ヴィラ内川
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キラー通りの名物スポット、ヴィラ内川で行くべき店5選

個性的でハイセンスなお店がズラリ、アドベンチャー感覚でガイド

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タイムアウト東京 > Things To Do >ヴィラ内川で行くべき店5選

青山キラー通り沿い、巨大なタワーマンションの裏にひっそりたたずむ「ヴィラ内川」は、何とも不思議な場所だ。1969年に完成した地上4階建てのレトロマンションは、半地下に「J-COOK」という老舗のカフェレストランがあることで有名だが、実はそのほかにも個性豊かな店がひしめきあっている。

まるで時間がゆっくり流れているような、どこか懐かしくて穏やかな空気に満ちたこのビルにはどんな店があり、どのような背景を持っているのか、ここでは特に気になった店を紹介したい。

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まず向かったのは、201号室にある「BATHHOUSE SHIBUYA」。月~水曜日は予約制、木~日曜日は13時から18時まで営業している雑貨店だ。

全国津々浦々、そして世界各地から買い付けてきた輸入雑貨と、オリジナル商品が折衷された隠れ家的な店――「そんなもん都内に無数にあるわい」と言う人もあるだろうが、そんじょそこらじゃ見つけられないほどにラインアップが面白いのである。

郷土玩具や陶器、味わい深い食器類やインテリアなど、あらゆる国と時代をまたいだ商品群の数々は確かなセンスによって選出されており、店全体のトーンが不思議なバランスで調和している。それでいて、まるで博物館のように楽しい。

こんなすてきな店を、なぜマンションの一角でやっているのかと尋ねたところ、オーナーがアメリカに買い付けに行った際、マンション内に店舗を構えるビンテージのディーラーショップを訪れたのがきっかけだそう。 「こんなところに本当にお店なんかあるのかなぁ?」という気持ちで入ったらマジであった、という面白さを狙っているらしい。そして、名店「J COOK」があるというのもここを選んだポイントの一つだったとか。

同店では定期的にテーマを決めて特集を組み、ラインアップを逐一更新しており、取材に訪れた日は「メキシコ特集」をやっていた。

豊かな色彩感覚で作られたハンドメイド感たっぷりの民芸品の数々は、どれも個性的でかわいいものばかり。個人的に特に気になったのは「ツリー・オブ・ライフ」。メキシコ民芸のアイコン的な存在で、キリスト教をモチーフにした粘土工芸の燭台(しょくだい)だ。年代の古いものはやはり発色やデザインに独特の風合いがあるそうで、マニア人気も高いという。

余裕で半日いられるぐらいの店だったが、次の取材先が控えていたため泣く泣く移動した。

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続いて訪れたのは、303号室の「璃房ステンドグラス」。 ここはなんと30年間にわたり、ステンドグラス工房をやっているらしい。また週に3日は、教室としても活動しており、教室の生徒は9割が女性で、上は90歳から下は高校生と幅広い世代が技術を学びに来ている。

たくさんの資料や器具類やガラスが整然と並べられた内観は清潔で、かつ職人特有の折目正しい雰囲気が漂い、自然に背筋が伸びる。工房長の五味はその硬派な外見とは裏腹にとても気さくで親切な人で、手ずから我々取材班にコーヒーを淹れてくれた。

ステンドグラスは話を聞くと実に面白い世界である。工房では学校や教会などから依頼を受けて制作をしていて、1枚のステンドグラスを仕上げるのに大体平均して2、3カ月かかるという。大作ともなると1年がかりというから、実に手間暇がかけられている。

ステンドグラスに用いる手拭きガラスは、厚みが一定でない上に発色のグラデーションもそれぞれまるで違うのだが、五味は「この部分がキレイ!」と思ったらそこだけ切り出して贅沢に使用するそうだ。さながら、マグロから大トロだけを取るようなものか。

ステンドグラスというとカットしたガラスを組み合わせて作るものだと思っていたのだが、顔料で塗装を施すとか、2層ガラスの上層だけをはがすとか、実に多くの工程が存在する。

解説を受けながらいろいろと見せてもらった作品群はシンプルに「すごい」「かっこいい」としか言いようがない、語彙(ごい)を失わせるような不可思議な美に満ちたものばかりだった。

この日は教室の生徒もいたのだが、五味のスキルがいかに「テクい」かということを力説していた。

なぜこの場所を選んだのか尋ねたところ、「雰囲気がいい」という回答が得られた。 なんでも入居した当時はビルの外壁にツタが絡まっていて、実にいい感じのオーラが発散されていたそうだ。

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輸入雑貨と洋書と編集部が同一空間をシェア

知られざる世界に触れた時の興奮冷めやらぬまま次に向かったのは、302号室の「LETTERS」「les ondes」「LEMON AND MAGAZINE」である。

ここはなんと、2つの店と編集部がスペースをシェアして使っている。女性3人で和気あいあいと切り盛りされるこの場所は、まさにシェアハウスのごときリラックス感がある。それでいて、前に入居していた人が取り付けたというガラス張りのバスルームがそのまま残っていたり、ルックが明らかに面白カッコいい。

まず、なぜここをシェアすることにしたのか尋ねると、元々友人同士だったLETTERSの下口とles ondesの和田に加え、LEMON AND MAGAZINEの安達がちょうど同じタイミングで「そろそろ自分の場所を構えたいね」と話していたことから、この場所に3人で入居することになったのだという。

入居したのは2023年10月とのことで、先ほどの工房と比べると大分ニューカマーである。何やらステキなことをしている方々であるが、店(と編集部)自体もすごくステキだ。

