1. 平河天満宮
    平河天満宮(Photo: Kisa Toyoshima)
  2. 成子天神社
    画像提供:成子天神社

東京、うそ替え神事4選

新宿、亀戸、半蔵門、春日で幸運を招く「鷽」を授かる

編集:
Genya Aoki
Rimii Yukawa
寄稿:
Aya Hasegawa
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「鷽(うそ)替え神事」は、菅原道真公をご祭神とする天満宮(天神社)に伝わる神事である。

そもそも鷽とは、スズメ目アトリ科ウソ属に分類される実在する鳥のこと。首から頬にかけてが愛らしい紅色で、頭と尾が黒く、背や腹はネズミ色の全長15~16センチほどの小さな鳥で、日本でも広く分布する。

ある日(1月7日とされている)、太宰府へ左遷された道真公が神事を行っていたところ、ハチの大群が襲ってきた。これを、鷽の一群が追い払ってくれたという言い伝えから、天神信仰では鷽は幸運を招く鳥として認識されているのだ。

太宰府天満宮で986年から始まったとされている鷽替え神事は、現在も年に一度、「太宰府天満宮」をはじめ、全国の多くの天満宮で実施されている。

今回、都内で鷽替え神事が行われている4つの天神社をピックアップしたが、紹介する天神社以外でも、「湯島天満宮」「新井天神」「北野神社」などで、それぞれ2024年1月25日(木)の初天神を中心に木鷽(木彫りの鷽)の授与が行われる。

授与される木鷽は神社によって異なり、各神社のものを収集するコレクターも少なからず存在する。木鷽の数には限りがあるので、早い時間の参拝が賢明だ。 

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鷽替え神事の流れ

多くの天神社では年に一度、木材などで鷽をかたどり彩色した「鷽」を授与している。これを授かった参拝者は、1年間神棚などに供えておき、1年後の「鷽替え神事」の日に天神社に持参。その木鷽を、神前に集った参詣者同士で「替えましょ、替えましょ」と呼びかけながら取り替えていく。「鷽」が「嘘(うそ)」と同じ発音であることから、前年にあった災厄・凶事などを「嘘」とし、今年の幸運を祈るのだ。

東京の天神社では、1月25日の「初天神」(道真公の生まれた日も亡くなった日も25日であったことから天神信仰では25日は重要な意味を持つ)の際に実施されることが多い。

太宰府天満宮のような神事は行わず、前の年に授かった木彫りの鷽を神社に返し、新しい鷽を授かることで、旧年中の悪いことや知らず知らずのうちについてしまったうそが誠になる、という形で実施されている。

  • Things to do
  • 亀戸

亀戸天神社

亀戸天神の名で親しまれている「亀戸天神社」は、1646年ごろ道真公の子孫・大鳥信祐(おおとりいしんゆう)公が天神信仰を広めようと諸国を巡っている時、江戸の亀戸村にたどり着いたことに端を発するとされている。

太宰府天満宮に倣って造営されていることから、東の宰府として「東宰府天満宮」、または「亀戸天満宮」と呼ばれることもある。

境内には心字池と太鼓橋が配されていて情緒たっぷり。本殿の左側にはウシの像が鎮座し、これに触れると病気が平癒し、知恵を授かれるとされている。

歌川広重の「名所江戸百景」にも描かれるなど、フジの名所としても有名で、毎年4月中旬から下旬にかけて開催される「藤まつり」は同天神社の風物詩となっている。

2024年の鷽替え神事は、1月24日(水)、25日(木)の8時30分から実施。神職が手がけたさまざまな大きさのヒノキの「鷽」を用意している(初穂料は500~7,000円)。この2日間は限定の御朱印も授かることができ、例年、多くの参拝者でにぎわう。

  • Things to do
  • 西新宿

成子天神社

新宿の高層ビル群の中にある、緑豊かな神社は西新宿のオアシス的な存在。創建は平安時代中期の903年と古く、ほかの天神社同様、学問の神様である道真公を祭っていることから、多くの受験生が足を運ぶ。1197年に源頼朝が社殿を造営したとされ、1661年に現在地に移転。柏木・成子地区の鎮守となった。

境内奥(北参道側)にある、富士山の溶岩を用いて築かれた「富士塚」は新宿区登録史跡。約12メートルの高さを誇り、新宿区の中では最も大きい。社殿の脇にある7個の「力石」は、新宿区指定文化財に登録されている。

