タイムアウト東京 > トラベル > 世界で最も素晴らしいアール・デコ建築 9選
2025年は、1925年開催の「現代産業装飾芸術国際博覧会(Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels)」の100周年に当たる。
この画期的なパリ万国展覧会の名称の、Arts Décoratifsから名付けられたのが、装飾様式の「アール・デコ(art deco)」だ。すっきりとしたライン、大胆な幾何学的な形状、そして鮮やかな色使いを特徴とするこの様式は、当時、野心的な前衛芸術であると評価された。同展覧会には20カ国から出展者が集まったことも手伝い、アール・デコの魅力は世界に広く受け入れられることとなった。
アール・デコの起源は1910年代にあり、同時代のキュビスム美術の影響を受けているとされる。1920年代から30年代にかけて最盛期を迎え、家庭用品や宝飾品、ファッション、自動車など、知的産物のあらゆる領域に浸透したが、なかでもアール・デコ建築としての流行がとりわけ顕著だった。
この様式はさまざまな要素をどん欲に取り込んでいて、アステカ、マヤ、エジプト、古代ギリシャおよびローマなどの文化などから着想を得ている。1930年代には第2次ブームを迎え、より流線的で、装飾をそぎ落とした、アール・デコの派生である「ストリームライン・モダン」様式も同様に人気を博した。 アール・デコはモダニズムほど革新的ではなかったと言っていいだろう。
装飾的な性質や具象的要素は、間違いなくその時代のものであり、新たな時代を先取りしているわけではない。しかしながら、そのより斬新な側面、すなわちすっきりした線と簡潔さは、現代においても新しさを感じさせる。今も若いデザイナーたちがアール・デコ建築に触発されているのも不思議ではない。
アール・デコ建築の傑作を選び抜くのは容易ではないが、ここではひとりの専門家の目線で厳選した、世界の9つの傑作を紹介する。
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