りんご音楽祭2020
Photo: 平林岳志(grasshopper)

Photo of the Day - りんご音楽祭2020

コロナ禍で魅せたライブ、本年の貴重な音楽フェスを振り返る

テキスト:
Hisato Hayashi
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2020年9月26、27日に開催されたりんご音楽祭。今年は新型コロナウイルス感染症対策のため、フジロックやサマーソニックをはじめ、多くの音楽フェスティバルの中止が相次いだ。

りんご音楽祭は対策として、会場を縮小してチケットは長野県内の取扱店舗のみで販売。集客は通常の5分の1に当たる1日1000人までという採算度外視の開催となった。2020年も終わろうとしている現在、ここでは来年の展望もふまえ、写真とともに振り返りたい。

りんご音楽祭2020
Photo: 折井康弘

2020年のフェスティバル、開催までの道のり

りんご音楽祭2020
Photo: Yuya Etou

2020年5月、りんご音楽祭主催の古川陽介は、長野県松本市内での『テイクアウトマルシェ松本』を企画していた。売り上げ減少に悩む飲食やイベント業のため、ドライブスルーで「3密」を避けて松本の食文化を堪能できるイベントには多くの人々が訪れたという。今までにない市役所との共同作業を終え、りんご音楽祭の会場である松本で行う意味に改めて気付きがあったと話す。

松本を会場に音楽祭を行う意義

りんご音楽祭2020
Photo: Yuya Etou

今回のステージは、数を減らし「りんごステージ」「そばステージ」のほか、今年新設となる最新サウンドセットを搭載した「山の神ステージ」の3つ。例年、9月4週目に開かれるりんご音楽祭だが、今年はコロナ禍でアーティストのブッキングも至難であった。東京から離れた松本で、都心とは違うやり方でスタッフの陣営や運営を組み、松本の音楽フェスティバルとして、来年の開催へ向けた手応えを語ってくれた。

開催1日目の夜は急な雨もあったが、2日目は快晴。計108組の出演者の中には、今年初のライブ出演であるというアーティストも多かった。現地松本で参加しているスタッフをはじめ、楽しみながら作っていくフェスの在り方に、日常を離れてほっとくつろぐ来場者も多かったのではないだろうか。 

Day1

前夜祭の天気から引き継ぎ、やや曇り空の下で祭は始まった。午前中の「そばステージ」「りんごステージ」では、多様性に富んだ歌詞を歌い上げた「フィロのス」の愛称で知られるフィロソフィーのダンスや、福井県を拠点に活動するローカルアイドルのせのしすたぁ、掟ポルシェなど、アイドル(とファン)のパフォーマンスが光っていた。

また午後一番には、Monthly Mu & New Caledonia、Tastyの2組の新バンドが好演。なかでもMonthly Mu & New Caledoniaは、まだ完全に暖まりきっていない会場の熱を徐々に上げていき、オーディエンスの心をつかんだ姿が印象的であった。

りんご音楽祭2020
Photo: 古廐志帆
りんご音楽祭2020
Photo: みやちとーる(ステキ工房)
りんご音楽祭2020
Photo: 古廐志帆
りんご音楽祭2020
Photo: 折井康弘
りんご音楽祭2020
Photo: 平林岳志(grasshopper)

来場者も徐々に集まったころ、カネコアヤノはバンドセットで出演。「今日ここに来れてよかった」の言葉は、来場者全員の気持ちと合致していただろう。

りんご音楽祭2020
Photo: 渡邉和弘
りんご音楽祭2020
Photo: katsunori abe
りんご音楽祭2020
Photo: 渡邉和弘
りんご音楽祭2020
Photo: 渡邉和弘

PUNPEEとのコラボレーション曲『夜を使いはたして』や、新曲を披露したSTUTS。「歌ってもいいですか」と控えめな声かけに、会場からは声援が上がった。ゲストには鎮座DOPENESSが参加。

この後同じステージに出演した鎮座は、2019年11月に自身に起きた体験をラップにしたためたリリックを放ち、フロアを熱狂させた。

りんご音楽祭2020
Photo: 渡邉和弘
りんご音楽祭2020
Photo: みやちとーる(ステキ工房)
りんご音楽祭2020
Photo: みやちとーる(ステキ工房)

夜の訪れとともに神秘的なステージを魅せたOLAibi + KOM_I。OLAibiはモンゴルをルーツに持ち、AOA・OOIOOのドラマーとしても活動していたアーティストだ。大粒の雨のなか、「そばステージ」はHave a Nice Day!の熱演で終了した。

また同じ時間に「山の神ステージ」では、川辺ヒロシのハウスセットがフロアをロック。野外フェスティバルで感じる雨も、2020年では希少な体験だ。

りんご音楽祭2020
Photo: 渡邉和弘
りんご音楽祭2020
Photo: 古廐志帆
りんご音楽祭2020
Photo: 丹澤由棋
りんご音楽祭2020
Photo: 丹澤由棋

