザインにも反映したそうだ。例

車いす対応トイレや車いすのまま利用できる席があるレストラン

レストラン

健常者と車いす利用者の目線は大きく違う。飲食店でおいしいものを食べようとしても、「入り口に段差はあるか」「店内は車いすが通れる広さか」など、車いす利用者には前もって知っておきたい情報がたくさんある。車いすでもトイレを使えたり、そのまま着席できたりするレストランを紹介しよう。

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