銀座
Photo: Saffron(写真AC)

車いす目線で考える 第30回:銀座アクセシブルガイド

バリアフリーコンサルタント大塚訓平が考える、東京のアクセシビリティ

作成者: Time Out editors
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タイムアウト東京  Open Tokyo > 車いす目線で考える > 車いす目線で考える 第30回:銀座アクセシブルガイド

今回は、2年前にリリースした『ALL-ACCESS GINZA Your guide to accessible,barrier-free Ginza』の情報をさらにアップデートした銀座アクセシブルガイドについて解説しよう。

アップデート版は25のヴェニューをピックアップ。グルメやショッピング、ホテル、観光スポットに加え、東日本大震災から10年が経過したこともあり、災害時の帰宅困難者の一時滞在先となる施設についてもアクセシビリティ情報を添えて紹介している。

多目的トイレ、エレベーターの詳細情報

多目的トイレやエレベーターがどこにあるかは、車いすユーザーのみならずベビーカーユーザーや高齢者にも有益な情報だろう。多目的トイレと言っても、自分にフィットする設備が備わっているかどうかは、内部に入ってからでないと分からないことが多いことから、扉を開けた瞬間、「使えない」「使いづらい」という状況に陥る人も少なくない。

そうした事態を未然に防ぐために、オストメイトに対応しているか、車いすから右側(左側)にアプローチできるか、介助シートはあるか、ベビーシートはあるかなどをピクトグラムで表記した。さらに、レイアウト図と内部の設備を動画でも確認できる、銀座の観光案内所であるG Infoの公式ウェブサイト(バリアフリートイレのマップ)に簡単にアクセスできるように『QRコード』も配置した。

テイクアウトやデリバリーのニューノーマルに挑戦する飲食店の情報を新たに掲載

車いすユーザーにとって店のエントランスに段差がある、店内の通路幅が狭い、という理由から利用のハードルが高かった有名飲食店も、テイクアウトやデリバリーができるようになった。それによって、物理的なバリアのために訪れることができなかった名店の味を、銀座のオープンスペースで楽しむことが可能となったのだ。

さらにガイド内には、自宅にいながらにして銀座の味を楽しむこともできる『美味しい銀座デリバリー』を紹介、食の選択肢を増やすことにつなげている。新型コロナウイルス感染予防対策の観点からも、店内のテーブル間の距離を確保するようになったことで、レイアウトが変わり、以前よりも車いすでの移動が楽になった店もある。これはコロナ禍がもたらしたポジティブな影響と言えるだろう。 

「伝える」がポジティブな意識変化ももたらす

本ガイドの最後に「あなたが銀座の街で新たに『知った』『体験した』ポジティブな配慮を、多くの人に『伝えよう』。それがほかの誰かの意識を、良い方向に変えることができるはずだから」というメッセージを入れさせてもらった。例えば、一人の車いすユーザーがこのガイドを手にして、銀座を訪れた際、ある店舗で段差をアシストしてもらったこと、エレベーターで配慮の声かけがあったこと、また、分かりやすい案内表示に触れたことをほかの誰かに伝えることで、聞いた人は「銀座に行ってみよう」「もっと積極的に声かけしてみよう」「お店をバリアフリー化しよう」となるかもしれない。

一人のポジティブな体験が、誰かの次なる外出を促し、一人の手助けや声かけがほかの誰かへの配慮につながることになる。「伝える」という行為で、アシストをしてもらった側だけでなく、配慮をした側にも良い影響を与えることができ、ソーシャルグッドに結びついていくという考え方だ。

多くの人に本ガイドを手にしてもらい、誰もが安心して快適に銀座を楽しめるよう、コロナ禍の一日も早い収束を願うばかりだ。

大塚訓平(アクセシブル・ラボ代表理事)

1980年、栃木県宇都宮市生まれ。2006年、不動産会社オーリアル創業。2009年に不慮の事故で脊髄を損傷。車いすで生活を送るようになったことで、障害者の住環境整備にも注力するように。2013年には、外出環境整備事業に取り組むNPO法人アクセシブル・ラボを設立。健常者と障害者のどちらも経験している立場から、会社ではハード面、NPOではソフト面のバリアフリーコンサルティング事業を展開中。

車いす目線で考えるを振り返る……

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