まず向かったのは、201号室にある「BATHHOUSE SHIBUYA」。月~水曜日は予約制、木~日曜日は13時から18時まで営業している雑貨店だ。
全国津々浦々、そして世界各地から買い付けてきた輸入雑貨と、オリジナル商品が折衷された隠れ家的な店――「そんなもん都内に無数にあるわい」と言う人もあるだろうが、そんじょそこらじゃ見つけられないほどにラインアップが面白いのである。

郷土玩具や陶器、味わい深い食器類やインテリアなど、あらゆる国と時代をまたいだ商品群の数々は確かなセンスによって選出されており、店全体のトーンが不思議なバランスで調和している。それでいて、まるで博物館のように楽しい。
こんなすてきな店を、なぜマンションの一角でやっているのかと尋ねたところ、オーナーがアメリカに買い付けに行った際、マンション内に店舗を構えるビンテージのディーラーショップを訪れたのがきっかけだそう。 「こんなところに本当にお店なんかあるのかなぁ?」という気持ちで入ったらマジであった、という面白さを狙っているらしい。そして、名店「J COOK」があるというのもここを選んだポイントの一つだったとか。
同店では定期的にテーマを決めて特集を組み、ラインアップを逐一更新しており、取材に訪れた日は「メキシコ特集」をやっていた。

豊かな色彩感覚で作られたハンドメイド感たっぷりの民芸品の数々は、どれも個性的でかわいいものばかり。個人的に特に気になったのは「ツリー・オブ・ライフ」。メキシコ民芸のアイコン的な存在で、キリスト教をモチーフにした粘土工芸の燭台(しょくだい)だ。年代の古いものはやはり発色やデザインに独特の風合いがあるそうで、マニア人気も高いという。
余裕で半日いられるぐらいの店だったが、次の取材先が控えていたため泣く泣く移動した。


























