緊急情報もバリアフリーに、ヤマハの取り組み

注目の新システム「SoundUDクラウド」を開発者が解説

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作成者: Miroku Hina |
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 2018年9月、台風21号による被害で関西国際空港が閉鎖された際に、多くの外国人観光客が「情報難民」となった。リアルタイムの情報を伝えてくれるラジオや、館内のアナウンスなど、必要な情報の多くが日本語で流れていたためだ。こうした緊急時以外にも、駅構内での遅延放送など、「聞こえないと困る情報」は、世の中に溢れている。しかし、日本語のできない訪日外国人や、聴覚障がい者にとって、音による情報へのアクセスの壁は、依然としてある。

そんな状況を改善しようと、ヤマハが開発を進めているのが、音の情報をICT(情報通信技術)化し、携帯電話や電子看板など、様々なツールから入手することを可能にした新システム「SoundUDクラウド」だ。このシステムが、どのように音のバリアフリー化を図るのか、ヤマハのクラウドビジネス推進部の統括プロデューサーとして開発に関わる、瀬戸優樹(せと・ゆうき)が教えてくれた。

「例えば、携帯電話にこのシステムを適用させたアプリをダウンロードすれば、同じくこのシステムが適用された駅や空港、バス車内で流れるアナウンスの内容を、リアルタイムで端末上に表示できます。多言語への同時翻訳も可能なので、耳が聞こえにくい人だけではなく、外国人観光客にとっても頼れるツールとなります」。 

このシステムを適用させたアプリとして代表的なのは、当社が開発した「おもてなしガイド」だ。音声自体を聞き取る従来の翻訳アプリとは異なり、「SoundUD音声トリガー」という、音声情報に含まれるシグナルを察知して情報を表示させるため、インターネットを必要とせず、雑音にも影響されにくい。災害時など緊急で情報が欲しい時にも心強いだろう。

       駅構内に流れる放送の内容を表示する「おもてなしガイド」

テレビやラジオ放送などへの対応も進行中だ。現在、全国16の放送局と連携し、放送内容をスマートフォンなどで字幕閲覧させる実証実験が行われている。J-WAVEのエグゼクティブプロデューサー、松尾健司(まつお・けんじ)は、当事業がもつ多様な可能性に期待を寄せる。

「ラジオは生放送が多いので、外国人や耳の聞こえにくい人にも平等にリアルタイムの防災情報が届けられるのはもちろん、通常のラジオ放送が翻訳されれば、視聴層が大きく広がります。日本の流行がわかる音楽番組などには、特に力を注いで行きたいですね」。

公式アプリによる2020オリンピックの字幕の中継や、2025年の大阪万博との連携など、様々な活用方法が検討されている同システム。すでにヤマハは、交通機関や自治体など、全国250カ所以上と提携し、「音のユニバーサルデザイン化」を推進している。情報バリアを取りのぞく新たな取り組みから、今後も目が離せない。

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