同天神社では、新社殿の御遷座10周年を祝い、新たに製作した張り子の鷽鳥を授ける。サイズの異なる5羽がマトリョーシカのように入れ子になっており、ずんぐりとしたフォルムもかわいらしい。今年は1月25日から授与所の受付時間(9~16時)に頒布。なくなり次第、終了となる。初穂料は6,000円だ。

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  • Things to do
  • 春日

牛天神 北野神社

「北野神社」は、なでると願いがかなうとされる源頼朝ゆかりの「牛石(願い牛)」で知られており、別名「牛天神」とも呼ばれている。

源頼朝が奥州へ東征の途中、ウシの形に似たこの石に腰掛けて休んでいたところ、夢の中にウシに乗った道真公が現れ、「吉報が2つある」と伝えたという。

その後、お告げの通り長男の頼家を授かり、平家を西に追うことができた頼朝は、1184年に同神社を創建。ウシの形をした、その石を御神体とした。

御朱印にも、願い牛をモチーフとした黒牛が押印されるなど、天神社らしくとことんウシ推しである。なお、拝殿に鎮座する金色のこま犬は、水戸光圀公により奉納された運慶の作品だといわれており、こちらも必見だ。

また、境内には「貧乏神を追い払い、福の神を招き入れることができる」とされ、江戸時代から厚い信仰を集めている「太田神社」もある。

今年は、1月25日の9時から木鷽の授与を実施。また、1月24日・25日には、「初天神記念 限定御朱印」を用意する(御朱印の受け付けは9~16時)。

  • Things to do
  • 麹町

平河天満宮

江戸城を造った武将として知られる太田道灌が、1478年に道真公の夢を見たことをきっかけに、江戸城本丸内に勧請したのが由緒とされる。徳川家康の入城後、現在の地に奉遷された。学問にご利益があるとされ、江戸時代の国学者・塙保己一や、蘭学者・高野長英も信仰を寄せていたという。

存在感たっぷりの鳥居は銅製で高さ約5メートル。支柱にある銘文によれば、1844年12月に、麹町周辺の人々によって建設・奉納されたもので、千代田区内では最も古い鳥居となる。鳥居をくぐり本殿に向かう道中に5つの石牛があり、そのうちの一つは、なでると学芸が上達するという信仰がある「撫で牛」だ。

境内には、恋愛成就にもご利益があるといわれているペアで梅の実が実る「縁結びの梅」や、近隣の人々を中心に古くから信仰を集めていた「平河稲荷神社」がある。

1月25日まで、鷽替えの木鷽を手に入れることができる。なお、初詣と初天神の御朱印は31日(水)まで頒布する。

昔にタイムスリップするなら……

  • Things to do

プリン、クリームソーダ、ナポリタンといった往年のメニューを提供する喫茶店や「クリアグラス」、「薬局の人形」で馴染みの「サトちゃん」や「ケロちゃん」といったマスコットなど「昭和レトロ」な世界が人気だ。ここではそんな懐かしの雰囲気を今に残す都内のスポットを紹介しよう。

古民家カフェや純喫茶はもちろん、有形文化財に登録された銭湯、元闇市の市場、「あの頃」を今に残す横丁、レコード店、ストリップ、レトロ自販機の聖地までタイムアウト東京ならではの視点で選んでみた。ぜひ参考にしてほしい。

  • レストラン
  • カフェ・喫茶店

東京随一の歓楽街、新宿。この街のせわしなさから逃げるには、タイムスリップしたような気分になれる喫茶店に逃げ込むことだ。ここでは、看板猫がいるレトロな喫茶や、ジャズ喫茶を語るには欠かせない歴史のある名店、終電を逃した時に駆け込みたい24時間営業店などを紹介する。

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  • トラベル

東京から新幹線で約1時間ほどで訪れることができる、レトロな温泉地、熱海。古くから避寒地として知られ、坪内逍遙や谷崎潤一郎、太宰治といった名だたる文豪たちが愛した街でもある。ここでは、明治~現代の文豪と関係深い熱海のスポットを紹介する。

宿や洋食店、喫茶など、いずれも文豪が活躍した当時から営業を続ける老舗ぞろい。熱海で文豪たちの足跡を巡ってみてはいかがだろう。

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