東北アップデート:欠片を集めて

津波が残していった破片からアクセサリーを作る

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テキスト:Nick Narigon

2011年3月11日の津波で東北地方沿岸の街、石巻が壊滅状態になった4ヶ月後、アメリカはニュージャージー州出身のスー・プラム・高本は、びしょ濡れになった家族写真を廃棄し、割れた陶器の破片を集めながら、破壊された家屋の瓦礫を丹念に調べた。

「いろいろな意味で、非現実的に感じました。想像していたよりも状況は悪かったです」と、Be Oneと呼ばれる団体と一緒にボランティアの清掃活動をしていたスーは言う。「かつて家族が住んでいた家に足を踏み入れると、めちゃくちゃになった生活を目にすることになるのです」。

震災から1年後、スーと夫のエリックは4人の子どもと一緒に、かつて漁師町として栄え、津波の被害を受けた地区の近くにある仮設住宅に引っ越した。現在、高本夫婦は仲間と一緒に、石巻でNOZOMIプロジェクトを運営している。現地の母親たちを雇い、粉々になった陶器からジュエリーを作る法人だ。

石巻は最も甚大な被害を受け、街の50%が水に浸かった。地元の学校の1階は津波で壊滅状態となり、無事だった2、3階は仮設の避難場所になった。スーは毎朝、高台の上にある仮設の学校にバスで子どもたちを送った。

バス停での待ち時間で、スーはほかの母親たちと友達になった。「私は『体操服がいるのはいったいいつ?』といったことを質問するんですが、そんな変わり者の外国人を、彼女たちはいつも助けてくれました」と彼女は語る。

ある母親は、津波の時にペットのプードルをやむを得ず見捨てることになり、残念ながらこのプードルが後に死んだことを知った。別の母親は、自宅から2ブロック離れた所で、車の中で津波に飲まれた義理の妹を亡くした。こうした母親たちの辛い過去について知った高本は、同じころ、かつて売春婦だった女性にジュエリーの製作と販売方法を教える中国の団体があることを知った。そこで、もしかすると石巻の母親たちにも、街に散らばった陶器の破片を利用して同じことができるかもしれないと考えた。

彼女は偶然にも趣味でジュエリーを製作していた地元の母親や友人に考えを共有し、アイデアは形になった。「これは私が必要としていた誘発剤になりました」と、高本は話す。「校庭で会った母親や私たちの友人など、私たちはお母さんたちを集めました。そして協力し合って、やり方を見つけましょうと話したのです」。

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2012年の夏、事業計画が動き始めた。ロサンゼルスからジュエリーの専門家を招待し、10日間かけて石巻で従業員に指導してもらった。そして同年10月、NOZOMIプロジェクトは事業を開始した。現在は16人の女性がとぎ師、ジュエリー製作者、管理者として雇われ、時給、休暇、ボーナスを受け取っている。

女性たちはそれぞれの商品ラインに、愛する人にちなんだ名前をつけている。例えばNODOKAは、件のプードルを亡くした従業員の娘にちなんで名づけられている。RUMIというネックレスは、車の中で亡くなった義理の妹にちなんでいる。NOZOMIプロジェクトは、毎年の事業で収益を出しており、収入の20%は活動を支援する寄付金だ。

「3年前の私たちの望みは、安全な場所を作ること、そして女性がスキルと尊厳を得られるコミュニティを作ることでした」と、スーは話す。「紆余曲折はたくさんありましたが、女性たちが自信を得る様子を目にし、手を使った仕事をする喜びが世界中に届けられていく様子を目にできるという、素晴らしい贈物を私はいただきました」。

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