もったいないキッチン
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日本を舞台にしたフードロス解決映画が公開

ドキュメンタリー映画「もったいないキッチン」が8月8日から全国ロードショー

テキスト:
Genya Aoki
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オーストリア人の食材救出人で映画監督のダーヴィド・グロスによるフードロス問題をおいしく楽しく解決していく映画『もったいないキッチン』が2020年8月8日(土)シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショーされる。

同作品は、ダーヴィドとパートナーのニキの二人がキッチンカーで、日本全国のもったいないアイデアを持つユニークな日本人シェフたちと出会う旅に出るドキュメンタリームービー。各地で、それらのアイデアを生かした「もったいないキッチン」をオープンし皆で食べることで、食品ロス問題をポジティブに解決していく。

ローソンの上級役員にコンビニのフードロスへの疑問をぶつけたり、出張料理人ソウダルアによるインスタレーションアートフードを元ホームレスの人々とともに味わうなど、エッジがきいたエピソードが満載だ。

もったいないキッチン
毎日約35トンの廃棄食品が持ち込まれ、約42トンの養豚用液体飼料が生産される日本フードエコロジーセンター

ダーヴィドは、前作『0円キッチン』(2015)はヨーロッパ5カ国をキッチンカーで巡って捨てられる運命 の食材をおいしい料理に変身させ、数々のドキュメンタリー映画賞に輝いた。今作では年間643万トンと世界第6位のフードロスを排出してしまっている日本に舞台を移した。

「もったいない精神」を大切にする日本が、同時に世界でも有数な フードロス大国になってしまった矛盾について、ダーヴィドはインタビューの中で、下記のように答えている。

「個々人は食べ物を無駄にしたいとは思っていません。特に日本では、まだ食べられる食べ物を捨てることに恥を感じている人も多い。問題は工業化された食料生産システムにあるのです。 多くの人々が、もはやスーパーで並ぶ食料がどのように生産されたのかを知りません。消費者と生産者との間には大きな距離があり、大手食料品業者は、しばしば道徳よりも利益を重視しています。食べ物への感謝の心が置き去りになっているのです。食を愛する日本で起きている食品ロスを説明できる唯一の説明がこれです。ファストフードが出回り、心のこもった手料理が大切にされていません」

もったいないキッチン
野草料理と、日本の気候風土に根ざした知恵を伝え続ける若杉友子(左)

本作が丁寧に描くのは、この消費者と生産者との間にできてしまった大きな距離であり、食べ物への感謝の心を振り返ることだ。「もったいない」をキーワードに、持続可能な未来のために実践できることを知る機会になるだけでなく、改めて自身の食に対する意識を問い直すきっかけになるだろう。

『もったいないキッチン』の詳細情報はこちら

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