Photo by Luca Florio on Unsplash
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車いす目線で考える 第28回:新型コロナの影響で変わった移動手段

車移動の際、大活躍するのはストリートビューと航空写真?

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
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2020年を振り返ってみると、新型コロナウイルスの影響によって、日常生活では、外出自粛を求めたステイホーム、仕事ではリモートワークやオンライン会議など、さまざまな変化を余儀なくされた一年だった。

加えて、観光需要を喚起するGo To トラベルは、相次ぐ変更で利用者と事業者を困惑させ、ついには第3波の影響で停止に追い込まれている。こうしたことを車いす目線で考えると、コロナの影響で、今まで以上に移動がしづらくなってしまったと言えそうだ。

その理由の一つとして挙げられるのは、感染予防対策においてソーシャルディスタンシング(他者と約2メートルの距離を置く)が重要だと叫ばれる中、車いすユーザーにとっては、バスや電車、新幹線の乗降時に段差がある場合、運転手や鉄道職員による至近距離での手助けがお願いせざるを得ないからだ。

事実、僕は、ソーシャルディスタンシングはもちろん、「3密」を避けるために、電車や新幹線移動はやめ、都内を含む移動を全て車に切り替えた。自宅から目的地まで、誰とも接触することがなく、仕事先では限られた人とのみ会うだけだからリスクが少なく、仮に感染したとしても経路が明確になる。

しかし、電車移動では感じなかったバリアを、車の移動では、新たに感じるようになった。 それは、駐車場だ。クライアントとの面談や、講演、セミナーなどで指定された場所に行く際、その場所や近隣に車いすマークのある駐車区画(幅3.5メートル)があるかを事前に調べるのだが、整備されていないことが多いし、そもそも情報自体がネット上に載っていないことがほとんどだ。

そんなときに大活躍するのが、Googleマップのストリートビューと航空写真。ストリートビューでは、まず最初に、路上に設置されているパーキングメーター(時間制限駐車区間)を見つけるようにしている。 なぜかというと、あまり知られていないかもしれないが、ある一定の身体障害者は、住所地を管轄している警察署に申請することで、『駐車禁止等除外標章』を各都道府県で交付してもらうことができるからだ。

Photo:大塚訓平

この標章を正しく掲示することで、パーキングメーター(時間制限駐車区間)に無料で駐車することができるからだ。もちろん、その時に空いている保証はないが、いくつか候補を持つことができ、気持ちに余裕が出る。

次に、コインパーキングもストリートビューで調べるのだが、この場合は先程と見方が少々異なる。多くのコインパーキングでは、駐車したときに運転席側のドアの下にロック板(フラップ)があり、車いすを下ろすことができない。そのため、端の区画で運転席側のスペースが広く取られているかを確認するのだ。

Photo:大塚訓平

また、ゲート式のパーキングの場合は、航空写真も参考にしながら、駐車区画の配置を確認する。まれに車いすマークが描かれたパーキングを見つけることもあって、探し出したときには誰かに情報をシェアしたくなるくらいだ。

しかし、コインパーキングというものは、得てして次の土地活用が決まるまでのつなぎの策であることが多い。Googleマップで見たときにはコインパーキング、実際に行ってみたらビル建設中ということもある。いかにして最新の情報を取得するかがポイントになる。

こうした駐車場は、レイアウト次第で、区画数を減らさずに車いす駐車区画を確保できる場合がある。このように利用できる人の幅を増やすことは、売上アップにもつながり、事業者にとっても車いすユーザーにとってもメリットがあると思う。駐車場を車いす目線で考えると、より外出しやすい社会づくりにつながりそうだ。

大塚訓平(アクセシブル・ラボ代表理事)

1980年、栃木県宇都宮市生まれ。2006年、不動産会社オーリアル創業。2009年に不慮の事故で脊髄を損傷。車いすで生活を送るようになったことで、障害者の住環境整備にも注力するように。2013年には、外出環境整備事業に取り組むNPO法人アクセシブル・ラボを設立。健常者と障害者のどちらも経験している立場から、会社ではハード面、NPOではソフト面のバリアフリーコンサルティング事業を展開中。

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