車いす目線で考える 第13回 スムーズな電車移動を2020までに

バリアフリーコンサルタント大塚訓平が考える、東京のアクセシビリティ

作成者: Kunihiro Miki |
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タイムアウト東京  Open Tokyo > 車いす目線で考える > 第13回 スムーズな電車移動を2020までに

テキスト:大塚訓平


電車移動の際に大活躍する乗換案内や路線検索のアプリ。検索結果を見れば最短ルートで迷うことなく目的地にたどり着くことができる便利なツールだ。しかし、車いすユーザーの場合、そこに表示された所用時間通りに移動できる人は少ない。車いすユーザーの移動は、皆さんが想像する以上に時間がかかるのだ。

複雑すぎる乗り換えは車いすユーザーの移動時間を倍増させる

先日、法事のために大阪に行った際は、東京駅で東海道新幹線に乗り換えるのに20分もかかってしまった。宇都宮から出発したので、東北新幹線のホームから向かったのだが、車いすユーザーの場合、「北のりかえ口」にあるエレベーターでホーム階から下がり、この「北のりかえ口」から直結する東海道・山陽新幹線の「中央のりかえ口」へ……と行くことができればいいのだが、この「中央のりかえ口」にはエレベーターがないことから「南のりかえ口」まで移動しなくてはならなかったのだ。

駅員さんから道のりを教えてもらったが、その説明通りに行ってみると、そこには階段しかなく、結局周辺を右往左往しながら20分かかって、なんとか「南のりかえ口」に到着できた。ちなみに、乗り換えアプリでは、8分が所要時間として表示されていた。

本来ならどちらの乗換口にもエレベーターを設置してほしいところだが、駅の構造上の難点や多額の投資など、整備はそう簡単ではない。しかし、せめてこの複雑な乗り換えを分かりやすく表示した小さなマップを用意するなど、移動をスムーズにするための工夫をしてくれれば、乗換案内アプリに表示される時間通りに行けるはずだ。

フレンドリー&ノンストレスだった大阪

一方大阪では、駅員さんが手際よくスロープを設置し列車の乗降をアシストしてくれ、特急への乗り換え案内も具体的で分かりやすかった。案内の最中も世間話で盛り上がり、とてもフレンドリーだ。全体的にこうした対応に慣れている印象。街中でも声をかけられることが多く、道やスペースを譲ってくれたりする。

ある駅では僕が改札を通った後、「何かお手伝いすることありますかー?」と小走りで駆け寄ってきた駅員さんが、まるでセカンドバックのようにスロープを小脇に抱えていたことには驚かされた。すぐ手に取れる場所にスロープがあり、バリアフリーに対する意識が高いことから、こうした素晴らしい対応につながったのだと思う。

ハード面の整備にも驚いた。ホームと電車床面との段差やすき間の縮小化が進んでおり、スロープなしで乗降できる駅が多かった。また、私鉄の小さな駅でさえ、駅構内外の段差や階段はきちんと段差が解消されており、改札横には車いす対応トイレもあったので、ストレスなく安心して鉄道利用ができた。

ICTの利活用でスムーズな移動を実現

普段移動し慣れている東京よりも、大阪の方が移動に関しては楽だったのは事実だ。しかし、東京にも先進的な取り組みはある。西武鉄道の「車いすご利用のお客さまご案内業務支援システム」だ。鉄道移動を円滑化するこのシステムは、当事者からの評価が非常に高い。

これまで鉄道側は、車いすユーザーの乗客がいる場合、どの列車のどの場所に案内するか、乗り換えはあるか、同伴者がいるか、などを電話やメモを使い、乗車駅から降車駅に伝達するというアナログ方法で対応をしてきた。これらの情報を全てスマホやタブレット端末で情報共有し、乗車駅と降車駅間で連絡を取れるようにしたのだ。

このシステムが素晴らしいのは、乗車後に情報共有がされることで、これまでのように乗車前に駅間の連絡が完了するのを待つ必要がなくなったことだ。これにより、乗車までにかかる時間が以前に比べて圧倒的に短縮された。しかも到着時間が近づくとアラームが鳴るので、係員が忘れることなく確実にサポートしてれる。

日本人の人口が年々減少する中で、高齢者と障害者の人口は増加し続けている。さらに来年の東京オリンピック・パラリンピック開催時の対応を考えれば、誰にでも利用しやすい駅、フレンドリーな対応、分かりやすい案内を実現させていかなくてはならない。ICTをうまく活用し、スムーズな移動を実現させることが、誰もが外出しやすい社会をつくることにつながるはずだ。

大塚訓平(アクセシブル・ラボ代表理事)

1980年、栃木県宇都宮市生まれ。2006年、不動産会社オーリアル創業。2009年に不慮の事故で脊髄を損傷。車いすで生活を送るようになったことで、障害者の住環境整備にも注力するように。2013年には、外出環境整備事業に取り組むNPO法人アクセシブル・ラボを設立。健常者と障害者のどちらも経験している立場から、会社ではハード面、NPOではソフト面のバリアフリーコンサルティング事業を展開中。

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