Day2

二日目は、昨夜の雨がすっかり抜けた晴天でスタート。Kan Sanoは、まるで天気を祝福するかのような爽やかな音楽を奏でた。ステージ間の足場は多少ぬかるんでいたが、気持ちの良い風と気温は、最終日への期待を高めていった(都市型フェスのりんご音楽祭で、雨が降るのは非常に珍しいこと)。

りんご音楽祭2020
Photo: katsunori abe
りんご音楽祭2020
Photo: 折井康弘
りんご音楽祭2020
Photo: 渡邉和弘
りんご音楽祭2020
Photo: 古廐志帆
りんご音楽祭2020
Photo: 折井康弘
りんご音楽祭2020
Photo: 折井康弘

午後、『りんごステージ』には和楽器を爆音で操る切腹ピストルズが登場。2020年は音楽フェスティバルだけでなく、盆踊りや地域ごとの催しまで、祭ごとが中止となった。1999年の活動開始から、さまざまなイベントや祭に出演してきた彼らは、どんな思いでステージに挑んだのだろうか。

りんご音楽祭2020
Photo: 平林岳志(grasshopper)
りんご音楽祭2020
Photo: 古廐志帆
りんご音楽祭2020
Photo: Takanori Tsukiji
りんご音楽祭2020
Photo: katsunori abe

夕焼けが迫る17時ごろ、eastern youthが「そばステージ」に現れた。入念なサウンドチェックの後、音の洪水があふれ出しどこまでも響き渡る。それはコロナ禍の日常で我慢していた何かが弾けた瞬間であった。

eastern youthは活動歴30年以上、長年のファンを持つ屈指のライブバンドだが、「これがライブだ」という刻印を、2020年を生きる私たちの胸に刻みつけたパフォーマンスを観せた。

りんご音楽祭2020
Photo: 丹澤由棋
りんご音楽祭2020
Photo: みやちとーる(ステキ工房)
りんご音楽祭2020
photo: みやちとーる(ステキ工房)

貴重なフェスのフィナーレには、両日とも大きな打ち上げ花火が散った。これには「今年見ることができなかった花火を、せめてここでは打ち上げよう」という、りんご音楽祭主催、スタッフらの粋な計らいがある。

コロナ禍でのイベント開催には賛否両論が尽きず、また収束までずっと向き合って行かなければならない問題だが、生で味わう「ライブ」の感動は何事にも変えがたい。無事に開催を終えたりんご音楽祭への謝意とともに、来年の開催を心待ちにしよう。

りんご音楽祭2020
Photo: みやちとーる(ステキ工房)
りんご音楽祭2020
Photo: Takanori Tsukiji

前夜祭

ENTH
BACK LIFT
佐伯 真有美(あふりらんぽ・オニ)
handmade candle lifart…【凸】
Road Leef[kakasi/OZY/Warbo]
岡沢じゅん
藤山拓
メコンス
ina takayuki【Live Painting】
ebatee&knak28(三茶番外地)

Day1

カネコアヤノ(バンドセット)
THREE1989
OLAibi + KOM_I
all about paradise
Analogfish
handmade candle lifart…【凸】
HAPPY
Monthly Mu & New Caledonia
Tasty
Have a Nice Day!
フィロソフィーのダンス
浪漫革命
Campanella
呂布カルマ
バケツドラマーMASA
Hair Stylistics
NATURE DANGER GANG
YUKSTA-ILL
Omega f2;k
RAMZA
TOSHI蝮
掟ポルシェ
クリトリック・リス
佐伯誠之助
せのしすたぁ
ina takayuki【Live Painting】
YOSHIROTTEN
DJ YAZI(Black Smoker)
NEWきんぎん
nutsman
OG Militant B
DJ817
ヴィーナス・カワムラユキ(渋谷花魁)
川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)

Day2 

MONO NO AWARE
サニーデイ・サービス
GAGLE
Kan Sano
eastern youth
handmade candle lifart…【凸】
KING BROTHERS
Michael Kaneko
NABOWA
showmore
TURTLE ISLAND
yonawo
オカモトレイジ(OKAMOTO’S)
Kick a Show
OLIVE OIL
DJ ∈Y∋(BOREDOMS)
nobodyknows+
RITTO
宙J FDFANTA汁CHILLSTASKI(HIPHOP最PSY高CORE会議)
原島“ど真ん中”宙芳
むぎ(猫)
ina takayuki【Live Painting】
Desko Deska(DESKO/FLATTOP)
DJ MAMEZUKA
fuelphonic
KIRAYAMA
LEF!!!CREW!!!(THINGS -Electric Dance Modular-)
Makiko Yamamoto
taro aiko(ENDON/M.A.S.F.)
Twee Grrrls Club(Moe&Sumire)

りんご音楽祭2020アーカイブ映像(スペースシャワーTV DAXチャネル)はこちら 

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