寺田ユースケ&まゆみ

ローカルレジェンド #22 車いすYouTuber 寺田ユースケ

芸人、ホストを経てたどり着いたYouTubeで何を発信するのか

テキスト:
Shiho Yagi
広告

タイムアウト東京 > ローカルレジェンド> #22 車いすYouTuber 寺田ユースケ

テキスト:八木志芳
写真:豊嶋希沙

「障がいがある、なし関係なく、YouTubeを通して、色々な人と繋がっていきたい」車いすYouTuberとして活動している寺田ユースケは、キラキラとした瞳で話した。

愛知県名古屋市出身、1990年生まれの28歳。年始に大きなニュースとなった、ZOZO TOWN社長の前澤友作が100人に100万円をプレゼントするという企画で、見事当選しYouTube上で話題となった。

寺田はYouTuberになるまで、ほかの人の何倍も濃い人生を歩んできた。

脳性麻痺を持って生まれた彼は、物心がつく前から足が不自由だった。10代の頃は、健常者と同じ学校に通い、健常者と同じような生活を送ることにこだわっていたが、20歳で車いすと出会い、世界が変わった。移動が格段と楽になり、行動範囲が広がって、気持ちもポジティブになったという。

その後、大学で出会った在日韓国人の友人と意気投合。彼が障がいを笑いに変えてくれたことと、イギリスへ留学中に見た、視覚障がい者を扱ったコメディ番組『Mr. Bean』に衝撃を受けて、大学卒業後、大阪のお笑い養成所へ入る。しかし、3年間の芸人生活では目が出ることはなく、お笑いの世界と決別。

次の道に悩んでいたところ、乙武洋匡と出会う。寺田にとって、憧れの存在だった乙武から『車いすホストになってみれば』という予想外の提案を受け、「知らない世界に飛び込んでみよう」と、新宿・歌舞伎町のホストクラブSmappa! Group APiTSにて、ホストデビューを果たす。

2年間のホスト生活を経て、「自分にしかできないことが、ほかにあるのでは」と、ホストを辞めて、車いすで日本一周の旅をスタートさせた。この挑戦では、「気軽な助け合いを広めたい」という思いから、車いすを押してもらって進むことに決めた。20174月に始まった旅は、現在進行形。201812月末時点で、31道県を訪れ、405組が車椅子を押してくれた。

ただ、挑戦を続ける中で、葛藤もあった。「気軽な助け合いを広めたい、と始めた活動だけど、実は、心の底から言っている言葉ではなかった。それよりも、この挑戦を通して有名になりたい、という思いの方が強かった」そんな迷いの中で出会ったのが、現在の寺田を支えている、妻のまゆみだ。 

紹介を通して出会った二人は、順調に交際を重ね、2017年末にゴールイン。この結婚が、寺田の大きな転機となった。「障がいがあるからと諦めていた結婚をすることができた。今までの活動は全部、有名になってモテたいという気持ちが原動力だったけど、結婚した途端、自分は何のために頑張っていけばよいのか、わからなくなった」 結婚により、一時的に目標を見失ってしまったのだ。改めて「自分は何ができるか」を考え、夫婦で話し合った結果、たどり着いたのがYouTubeだった。 

「自分が頑張っている姿や、馬鹿なことをやっている姿を見てもらうことで、障がいのある人や頑張っている人を勇気づけたい」

2018年夏にまゆみと一緒に「寺田家TV」というチャンネルを立ち上げて運営している。動画制作は妻と二人三脚。日本一周の旅の様子や、東京での暮らしについてなど、車いすユーザーならではの視点で発信している。YouTubeを始めてまだ5ヶ月だが、着実に登録者が増え、健常者はもちろん、耳の聞こえない人など、障がいを持つ人も見てくれるようになった。

「ヒカキンさんに車椅子を押してもらうコラボ動画を撮れるぐらいになりたい」まだまだ志なかば。2019年は色々なことをチャレンジしていきたいと、今後の展望を熱く語っていた。

ライター プロフィール

八木志芳

大学卒業後、IT企業・レコード会社を経て、福島県のラジオ局にてアナウンサー・ディレクターとしてのキャリアをスタート。2017年11月にフリーのラジオパーソナリティー・ナレーターとなる。FM FUJI「SUNDAY PUNCH」レポーター、千葉テレビ ナレーションなどを担当。 F.Factory Japan所属。

Twitter:https://twitter.com/ShihoYagi

Instagram: https://www.instagram.com/yagishiho/

暗黒アイドルと出会う…

ローカルレジェンド #21

「サンリオが大好き。サンリオピューロランドの年間パスも持っている!」と、流暢な日本語で話す、アメリカ出身のリッキー・ウィルソン。女性5人のアイドルユニット、ネクロノマイドル(NECRONOMIDOL)、通称「ネクロ魔」のプロデューサーだ。

おすすめ
    関連情報
    関連情報
    広告