まずLETTERSであるが、ここは雑貨と食器、ファッション小物を主に扱うセレクトショップで、下口がヨーロッパや日本で買い付けてきたという品々は、とにかくかなりイケている。

フランス製のカトラリーレストやドイツ製のティーグラス、スイス製のポットマットなど、いずれもシンプルながら上品で格調高いものばかりで、しかも価格は非常にリーズナブル。オレは「え? 東京でこのテンションの商品、この値段で絶対買えないっすよ!」とか騒いだ。

続いてles ondes。ここには、本好きの和田がセレクトした文庫本や洋書などが陳列されている。大型書店でも扱っていないものも多く、見たことのない、すげえ装丁がクールな本がいろいろとある。

例えばギリシャのガイドブックなどは写真とレイアウトデザインがものすごく素晴らしいので、テキストが読めなくても本として十二分に魅力があるし、「FIGARO」の編集長マリ=アメリー・ソーヴェが手がけるファッション誌「マスターマインド」などは表紙を見るだけでも心奪われるほどにステキである。

ほかにも、友人のフランス在住イラストレーター、イザベル・ボワノが制作したというles ondesオリジナルグッズなどもあり、まぁとにかく気絶するぐらいハイセンスである。

それでいてスノッブな感じは少しもなく、「本屋さんが減っている分、本屋さんのキュレーションのセンスが大切になっていると思う」と語る和田は、なんつーかスーゲー格好いい大人なのだった。

最後はLEMON AND MAGAZINEである。安達はかつて『FUDGE』の編集部にいたそうだが現在はフリーランスで活動しており、『SITRUUNA(シトルーナ)』という野心的なファッション・ライフスタイルマガジンの企画を出版社に持ち込んだり、その後発となるインディマガジン『tiny sitruuna』を手がけたり、老舗の糸メーカー・DARUMAと組んでニットブック『LANKALIMON』を作ったりと、とにかくありえないぐらいアイデアフルで有能な人である。

「1人編集部なので、何でも自分でやります」と安達は軽く言うが、センスやスキルが明らかにズバ抜けている人間にしかいえないセリフだ。ファッションのみならず、気候変動や更年期といったトピックも扱い、ポップに折衷してしまう手さばきには、物書きの端くれとして畏敬の念を覚える。

ステキと不思議がいっぱい詰まった、とても楽しい場所であった。

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103号室には着物・和装小物店の「THE YARD」が入居している。同店は「白シャツのように着る 新しい日常をつくるきもの」をコンセプトに2015年に誕生したブランド。こちらに店舗を構えたのは2019年3月だ。

ブランドの世界観をゆったりと感じられる空間を探した末に、この場所を見つけ、大通りから少し外れた立地や印象的なウインドウ、商品を楽しむ店舗スペース「母屋」と、着付けや相談を承るスペース「離れ」がそろった機能面に魅力を感じたのだとか。

土地の雰囲気とブランドの世界観も相まって、30代以上の男女が多く訪れ、着物ビギナーから日常的に愛用する人までそのグラデーションはさまざま。

着物というと少しハードルが高い印象があり、特別な時に袖を通すものというイメージがあるが、ここでは普段着としての着物も提案している。

初めての一着としておすすめなのは、木綿の着物。ケアも手軽で、着付けも気軽なのでビギナー向けなのだそうだ。

着物の魅力はズバリ、まとった時の高揚感と小さな特別感だそうで、また色柄・素材、モチーフなどで四季の美しさを装いに反映できることも魅力なのだという。

最後に「近年、東京は夏は蒸し暑く、冬は妙に肌寒くて、正直着物に向いていない気候が多いような気がするのだけれども……」と尋ねたところ、「昨今の気候の変化には、従来の着物のルールそのままでは難しい部分も出てきましたね」というとても正直な回答が得られた。

そうした流れに合わせ、きちんと現代の気候に合わせた素材や着こなしを提案しているそうで、「季節に寄り添いつつ、実際の気候やご自身の体調を尊重して楽しめる着物をご提案できるブランドでありたいです」と結ばれていた。

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そうして全ての取材を終えた取材班は、うわさのJ-COOKでランチを食べた。夫婦経営の店で、とても多忙とのことで惜しくも今回取材には至らなかったが、一言でいってすっげえいい店だ。

ガレージを改装して造られたという店内には実に穏やかな空気が流れており、そこここに張り巡らされたボブ・ディランやマイルス・デイヴィスのレコード、ジム・ジャームッシュの映画ポスターなどにセンスの良さを感じる。 とにかく設えがイカしていて、テーブルから椅子、トイレの内装に至るまでクラシカルな美意識が通底しており、空間としてシンプルにハチャメチャに居心地がいい。

ランチは魚か肉を選べるとのことで肉のランチセットをチョイスしたのだが、鶏肉のシチューと野菜スープと付け合わせのスパゲティ、さらにパンかライスを選ぶことができる。これで1,000円というのはむちゃくちゃに破格である。おいしかったし。ちなみに、ここはスイーツも有名だそうだ。

定休日は月曜日で、火~土曜日は8時から22時、日曜は11時から18時まで営業しており、夫婦経営の飲食店とは思えぬほどの大車輪のごとき働きぶりである。いつかタイミングが合えば、いろいろと話を伺いたいものだ。

とりあえず一つだけ確かなのは、これからオレはこの店をさも行きつけのような顔をして、友達などと連れ立ってヘヴィーユーズするだろうということである。

ランチをまるっと平らげて、ヴィラ内川を後にした。ヴィラ内川、すげぇ面白いわ。

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蒲田、夜の散歩ガイド
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